Carousel Kings「Unity」 | Rotten Apple

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[UnitedStates/Lancaster,PopPunk/Easycore]

01.Headphones
02.Stuck
03.Cycles
04.Free
05.Change
06.Mistakes
07.Chainsaw
08.Silence
09.Zombie (ft. Alex Good)
10.Cancer
11.Light
12.Hope


ポップパンクと呼ばれるジャンルが日本でも再び盛り上がりを見せるととともに、これはポップパンクか?何を以てポップパンクか?という議論はジャンルが新しく定義される際にいつも交わされてきた。結論に至らないテーマではあるが、個人的にGREEN DAYGood CharlotteNEW FOUND GLORYといったポップパンクを好きになったのは、口ずさみたくなるキャッチーなメロディに惹かれたからだったことを思い出す。
現在のシーンはテクニカルにプログレッシブにという傾向が主流だが、その流れは収束気味でテクニカル主義からメロディ主義へと戻りつつあるように感じる。恐らく近い内に00年代ポップパンクや日本のメロディックハードコアのようなシンプルでキャッチーなサウンドが再評価される流れが来る。そしてCarousel Kingsのアルバムがそのきっかけのひとつとなるような気がしてならない。

シーンの流れを追っていればチェックすべきバンドはある程度把握できるが、Carousel Kingsは完全にノーマークだった。国内盤はおろか輸入盤すら大手CDショップで取り扱われておらず、国内サイトではALTERNATIVE PRESS JAPANくらいしか取り上げていない(良いレビューだったのでぜひ)。CHUNK! NO, CAPTAIN CHUNK!These Heartsのような派手さはないが、彼らはただシンプルにメロディアスな素晴らしいアルバムを作り上げてくれた。

MVになっていたHeadphonesStuckの抗えないメロディの心地よさは言うまでもなく、続くCycles~Freeではイージーコアな展開に10年前のメロディが乗るという新鮮さ。さらにメロディックハードコアとのクロスオーバーを見せるChange~Chainsaw~Silence、元Texas In JulyのAlex GoodをフィーチャーしたZombieではハードコア要素強いショートチューンという飛び道具も。
ここまででも十分なほど素晴らしいアルバムだが、Light終盤の展開からHopeへの流れは今までのそれを超える。特にHopeのメロディはこのアルバムでもトップクラスのエモーショナルさで涙腺を刺激してくる。この曲が凄まじい余韻を残しアルバムを素晴らしいものへと昇華させているのは間違いない。

曲の構成的にはイージーコアの流れを汲んでいるものの、キャッチーなメロディが一貫して存在するため何故かあの頃のポップパンクを思い出してしまう。このアルバムがシーンで評価されないのなら10年代のポップパンクはもう追いかける価値がないと言い切ってしまってもいい。最近のポップパンクは何か違うと思っている方にこそ聞いてもらいたい。あの頃のポップパンクを思い出させる10年代に生まれたポップパンクの傑作をぜひ。