アメンバー様200人達成!&ブログ3ヶ月記念大感謝祭☆
ケロちゃんさんからリクエスト頂きました!!
《ズバリ! 「キョコたんのマリッジブルーに 蓮様振り回される!!」です
本当に!本当に!本当に!本当に! こんな私でいいのかしら???
そんな考えに捕われてしまったキョコたんに
なんで?なんで?なんで?なんで?今頃になって言い出すんだ???
と蓮様が振り回される》
蓮様は振り回されてるでしょうか??
それとも振り回しちゃってる??
何だかどっちもどっち??(笑)
ではでは、お待たせしました!最終回です!!お楽しみに♪
*****
混乱と破滅への序曲*後編
「急ぎでTV局のTBMにお願いします!!!!」
キョーコは、運転手の首を締めかねない形相で、タクシーの運転手に詰め寄った。
脅されたように錯覚した運転手は自分の命が惜しくて言われた通りに常にない勢いでタクシーを飛ばした。
その甲斐あってか着いたのは、やっぱ気まぐれロックの収録が始まったばかりの時間だった。
本来ならばオープニングセレモニーの時間帯だろう…。
ーーー間に合った…かな?!
キョーコはやっぱ気まぐれロックの懐かしい場所へと駆け足で向かう。
通い慣れた場所へと続く道は頭に記憶されており、何の不自由もなくキョーコを収録の現場へと導いた。
目に映るのは、いつもと変わりない和やかな気まぐれの収録。
ーーー良かった!!間に合った!!
キョーコがホッとしたのもつかの間、キョーコのいる場所とは反対側の下手の入り口から蓮がスタジオに乱入してきたのを見て、キョーコは固まった。
「ちょっと失礼!!ここにキョーコは来てませんか?!キョーコ!!キョーコ…俺のキョーコ!いるなら出て来て!!」
必死の蓮は周りが見えていないのか、ポカンとする観客も視界に入っておらず、ただただキョーコの名前を呼び続ける。
先程のテレビでは蓮の上半身しか映ってなかったから気付かなかったが、蓮の足には、滂沱の涙を流した社が縋り付いていた。
「レ~ン~もう、これ以上はやめてくれぇ!!!!敦賀蓮のイメージがぁぁぁぁー。」
社はどれだけ泣き続けていたのか、声はかすれ気味で、蓮には届かない。
人一人張り付いているというのに、蓮はモノともせずに軽々と動き回る。
観客もそんな蓮の姿にドン引きである。
普通なら蓮が現れた時点で黄色い歓声が上がるところだが、今は会場中がどうしていいのかわからず、ただただ困惑顏でどよめいている。
「っキョーコ?!」
蓮は呆然と佇む鶏の着ぐるみ坊を捕まえると、ガポッとなんの躊躇いもなく頭を外した。
そこには真っ青な顔をした小柄な男が入っていた。
蓮は一瞬で男が入ってることを確認すると、目にも留まらぬ速さで頭をはめ、何事もなかったかの様に、またキョーコの名前を呼び始めた。
そんな蓮の頭上から馬鹿にしたような笑いが降ってきた。
「はっ。敦賀サンよぉ!芸能界一ピーなんて言われてる名が泣くぜ?キョーコなんぞで何、取り乱してやがんだよ!!それに、俺のキョーコなんて聞き捨てならねぇな!キョーコはお前のモノじゃねぇよ。」
階段の上に現れたのは、歌手の不破尚。キョーコの幼馴染だ。
その声と言葉に、蓮の不機嫌はピークに達する。
怒りMAXの似非紳士笑顔が炸裂した顔で、蓮は尚を見た。
「随分なご挨拶だね?不破君…。キョーコのことで君にとやかく言われる覚えはないよ?」
キョーコの中の怨キョが恐れおののくほどの恐怖に怯えている。
キョーコの頬が引きつった。
しかし、会場はその蓮の笑顔にすっかり騙されて、微笑みに歓声を上げてる者も数人いた。
余裕の態度で返されたと思った尚がムッとして更に言い募ろうとした時に、司会のブリッジロックから待ったがかかった。
