通常投票は午前7時に始まり、午後7時か8時に締め切られます。投票箱は封印され、それぞれの開票所に運ばれます。開票所ではその開票所でカウントされる全ての投票箱が到着するといよいよ開票作業がはじまります。
開票作業は①仕分②計測③立会人④保存・・・・の4つの行程と不明票の確認の5つに分かれて行われます。立会人は各候補者陣営から一人ずつが選出されます。

開票所内数箇所に配置された仕分所では封印されて届いた投票箱を開け、候補者毎に作られた箱に投票用紙を仕分します。ある程度その箱に投票用紙がたまるとこの箱を計測所に持ち込みます。ここで500票ずつにまとめ、検印の表紙を付け、計測機器(銀行などで紙幣を数えるものと同じ)に2回かけて数を確認します。500票毎になった束は立会人に回され、立会人が中身を確認、確認印を押して正式に獲得票となります。一方仕分所で不明票(無記名や苗字だけ、候補者以外の名前を記載など)と認定された投票用紙は確認作業をする所に回され、全ての開票作業が終わってから有効か、無効かを認定します。例えば同姓の候補者が2人いた場合に苗字だけの投票があれば、0.5票をそれぞれに按分されます。

選挙管理委員会の正式な公表は上記の立会人の確認が終わった票のみを発表しますので、開票作業が始まって第1回目の公表はだいたい1時間後くらいになります。ただし、余程開票時点で差がついていない限り、第1回目の公表は候補者毎の得票は同じ数でされます。

マスコミは速報のために各開票所に記者を配置します。配置された記者は双眼鏡などを手に、開票作業、特に仕分での各候補者毎の箱に入る票を注視します。
選管によっては開票作業の邪魔にならないなら開票スペースへの立ち入りを許している所もあります。私の経験では、あるTV局が十数人のアルバイトを動員して仕分のテーブルに3人ずつ配置、リーダーの合図で5分間自分の目の前の箱に入る票をカウントしていきました。リーダーの終了の合図を受けて散らばっていた計測員が自分の結果をリーダーに報告しました。リーダーは候補者毎にその結果を集計、約5分後、そのTV局は当確の速報を打ちました。当時の選管公表予定時刻は午後10時、速報が流れたのは開票作業が始まってわずか20分後の午後8時20分でした。
開票作業自身は同じペースで行われるわけですから、この計測方法は利にかなっているといえますね。開票所内への立ち入りが禁止されている所が大半ですが、開票作業は公平に行われていることを示すために体育館などで公開で行われます。従って仕分をしている至近距離から同様の計測は可能なわけです。

出口調査の結果である程度予想を立てておき、開票所での票の開き方で判断することで、選管公表よりも早く独自の当確速報を打つわけです。

では、なぜ各マスコミ、特にTV局が速報競争をするのでしょうか?それは、また後ほどご説明しましょう。