the American Movie「Wear is」 | Rotten Apple

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[Japan,PopRock/Punk]

01.Bounce Back
02.Suitable
03.Call Me When You Fall Down
04.Ever Tell
05.I've Been Fool
06.Like You
07.I'm Sorry And Take My Hand
08.Tonight, We Are All The Same(acoustic)
09.This Theory
10.Getting Wide Awake
11.There Is Only Maybe


今年世界中でチャートを騒がせているオーストラリアの5 Seconds Of Summerというバンドがいる。10年代のAll Time Lowと称される彼らの人気によって海外では新世代ポップロックという流れが生まれていて、恐らくそれは近い内に日本にも波及するだろう。
トレンドを意識せずただ自分達が良いと思った曲を作り続けた彼らに時代が追いついたと言ってしまうのはこじつけが過ぎるだろうか。5SOSと音楽性やルーツは異なれど、ポップパンクを通過した普遍的なロックサウンドという点において、時代が求めているのは彼らなのではないかと思った。
北九州のthe American Movie。その実力からすれば遅すぎる初の全国流通アルバムをFASTLIFE RECORDSよりリリース。

まるで日常を彩るサウンドトラックのようなアルバムだ。The Starting Lineに影響を受けた甘酸っぱいグッドメロディに、どこか幼さの残る優しい歌声。人の弱さと温かさを紡いでいくそのメロディは映画のBGMのように普遍的な物語を彩っていく。
何かに急かされるように始まる「Bounce Back」、さらに「Call Me When You Fall Down」で物語は加速し、自らの弱さに直面し見つめ直す「I've Been Fool」。「Tonight, We Are All The Same」で仲間たちと手を取り合い、そして「Getting Wide Awake」でクライマックスを迎え、「There Is Only Maybe」は長い月日を経たエンドロールかのように涙腺を刺激する。

このアルバムからは人間の弱さと真正面から向き合い葛藤し、そして仲間と支え合ってきたノンフィクションな物語性を感じた。北九州がポップパンクの街へと変わりつつあるのもその仲間たちと共に続けてきたからこその結果だろう。
しかし先陣を切っていたACCIDENT I LOVEDは歩みを止め、後ろを追いかけてきていたJoe's Away From Herは解散、ジャンルは異なるがIZPも活動休止と暗いニュースが続いている。

各々やむを得ない事情はあるにせよ仲間たちが歩みを止めた今、誰が動くべきか、誰がこの街でてっぺんに立つべきか、そして時代が誰を求めているか、"自分を追い立てる理由"はそれだけでは不十分だろうか。このアルバムが彼らの"story so far"であるならば、これからの物語に期待しよう。
"I really think you ought to know what is just going on. It's time to work it out."という言葉は今の彼らにこそぴったりだろう。