「あ、あかんわっ!敦賀さん!!勝手に入ってこられたら、いくら同じ事務所とはいえ困りますわっ!」
「不破くんも、紹介される前に出てこられちゃ困るよ。今日これ生放送で撮り直しきかへんのやけど。せっかく三周年記念として初回ゲストを呼んだのに、サプライズじゃなくなったし!」
「つ、敦賀君、何勝手に京子ちゃんを俺のもの発言してるん?!京子ちゃんは誰のものでも…」
光の言葉を遮るように、尚が口を開く。
「そうだよ!敦賀サンよぉ!キョーコはお前のモノじゃない!!俺のだ!!寝言は寝てから言いやがれ!!」
「君こそ、寝言は寝て言ったらどうだ?彼女の純情を踏みにじって家政婦扱いしてボロ雑巾の様に捨てたお前が、どの口を開いて俺のもの発言をするんだ?!キョーコは貴様のモノじゃない!!」
最早、温厚紳士敦賀蓮の面影はどこにも存在していなかった。ギロリと尚を睨む姿は人一人平気で殺めてしまいそうな危険な光さえはらんでいる。
「てめぇ…」
正に一触即発。
そんな雰囲気の中に、キョーコは意を決して飛び込んだ。
「れ…敦賀さん!!」
皆がゴクリと生唾を飲み込み見守る中で響く澄んだ声。
弾かれた様にそちらに目を向けた蓮につられ、会場中の視線がキョーコに集まった。
「?何だ…誰だおま…」
「キョーコ!!」
尚がキョーコと気付かずに怪訝な顔を見せるが、蓮の表情はみるみる内に喜び溢れる顔になり、キョーコの名前を呼び駆け寄った。
「は?!キョーコ…だと?!」
尚は変装しているキョーコの変貌ぶりにあんぐりと口を開く。
「キョーコ…」
涙目で見上げて来る少女の頬に蓮は恐る恐る手を伸ばす。
その蓮の手が、小刻みに震えていることに気付いたキョーコは困ったように微笑んで、その手を自分の手で握ると、頬を擦り寄らせた。
「キョーコ…!っ!!……キョーコ!!…キョーコ!!キョーコ!!!」
そんなキョーコの存在を確かめる様に名前を呼ぶ蓮は、キョーコの頬の暖かさと感触からようやく安心出来て、強く強くキョーコを抱きしめた。
「きゃっ!ちょっと…蓮さん!!人が見てる!!」
「関係ないよ!!関係ない!!よかった!キョーコが戻って来てくれて良かった!!」
「蓮さん…」
蓮の言葉からキョーコへの想いが溢れているのを感じ取ったキョーコの目にはじんわりと涙が浮かぶ。
ーーー私は、この人にこんなにまで愛されてるんだ…。
キョーコはそのことが嬉しくて、人前であることも忘れて、ゆっくりと蓮の背中に手を回しぎゅっと抱き締めた。
「あの、勝手なことしてごめんなさい。」
「いいんだよ。あぁ、俺のキョーコ!!良かった!!もう頼むから俺から離れないでくれ。君がいないと俺の世界は色を失ってしまうよ。」
「蓮さん…。」
「キョーコがいないと俺が俺じゃなくなってしまう。このまま帰ってこなかったらどうしようかと思った…。」
蓮の手が大切そうにキョーコの頭を抱え込む。
その手の優しさに、安心出来る温もりと香りに、キョーコは幸せを噛み締めた。
「ごめん…なさい。私…こんなに蓮さんが必死で探してくれてたことにずっと気付かなかった…。自分のことで精一杯で…」
「うん。ずっと探してたよ。」
「不安…だったんです。今が幸せ過ぎて、いつか壊れる幸せなんじゃないかって、その時のことを考えたら、凄い辛くて怖くて…逃げ出したくなったんです。今でも充分幸せなのに、これ以上幸せになったら、その幸せが壊れた時どうしたらいいんだろう…って、とても怖かったの。」
蓮はキョーコの話を聞きながら、安心させるようにキョーコの髪にちゅっちゅっと何度もキスを送った。
「俺は、例えこの命が尽きたとしても君を愛し続けるって誓うよ。だから、安心して?俺は絶対に君の手を離さないから。」
