黒人女性の床屋政治談議;予備選の行方(NYT10月12日) | カフェメトロポリス

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電脳世界と現実世界をいきあたりばったり散歩する。

米国の大統領選の党候補者指名競争が続いている。ニューヨークタイムスのKatherine Seelyeが南部のサウスカロライナの黒人女性たちにインタビューし、彼女たちの、クリントン、オバマ、エドワーズに対する面白い反応を報じている。(1014日)そこには、アメリカの生々しい歴史が反映している。黒人女性たちは、その溜まり場である美容院に集まり、黒人であるオバマの生命の安否を心配したり、元大統領のクリントンに対する敬愛から発するヒラリーへの親愛や、白人男性優位という米国に対する現実的認識を明らかにしたりしている。米国版床屋談義だ。

http://www.nytimes.com/2007/10/14/us/politics/14carolina.html?hp=&pagewanted=print

In the beauty parlors that are the social hubs for black women in the Carolinas, loyalties are being tested as voters here contemplate the first Democratic primary in the South.

カロライナの黒人女性にとっての社交の場である美容院では、有権者が南部で最初の民主党予備選挙について考えるなかで、彼女たちそれぞれの忠誠心が試されている。

Clara Vereen, who has been working here in rural eastern South Carolina as a hairstylist for more than 40 of her 61 years, reflects the ambivalence of many black women as she considers both Senator Barack Obama of Illinois and Senator Hillary Rodham Clinton of New York.

サウスカロライナ東部の地方都市で、61年の人生のうち40年以上、美容師として生計たててきたClara Vereenのなかに、まさに、イリノイ州選出の上院議員バラク・オバマとニューヨーク州選出のヒラリー・ロドハム・クリントンの両者を比較するなかで、多くの黒人女性が感じるためらいが現れている。

I’ve got enough black in me to want somebody black to be our president,” she said in her tiny beauty shop, an extension of her home, after a visit from an Obama organizer. “I would love that, but I want to be real, too.”

彼女は自宅のなかに作った小さな美容院で、オバマ陣営の活動員の訪問を受けたあと、こう語った。「私も黒人なので、黒人を自分たちの大統領にしたいという思いは十分すぎるほど持っている。そうなったらどんなにいいかと思う。しかし、自分としては現実的でもありたいと思う。」

この現実的という言葉の意味には、インタビューも驚きのなか発見した、黒人社会の女性たちの心性を深く反映したものが含まれているのだ。

I fear that they just would kill him, that he wouldn’t even have a chance,” she said as she styled a customer’s hair with a curling iron. One way to protect him, she suggested, would be not to vote for him.

「私は(オバマが大統領になると)彼が殺されてしまうのじゃないかとか、そもそも大統領になるチャンスがないのではないかと思っている。」と、彼女はお客の髪にカーラーをまきながら言う。そして、彼を守るために、投票をしないという考え方もあるのだと示唆した。

And Mrs. Clinton?

ではクリントン女史についてはどう思うのか。

We always love Hillary because we love her husband,” Ms. Vereen said. Then she paused. Much of the chitchat in her shop is about whether a woman could or should be president.

「私達は、いつもヒラリーのことが大好きでした。理由は、私達が彼女の夫のことが好きだからです。」とVereenさんは言った。そこで彼女はいったん話すのをやめた。彼女の店のなかでの世間話の中心は、女性が大統領になれるか、あるいはなるべきかという話題だった。

A man is supposed to be the head,” she said. “I feel like the Lord has put man first, and I believe in the Bible.”

彼女は再びこう続けた。「男が長になるものだと思っている。神様が最初に男を作ったと思うし、私は聖書を信じている。」

彼女がすべての黒人女性の情緒を代表しているわけではないが、予備選挙で重要な役割を果たすサウスカロライナ州で、重要な影響力を持つ黒人女性たちは、現実の生活と、過去の歴史のなかで、自分の選択について深く考え込んでいる。

In interviews with more than three dozen black women both here and in Columbia, the state capital, most said they were still puzzling over which way to go. Some said that specific issues like health care and education were important to them, but most thought their votes would be based on intangibles and determined in the end by prayer.

サウスカロライナと州都のコロンビアの30数人以上の黒人女性とのインタビューによると、ほとんどの女性たちはどのような選択を行うかについていまだに迷っているといった。医療や教育のような個別の論点が重要だといった人もいるが、ほとんどの人たちは、眼に見えないものに基き、最後には祈りによって誰に投票するかを決めると答えた。

This is history here,” she said, puckering up a client’s hair. “On both sides. Either way, it’s history. So let’s see what history going to bring in.”

Vereenは、お客の髪を整えながら、言った。「ここでは歴史が重要だ。どちらにとっても、歴史が重要なのだ。歴史がどんな結果を呼び寄せるのかを見つめようと思う。」