エストニアのサイバーテロ (ニューヨークタイムス) | カフェメトロポリス

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エストニアのウェブ社会がサイバー攻撃にさらされているという。その背後にプーチンのロシアの影を見るというニューヨークタイムスの論説。

A Cyberblockade in Estonia

エストニアのサイバー封鎖

http://www.nytimes.com/2007/06/02/opinion/02sat3.html?_r=1&oref=slogin&pagewanted=print

小国だが、技術的には進んだエストニアという国が、インターネットへの依存度が高まっている世界中に対して重要な警告を発した。先月、インターネットに対する組織的な襲撃が集中的に発生し、数日間、政府や経済活動がほぼ閉鎖状態になるという、サイバースペースにおける最初のリアルな戦争を闘ったのである。

エストニアのバーチャル社会への攻撃は、4月に政府当局がタリンの中央公園にあるソビエト兵士のブロンズ像を、市の中心からはほどとおい戦没兵士の墓に移動させたときからはじまった。多くのエストニア人にとって、このブロンズ像はスターリンの命令による故国へのソビエト侵入を思い出させるものの一つだったのである。しかしロシア人とロシア出身のエストニア人はこの政府の動きに対してすぐに路上での抗議行動で応じた。ブロンズ像の移動は、彼らにとっては、第2次世界大戦においてナチスと闘ったソ連人たちへの不敬の証拠だったからである。

タリンでの騒動や略奪も、エストニアのコンピューターへの攻撃に比べれば軽微なものに思われるほどだった。政府、企業、いくつかの新聞社のウェブサイトが悪質な情報の波によって妨害され、コンピューターネットワークが続々と閉鎖されることになった。エストニアのある閣僚は、国家の港湾がすべて閉鎖されたような、一種の電子的封鎖(Blockade)と呼ばれるべき水準に達しているといった。エストニア当局は、これらのデータ流入の黒幕はクレムリンだと非難している。ウラジミール・プーチン大統領の政府は一切の関与を否定している。

近年、政府、企業、個人は、ハッカーや破壊的ウィルスが機密情報を盗んだり、破壊することを回避する努力を続けている。エストニアはコンピュータに依存する現代世界に対して、情報戦争には多くの攻撃的形態がありえることや、それをどのように止めるのか、最終的に背後には誰がいるかを解明することが我々すべてのセキュリティにとって重要であるということを知らしめるという役割を果たしている。

(以上)