蓮は、キョーコの顎を持ち上げると、キョーコの目を覗き込みながら言い聞かせるように言い、額を合わせた。
キョーコがそれを聞いて恥ずかしそうにほにゃりと笑うと、蓮は唖然とする周囲を余所に、我慢出来ずキョーコに熱く口付けた。
唖然とした周囲は最早声も出ない。
何が起きたのかわからないとばかりに、ただただ口をポカンと開けて見るしかなかった。
時間にして数分…二人は何度も夢中になってキスを交わす。
尚もあまりのことに思考がフリーズしたのか、物凄い顔で石化していた。
ブリッジロックの石橋光も密かに京子へ想いを寄せていたので、ショックを隠せない顔で固まっていた。
一番始めにハッと我に帰ったのは、司会を務めるブリッジロックの慎一だった。
隣にいるリーダーを肘で小突く。
すると、光の体は力を失いフラリと倒れ掛け、それに気付いた雄生が慌てて光を支えた。
「わぁ!り、リーダー!!!!しっかりせい!!」
「た、大変や!!気ぃ失っとる!!!!す、スタッフ!!手を貸してくれ!!」
その司会者二人の声で、会場にも動揺とどよめきが湧き上がった。
蓮とキョーコは完全に二人の世界で、その周囲の声など耳に入らないのか、抱き締めあったまま離れようとはしなかった。
「キョーコ。俺たちのお家に帰ろう?」
「はい。蓮さん。心配かけてすみませんでした。」
「いいんだよ。最後にちゃんと俺の腕の中に帰って来てくれたからね。でも、もう次は辞めてね?」
「はい。もう…離れません。」
「ところでキョーコ?」
蓮はサラサラとキョーコのウイッグを弄びながらキョーコに声をかけた。
「はい?なんでしょう?」
「俺の想いよりも、占いを信じたんだってね?」
「へぁ?!ど、どうしてそれを?!?!」
「夕方TV局で、君と一週間位前に番組で一緒になったタレントと会ってね。内容を教えてもらったんだ。キョーコの様子が可笑しくなったのも、その頃からだったよね?」
「うっ…あの、すみませ…」
「どうやら、俺の君への想いの強さをもっとちゃんと証明しないといけないようだね?」
「へ?!」
キョーコの顔が真っ赤になり、引き攣る。
「今日の夜は覚悟してね?」
「?!?!?!?!そそそそそ、それは…!!」
逃げ腰になるキョーコの身体を蓮は絶妙な力加減で引き留める。
「明日の結婚式…逃げられない様にしてあげるね?」
にっこり微笑んだスマイルは、果たして神々スマイルなのか、似非紳士スマイルなのか…。
キョーコはどちらにしても固まるしかなかった。
そんなキョーコを軽々とお姫様抱っこで抱え上げると、カメラに向かって蓮は謝罪の気持ちを込めて頭を下げたが、その顔は締まりのない顔になっていた。
「どうも、お騒がせしてしまってすみませんでした。花嫁が逃げてしまっては、明日の結婚式が成立しませんからね。なりふりかまってられませんでした。見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありません。」
蓮の言葉と、蕩けきった笑みで会場にどよめきが広がった。
「れ、れれれ、っ敦賀さん!!」
横抱きにされながら真っ赤な顔で抗議するキョーコに、蓮はにっこりと微笑む。
「うん?公表は明日の約束だったけど、今日あんなキスを生放送でしてしまったからね。日本中の人に俺たちのことを知ってもらっておかないと、ありもしない変なことを書かれても困るだろう?」
「なっ?!あ、あんなキキキキス?!誰のせいでこんな事態になってると思ってるんですか?!」
「ん??何かな?俺のせいだとでも??元はといえば君が俺から逃げるからだろう?あぁ、逃がしてしまった俺が悪いのかな?」
キュラキュラと輝く笑顔で嫌味をいう蓮に、キョーコは観念したように溜息を吐いた。
「もうっ…。蓮さんの意地悪…。」
