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成田で同行する、審判では後輩に当たるS君と合流。この頃の成田はすでに全館禁煙になっていた。S君も愛煙家なのは私にとっても幸いなのだが、喫煙可能な喫茶店を探すのが一苦労だった。


S「アメリカって今じゃいたるところで禁煙らしいですよ」


私「おいおい、聞いてないよ」


S「喫煙コーナーはあるらしいんですが、少なくとも機内とか空港の施設内はダメみたいです」


私「そっか、まあ仕方ないね。それより通訳よろしくね」


S「なんとか旅行会話くらいはできますから」


S君夫婦には子供がおらず、夫婦2人で半年に一度くらいのペースで海外旅行を楽しんでいるらしい。ここまで来たら、何もないことを祈ってS君のコミュニケーション能力に頼るしかない。



旅行代理店のカウンターに行き、チケットを交換した。当初はダラスに直行し、そこからローカル便に乗り換えて約1時間というルートだった。交換されたチケットで確認したら、最初の目的地がシカゴに変更になっている。シカゴから国内便に乗り換えてダラスへ、そしてローカル便というルートだ。発着時刻を見ていたS君が「ダラスでのローカル便への乗り換えが30分しかありませんよ」と言い出した。確かにチケットにはそのように記載してある。「代理店が手配したんだから大丈夫じゃないの」あくまで呑気な私であった。




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その後、チェックインカウンターに並ぶ行列につき、やたらと大きな荷物を3つも4つも抱えた中南米と思しき連中や、コニシキもビックリというサイズのアメリカの黒人などとともにチェックインを済ませた。あ互いに旅行かばんひとつなので、私たちは機内持ち込み荷物にして、チェックインを終えた。アメリカで受け入れてくれる現地の審判仲間へのお土産や、滞在中のタバコなどを免税店で買い込み、機内では吸えないタバコを一服。案内に従って機中に入った。



日本の航空会社なので、少なくともシカゴまでは言葉で不自由はしないだろうということで、私たちは別々のシートを取った。国内線と大差ないつくりの機内、客席は8割程度埋まっている。足元に荷物を置くと早速靴を脱ぎ、リラックス体勢になった。やっぱり日本人なんだろう。目の前の液晶ディスプレーは日本で未公開の洋画や空路を表示する地図などが切り替えで見られるようになっている。なんせ半日、12時間以上を機内で過ごすのだ。のんびりいくしかなさそうだ。持参した文庫本を取り出してライトを点けた。



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しばらくすると離陸になった。お恥ずかしい話だが大学生になるまで飛行機に乗ったことがなかった。卒業してからの初任地が福岡だったこともあり、その後はそれなりに飛行機は利用しているのだが、いまだに「鉄の塊が空を飛ぶ」という印象が強く、特に離陸と着陸の時には緊張する。ディスプレーでは機首につけたカメラが離陸の様子を映している。夏の日差しがまだまぶしい夕刻、なんとか無事に離陸した。はてさて、ここからどんなことがまちうけているのやら・・・・・空路表示に変わったディスプレーでは、機体が日本列島から離れつつあるのが映し出されていた。                         (続く)

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