Negicco「Rice&Snow」 | Rotten Apple

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[Japan,Pop]

01.トリプル!WONDERLAND
02.ときめきのヘッドライナー
03.1000%の片想い feat. Tomoko Ikeda (Shiggy Jr.)
04.クリームソーダLove
05.サンシャイン日本海
06.裸足のRainbow
07.二人の遊戯
08.パジャマ・パーティー・ナイト
09.BLUE, GREEN, RED AND GONE
10.Space Nekojaracy
11.自由に
12.光のシュプール
13.ありがとうのプレゼント


アイドルにストーリー性は必要ないと言われはじめてしばらく経つ。例えば最近あまりに盛り上がりすぎているポップ至上主義のようにカウンターとしてのポップさを支持しているだけで、本当にポップなものが好きという人はどれくらいいるんだろうと。それと同じようにアイドルにストーリー性が必要ないというのも、執拗にストーリー性を押し出してくる業界へのカウンターのような気がしてならない。
アイドルのストーリー性について某マネージャーはこんなことを言っていた。"もうアイドルにストーリー性は必要ないと言われるけれど、人間なんだから続けていくだけでそこにストーリーは生まれる"。アイドルを続けていくということに関して彼女達ほど説得力のある存在はいないだろう。Negiccoの2ndアルバムを簡単に評するなら、良い子達がアイドルを続けていくうちに巻き込んだ人達と良い音楽を作り上げた温かいアルバム。12年という長い月日をかけて辿り着いた現時点での最高到達点。そんなアルバムが傑作にならない訳がない。

製作陣を見るだけでワクワクするアルバムではあるけれど、音楽好きを満足させる豪華メンツを揃えたというよりは、私達を応援してくれる人がこんなに増えましたという印象になるのは彼女達の人柄ゆえか。その豪華製作陣に臆することなくまるでジャケットのように自然体なNegiccoの姿がこのアルバムには溢れている。
アルバム1曲目は矢野博康(ex.Cymbals)による「トリプル!WONDERLAND」。ダンサブルなポップチューンでありながらも、歌詞は彼女達の決意を感じるエモーショナルさで溢れている("どこまで続く未来 夢見ていてもいいよね? 奇跡を起こすよこの街からキミのハートへ")。そして前作から引き続き参加のNONA REEVES西寺郷太による「ときめきのヘッドライナー」という聞き手のハートをがっちり掴みにいく2曲で始まる。Shiggy Jr.Orland、大きな転機となった田島貴男による歌謡曲「サンシャイン日本海」など新しく仲間となったアーティストもそれぞれの持ち味を活かした楽曲を提供。
それ以降はさらに楽曲の幅が拡がっていく。スカートによるアレンジがシュガーベイブを彷彿とさせる「裸足のRainbow」、80'sエレクトロファンクなアレンジが絶妙な「二人の遊戯」。変則ドラムンベースな展開を見せる□□□三浦康嗣による「BLUE, GREEN, RED AND GONE」、TB-303のうねうねサウンドが話題のテクノポップ「Space Nekojaracy」、そして蓮沼執太アレンジの「自由に」は予想を裏切りラップ調のボーカルを取り入れスピーカーから飛び出してきそうなほどライブ感溢れるピースフルな曲に。そういった実験的な曲が続いた後に流れてくる極上のウィンターソング「光のシュプール」はあまりにも素晴らしい。

そしてアルバムを締めくくるのはNegicco作詞による短いありがとうの歌。このアルバムはNegiccoからいつも支えてくれているファンに向けたありがとうのプレゼントだった。ファンにとっていつまでも良い曲を歌い続けてくれることが何よりも大きなプレゼントに違いない。それに対してファンはこちらこそありがとうと、お互い素直にありがとうとよろしくねを言い合える信頼関係だけで物語は続いていく。お米と雪の街新潟から結成12年目にして初のオリコンTOP10入り、そして初の全国ツアー。これからもっと素晴らしい景色へ。ここまでが長かった。この先もずっと長く続けばいい。