この体勢でいることが恥ずかしいのか、キョーコは顔を真っ赤にしたままそっぽを向く。
そんなキョーコに蕩けんばかりの笑顔を向ける蓮に観客からはうっとりとした溜息が漏れる。
「では、ブリッジロックの皆さんも、邪魔をしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。」
「あ、いえいえ、そんなっ!でも、まさか京子ちゃんが敦賀さんとデキてたなんて…な。」
「あ、あぁ…、ちょっとショックを受け止められんかったやつが若干一名おったけど、幸せにな!」
「光さん…どうかされたんですか?」
スタジオの側で放心中の光に首をかしげながら、心配そうに見やると、キョーコを抱えている蓮がムッとした顔を向ける。
「へぇ…こんな時に他の男の心配?」
「へ?!そ、そりゃあ心配にもな…っんん!」
キョーコの言葉は蓮の口付けによって塞がれた。
会場中から悲鳴が上がる。
キョーコの身体からくたりと力が抜けるのを確認して、ようやく蓮はキョーコを解放した。
「…では、俺たちはこれで失礼しますね?」
満足そうににっこり微笑んだ蓮に、ツッコめるモノはこの場にはいなかった。
尚も石化したまま思考は停止していたのだ。
去って行く蓮とキョーコを会場中が某然と見守るしかなかった。
ざわめくスタジオ、沸騰する観客…。
もはや、やっぱ気まぐれロックの収録どころではない。
蓮とキョーコのやり取りは、バッチリお茶の間に流れ、皮肉なことに、瞬間最大視聴率は79%と有り得ない数字を叩き出していた。
問い合わせが番組に殺到するも、TV局側に詳細がわかるわけもなく大混乱。
そしてこの人、奏江もテレビの前で真っ赤な顔で固まっていた。
ーーーなんって恥ずかしい人なの?!
独占欲剥き出しで、世の中の男性陣に見せつけるような熱い口付け。
口付けながらばっちりカメラ目線で睨み付けるのも忘れなかった蓮。
そんな睨み付ける姿も色っぽいとは、流石芸能界一の抱かれたい男の名を取り続けているだけあるはずだ。
キョーコ相手には蕩けんばかりの笑顔を見せるくせに、キョーコを狙う相手には容赦なく威嚇をする。
「思わず録画しちゃったけど…どうすんのよ?これ…。」
奏江は、録画の停止ボタンを押して某然とテレビを眺めた。
その後の画面の中の気まぐれの生放送は、当然ながらグデングデン。
ーーーこのまま見続けても面白くなさそう…
そう思った奏江は、少し考えた後、先程録画したビデオを再生させた。
「ちゃ、ちゃんと撮れてるか、確認するだけよ。」
誰に言ってるのか定かではないが、言い訳を口にした奏江は深呼吸をして、黙々と録画した番組を最初から再生し始めた。
後に、蓮とキョーコが芸能界一お騒がせカップルだとあちこちで呼ばれるようになったのは、まぁ仕方のないことだろう。
END
*****
次の日の結婚式では、真っ赤な顔のウエディング姿のキョーコが花婿である蓮にお姫様抱っこをされた状態でバージンロードに現れたとか☆
結婚式でのそんな入場は前代未聞…みたいな??(笑)
途中から社さんどこ行った?!みたいなことになっちゃいましたが、これにて終了です!!(笑)
ケロちゃんさん、どうしでしたでしょうか??
ちゃんとリクエストにこたえれたのか疑問では有りますが、お楽しみ頂けてれば幸いです♪
ブリッジの会話は似非関西弁になっちゃいましたので、ツッコミどころ満載かとは思いますが、大目に見てやって下さいー!!!!
ケロちゃんさんと、アメンバーの皆様に捧げます♪
煮るなり焼くなり、見なかったことにするなりお好きにどうぞー♪( ´ ▽ ` )ノ
ケロちゃんさんどうぞお納め下さいませ♪
遅くなった上に、長くなってしまいごめんなさいー!!
