【ゆのみん企画・ ,(コンマ)】


『祈り』3

「ヒョン?ヒョンはね、これから兵役につくんですよね。」

「ああ、そうだよ。」どや顔で言う。なんで、どや顔なんだよ。

「なにかあったらね・・。」

「皆を守る。」

「そうですけれども・・・。だからこそ、ヒョンの健康と無事を祈らないと!」

「あ・・・そうだね・・・。」

おいおい、今気づいたのか?自分のこと??

「俺は、たぶん大丈夫だよ。」

なんなんだ?その大丈夫って?

「じゃあ、もう一つ祈っておこう!」

そうですよ。ヒョンが無事に帰ってこないと・・・東方神起やれないじゃないですか。

一番大切な事ですよ。

その時、ポンと僕の肩にヒョンの掌がおかれた。そして・・・

「チャンミン、お前が無事に帰ってこれますように・・・。」

そう、ヒョンが呟いた。

何を言ってんですか・・・この場におよんで、まだ・・・。

そう、言おうとしたけど・・・言葉が出ない。だって・・・。

瞳が涙で一杯になっていく。だめだ、泣き顔なんて見せられない。

「お前を見送ってやれなくて、ごめんな。俺・・・待ってるからな。」

「ヒョン・・・。」

泣いちゃダメだ・・・。

「何を言ってるんですか、僕は大丈夫ですよ。」

視線をヒョンとは逆方向にむけ、こたえた。涙は、見られたくなかった。

「だな・・・。でも・・・待ってるからさ。無事で帰ってきてくれ。」

「ヒョンこそ・・・。」

「俺にはさ・・・お前が家だからさ・・・帰ってくるよ。」

「じゃあ、僕が祈りますよ・・・ヒョンの無事を・・。」

「そうか・・・じゃあ、頼むな。」

肩を組んだまま、ジャングルジムに寄りかかり、二人で月を見上げていた。

きっとヒョンが行ってしまう7月21日には、いろんな人達が、いろんな思いで、ヒョンの無事をそして東方神起の再始動を祈るだろう。

すべての願いが叶えばいい。いや・・・ヒョンと僕で叶わすんだ。

視線をヒョンに移すと、凛々しい横顔。ヒョンは、迷いのない目で月を見上げていた。

綺麗な横顔だった。

ぽとりと・・・瞳にたまった涙が落ちる。

ヒョンが、僕の方をふり向いてた。

「泣くなよ。チャンミン。これから・・・又、始まるんだ。新しい俺達がさ・・。」

そういって、ポンポンと僕の肩を叩いた。

夜空に上がる綺麗な月が、そんなヒョンと僕を見つめていた。

ヒョンと、またこうやって、月を見上げる日が来ることを・・心から祈った。

 
FIN


<あとがき>

【ゆのみん企画第78回お題 ,(コンマ)】『祈り』最後まで読んでいただきありがとうございました。大感謝です。

本当に本当にありがとうございました!!

白おおかみ


【ゆのみん企画第78回お題:,(コンマ)】
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