ケロちゃんさんからリクエスト頂きました!!
《ズバリ! 「キョコたんのマリッジブルーに 蓮様振り回される!!」です
本当に!本当に!本当に!本当に! こんな私でいいのかしら???
そんな考えに捕われてしまったキョコたんに
なんで?なんで?なんで?なんで?今頃になって言い出すんだ???
と蓮様が振り回される》
蓮様は振り回されてるでしょうか??
それとも振り回しちゃってる??
何だかどっちもどっち??(笑)
ではでは、お待たせしました!最終回です!!お楽しみに♪
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混乱と破滅への序曲*後編
「急ぎでTV局のTBMにお願いします!!!!」
キョーコは、運転手の首を締めかねない形相で、タクシーの運転手に詰め寄った。
脅されたように錯覚した運転手は自分の命が惜しくて言われた通りに常にない勢いでタクシーを飛ばした。
その甲斐あってか着いたのは、やっぱ気まぐれロックの収録が始まったばかりの時間だった。
本来ならばオープニングセレモニーの時間帯だろう…。
ーーー間に合った…かな?!
キョーコはやっぱ気まぐれロックの懐かしい場所へと駆け足で向かう。
通い慣れた場所へと続く道は頭に記憶されており、何の不自由もなくキョーコを収録の現場へと導いた。
目に映るのは、いつもと変わりない和やかな気まぐれの収録。
ーーー良かった!!間に合った!!
キョーコがホッとしたのもつかの間、キョーコのいる場所とは反対側の下手の入り口から蓮がスタジオに乱入してきたのを見て、キョーコは固まった。
「ちょっと失礼!!ここにキョーコは来てませんか?!キョーコ!!キョーコ…俺のキョーコ!いるなら出て来て!!」
必死の蓮は周りが見えていないのか、ポカンとする観客も視界に入っておらず、ただただキョーコの名前を呼び続ける。
先程のテレビでは蓮の上半身しか映ってなかったから気付かなかったが、蓮の足には、滂沱の涙を流した社が縋り付いていた。
「レ~ン~もう、これ以上はやめてくれぇ!!!!敦賀蓮のイメージがぁぁぁぁー。」
社はどれだけ泣き続けていたのか、声はかすれ気味で、蓮には届かない。
人一人張り付いているというのに、蓮はモノともせずに軽々と動き回る。
観客もそんな蓮の姿にドン引きである。
普通なら蓮が現れた時点で黄色い歓声が上がるところだが、今は会場中がどうしていいのかわからず、ただただ困惑顏でどよめいている。
「っキョーコ?!」
蓮は呆然と佇む鶏の着ぐるみ坊を捕まえると、ガポッとなんの躊躇いもなく頭を外した。
そこには真っ青な顔をした小柄な男が入っていた。
蓮は一瞬で男が入ってることを確認すると、目にも留まらぬ速さで頭をはめ、何事もなかったかの様に、またキョーコの名前を呼び始めた。
そんな蓮の頭上から馬鹿にしたような笑いが降ってきた。
「はっ。敦賀サンよぉ!芸能界一ピーなんて言われてる名が泣くぜ?キョーコなんぞで何、取り乱してやがんだよ!!それに、俺のキョーコなんて聞き捨てならねぇな!キョーコはお前のモノじゃねぇよ。」
階段の上に現れたのは、歌手の不破尚。キョーコの幼馴染だ。
その声と言葉に、蓮の不機嫌はピークに達する。
怒りMAXの似非紳士笑顔が炸裂した顔で、蓮は尚を見た。
「随分なご挨拶だね?不破君…。キョーコのことで君にとやかく言われる覚えはないよ?」
キョーコの中の怨キョが恐れおののくほどの恐怖に怯えている。
キョーコの頬が引きつった。
しかし、会場はその蓮の笑顔にすっかり騙されて、微笑みに歓声を上げてる者も数人いた。
余裕の態度で返されたと思った尚がムッとして更に言い募ろうとした時に、司会のブリッジロックから待ったがかかった。
「あ、あかんわっ!敦賀さん!!勝手に入ってこられたら、いくら同じ事務所とはいえ困りますわっ!」
「不破くんも、紹介される前に出てこられちゃ困るよ。今日これ生放送で撮り直しきかへんのやけど。せっかく三周年記念として初回ゲストを呼んだのに、サプライズじゃなくなったし!」
「つ、敦賀君、何勝手に京子ちゃんを俺のもの発言してるん?!京子ちゃんは誰のものでも…」
光の言葉を遮るように、尚が口を開く。
「そうだよ!敦賀サンよぉ!キョーコはお前のモノじゃない!!俺のだ!!寝言は寝てから言いやがれ!!」
「君こそ、寝言は寝て言ったらどうだ?彼女の純情を踏みにじって家政婦扱いしてボロ雑巾の様に捨てたお前が、どの口を開いて俺のもの発言をするんだ?!キョーコは貴様のモノじゃない!!」
最早、温厚紳士敦賀蓮の面影はどこにも存在していなかった。ギロリと尚を睨む姿は人一人平気で殺めてしまいそうな危険な光さえはらんでいる。
「てめぇ…」
正に一触即発。
そんな雰囲気の中に、キョーコは意を決して飛び込んだ。
「れ…敦賀さん!!」
皆がゴクリと生唾を飲み込み見守る中で響く澄んだ声。
弾かれた様にそちらに目を向けた蓮につられ、会場中の視線がキョーコに集まった。
「?何だ…誰だおま…」
「キョーコ!!」
尚がキョーコと気付かずに怪訝な顔を見せるが、蓮の表情はみるみる内に喜び溢れる顔になり、キョーコの名前を呼び駆け寄った。
「は?!キョーコ…だと?!」
尚は変装しているキョーコの変貌ぶりにあんぐりと口を開く。
「キョーコ…」
涙目で見上げて来る少女の頬に蓮は恐る恐る手を伸ばす。
その蓮の手が、小刻みに震えていることに気付いたキョーコは困ったように微笑んで、その手を自分の手で握ると、頬を擦り寄らせた。
「キョーコ…!っ!!……キョーコ!!…キョーコ!!キョーコ!!!」
そんなキョーコの存在を確かめる様に名前を呼ぶ蓮は、キョーコの頬の暖かさと感触からようやく安心出来て、強く強くキョーコを抱きしめた。
「きゃっ!ちょっと…蓮さん!!人が見てる!!」
「関係ないよ!!関係ない!!よかった!キョーコが戻って来てくれて良かった!!」
「蓮さん…」
蓮の言葉からキョーコへの想いが溢れているのを感じ取ったキョーコの目にはじんわりと涙が浮かぶ。
ーーー私は、この人にこんなにまで愛されてるんだ…。
キョーコはそのことが嬉しくて、人前であることも忘れて、ゆっくりと蓮の背中に手を回しぎゅっと抱き締めた。
「あの、勝手なことしてごめんなさい。」
「いいんだよ。あぁ、俺のキョーコ!!良かった!!もう頼むから俺から離れないでくれ。君がいないと俺の世界は色を失ってしまうよ。」
「蓮さん…。」
「キョーコがいないと俺が俺じゃなくなってしまう。このまま帰ってこなかったらどうしようかと思った…。」
蓮の手が大切そうにキョーコの頭を抱え込む。
その手の優しさに、安心出来る温もりと香りに、キョーコは幸せを噛み締めた。
「ごめん…なさい。私…こんなに蓮さんが必死で探してくれてたことにずっと気付かなかった…。自分のことで精一杯で…」
「うん。ずっと探してたよ。」
「不安…だったんです。今が幸せ過ぎて、いつか壊れる幸せなんじゃないかって、その時のことを考えたら、凄い辛くて怖くて…逃げ出したくなったんです。今でも充分幸せなのに、これ以上幸せになったら、その幸せが壊れた時どうしたらいいんだろう…って、とても怖かったの。」
蓮はキョーコの話を聞きながら、安心させるようにキョーコの髪にちゅっちゅっと何度もキスを送った。
「俺は、例えこの命が尽きたとしても君を愛し続けるって誓うよ。だから、安心して?俺は絶対に君の手を離さないから。」
蓮は、キョーコの顎を持ち上げると、キョーコの目を覗き込みながら言い聞かせるように言い、額を合わせた。
キョーコがそれを聞いて恥ずかしそうにほにゃりと笑うと、蓮は唖然とする周囲を余所に、我慢出来ずキョーコに熱く口付けた。
唖然とした周囲は最早声も出ない。
何が起きたのかわからないとばかりに、ただただ口をポカンと開けて見るしかなかった。
時間にして数分…二人は何度も夢中になってキスを交わす。
尚もあまりのことに思考がフリーズしたのか、物凄い顔で石化していた。
ブリッジロックの石橋光も密かに京子へ想いを寄せていたので、ショックを隠せない顔で固まっていた。
一番始めにハッと我に帰ったのは、司会を務めるブリッジロックの慎一だった。
隣にいるリーダーを肘で小突く。
すると、光の体は力を失いフラリと倒れ掛け、それに気付いた雄生が慌てて光を支えた。
「わぁ!り、リーダー!!!!しっかりせい!!」
「た、大変や!!気ぃ失っとる!!!!す、スタッフ!!手を貸してくれ!!」
その司会者二人の声で、会場にも動揺とどよめきが湧き上がった。
蓮とキョーコは完全に二人の世界で、その周囲の声など耳に入らないのか、抱き締めあったまま離れようとはしなかった。
「キョーコ。俺たちのお家に帰ろう?」
「はい。蓮さん。心配かけてすみませんでした。」
「いいんだよ。最後にちゃんと俺の腕の中に帰って来てくれたからね。でも、もう次は辞めてね?」
「はい。もう…離れません。」
「ところでキョーコ?」
蓮はサラサラとキョーコのウイッグを弄びながらキョーコに声をかけた。
「はい?なんでしょう?」
「俺の想いよりも、占いを信じたんだってね?」
「へぁ?!ど、どうしてそれを?!?!」
「夕方TV局で、君と一週間位前に番組で一緒になったタレントと会ってね。内容を教えてもらったんだ。キョーコの様子が可笑しくなったのも、その頃からだったよね?」
「うっ…あの、すみませ…」
「どうやら、俺の君への想いの強さをもっとちゃんと証明しないといけないようだね?」
「へ?!」
キョーコの顔が真っ赤になり、引き攣る。
「今日の夜は覚悟してね?」
「?!?!?!?!そそそそそ、それは…!!」
逃げ腰になるキョーコの身体を蓮は絶妙な力加減で引き留める。
「明日の結婚式…逃げられない様にしてあげるね?」
にっこり微笑んだスマイルは、果たして神々スマイルなのか、似非紳士スマイルなのか…。
キョーコはどちらにしても固まるしかなかった。
そんなキョーコを軽々とお姫様抱っこで抱え上げると、カメラに向かって蓮は謝罪の気持ちを込めて頭を下げたが、その顔は締まりのない顔になっていた。
「どうも、お騒がせしてしまってすみませんでした。花嫁が逃げてしまっては、明日の結婚式が成立しませんからね。なりふりかまってられませんでした。見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありません。」
蓮の言葉と、蕩けきった笑みで会場にどよめきが広がった。
「れ、れれれ、っ敦賀さん!!」
横抱きにされながら真っ赤な顔で抗議するキョーコに、蓮はにっこりと微笑む。
「うん?公表は明日の約束だったけど、今日あんなキスを生放送でしてしまったからね。日本中の人に俺たちのことを知ってもらっておかないと、ありもしない変なことを書かれても困るだろう?」
「なっ?!あ、あんなキキキキス?!誰のせいでこんな事態になってると思ってるんですか?!」
「ん??何かな?俺のせいだとでも??元はといえば君が俺から逃げるからだろう?あぁ、逃がしてしまった俺が悪いのかな?」
キュラキュラと輝く笑顔で嫌味をいう蓮に、キョーコは観念したように溜息を吐いた。
「もうっ…。蓮さんの意地悪…。」
この体勢でいることが恥ずかしいのか、キョーコは顔を真っ赤にしたままそっぽを向く。
そんなキョーコに蕩けんばかりの笑顔を向ける蓮に観客からはうっとりとした溜息が漏れる。
「では、ブリッジロックの皆さんも、邪魔をしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。」
「あ、いえいえ、そんなっ!でも、まさか京子ちゃんが敦賀さんとデキてたなんて…な。」
「あ、あぁ…、ちょっとショックを受け止められんかったやつが若干一名おったけど、幸せにな!」
「光さん…どうかされたんですか?」
スタジオの側で放心中の光に首をかしげながら、心配そうに見やると、キョーコを抱えている蓮がムッとした顔を向ける。
「へぇ…こんな時に他の男の心配?」
「へ?!そ、そりゃあ心配にもな…っんん!」
キョーコの言葉は蓮の口付けによって塞がれた。
会場中から悲鳴が上がる。
キョーコの身体からくたりと力が抜けるのを確認して、ようやく蓮はキョーコを解放した。
「…では、俺たちはこれで失礼しますね?」
満足そうににっこり微笑んだ蓮に、ツッコめるモノはこの場にはいなかった。
尚も石化したまま思考は停止していたのだ。
去って行く蓮とキョーコを会場中が某然と見守るしかなかった。
ざわめくスタジオ、沸騰する観客…。
もはや、やっぱ気まぐれロックの収録どころではない。
蓮とキョーコのやり取りは、バッチリお茶の間に流れ、皮肉なことに、瞬間最大視聴率は79%と有り得ない数字を叩き出していた。
問い合わせが番組に殺到するも、TV局側に詳細がわかるわけもなく大混乱。
そしてこの人、奏江もテレビの前で真っ赤な顔で固まっていた。
ーーーなんって恥ずかしい人なの?!
独占欲剥き出しで、世の中の男性陣に見せつけるような熱い口付け。
口付けながらばっちりカメラ目線で睨み付けるのも忘れなかった蓮。
そんな睨み付ける姿も色っぽいとは、流石芸能界一の抱かれたい男の名を取り続けているだけあるはずだ。
キョーコ相手には蕩けんばかりの笑顔を見せるくせに、キョーコを狙う相手には容赦なく威嚇をする。
「思わず録画しちゃったけど…どうすんのよ?これ…。」
奏江は、録画の停止ボタンを押して某然とテレビを眺めた。
その後の画面の中の気まぐれの生放送は、当然ながらグデングデン。
ーーーこのまま見続けても面白くなさそう…
そう思った奏江は、少し考えた後、先程録画したビデオを再生させた。
「ちゃ、ちゃんと撮れてるか、確認するだけよ。」
誰に言ってるのか定かではないが、言い訳を口にした奏江は深呼吸をして、黙々と録画した番組を最初から再生し始めた。
後に、蓮とキョーコが芸能界一お騒がせカップルだとあちこちで呼ばれるようになったのは、まぁ仕方のないことだろう。
END
*****
次の日の結婚式では、真っ赤な顔のウエディング姿のキョーコが花婿である蓮にお姫様抱っこをされた状態でバージンロードに現れたとか☆
結婚式でのそんな入場は前代未聞…みたいな??(笑)
途中から社さんどこ行った?!みたいなことになっちゃいましたが、これにて終了です!!(笑)
ケロちゃんさん、どうしでしたでしょうか??
ちゃんとリクエストにこたえれたのか疑問では有りますが、お楽しみ頂けてれば幸いです♪
ブリッジの会話は似非関西弁になっちゃいましたので、ツッコミどころ満載かとは思いますが、大目に見てやって下さいー!!!!
ケロちゃんさんと、アメンバーの皆様に捧げます♪
煮るなり焼くなり、見なかったことにするなりお好きにどうぞー♪( ´ ▽ ` )ノ
ケロちゃんさんどうぞお納め下さいませ♪
遅くなった上に、長くなってしまいごめんなさいー!!