外国へ出かけて物乞いはイヤだ


あの年の秋の日経新聞の夕刊に、宮城県の高校生が、中国の国際会議へ出かけていって支援を訴える、という記事がありました。

なぜ、外国へ出かけていって、物乞いのようなお願いをするのか理解できませんでした。

これは高校生を派遣し支援を訴えさせる大人が悪い、と思いました。

念のために、別の新聞記事を見ました。

すると、ずいぶんと話が違うのです。

高校生は、「東日本大震災被災地の高校生、大学生の代表として、被害状況や支援への感謝などを世界に発信。

現地住民や四川大地震の遺児らとも交流し、日中間の相互理解を深める。」

「会議では被災地が前を向き、一歩ずつ進もうとしていることを訴えたい。四川大地震で被災した人たちと思いを共有し、痛みを和らげたい」と語る。

「今の自分がいるのは国内外からの支援のおかげ。感謝の気持ちとともに、地域の団結力、コミュニティー力の大切さを伝えたい」と決意する。

(岩手日報)


支援のお礼を言うためにいくのだから日経の記事とは全く逆でした。


ところで、あしなが育英会は、学生の代表をニューヨークへ派遣して、街頭で募金活動をしました。

このときも、なぜ、安くない旅費をかけてまで外国へ出かけていって、募金をお願いするのか理由が分かりませんでした。

あしなが育英会は交通遺児の応援から始まり、今では立派なビルを所有した大世帯になって、アフリカで遺児のための支援をしている団体です。海外を支援するのは分かります。

あしなが育英会は日本では立派な活動をする団体として尊敬されていますが、アメリカでは無名だと思います。

「哀れな日本の子どもが街頭に立って物乞いしているからお金を恵んであげる」、きっと、アメリカ人はそう思うに違いありません。

それを承知で、子どもを外国へ派遣して支援をお願いさせる大人のねらいは何なんだろうと、理解できませんでした。

ちなみに、
東北の若者を中国へ派遣するのは、教育支援グローバル基金(東京)による教育支援事業「BEYOND Tomorrow」の一環とされていました。

この基金は「世界経済フォーラム・ダボス会議によって選出されたヤング・グローバル・リーダーズ(略称YGL)が中心となり、東日本大震災の被災児童に対してリーダーシップ教育を行う一般財団法人教育支援グローバル基金が設立されました。」(http://www.willseed.co.jp/company/news/?p=580)。

ということで、震災後に、リーダーシップ養成のためにダボス会議関連で設立したものでした。

また、世界経済フォーラムは

世界経済フォーラムの運営資金は1,000社に上る会員企業により成り立っている。

会員企業の多くは売上高が50億ドル(3850億円)超のグローバル企業である。

また、2005年現在、各会員企業は基本的な年会費として4万2,500スイスフラン(370万円)、ダボスで開催される年次総会へのCEOの参加を対象とした年次総会参加費として1万8,000スイスフランを納めている。

インダストリー・パートナーは25万スイスフラン(2175万円)、ストラテジック・パートナーは50万スイスフラン(4350万円)をそれぞれ納め、フォーラムのイニシアティブで重要な役割を担っている。(ウキペディア)

これは、善意もさることながら、世界的なグローバル企業が、世界に何か自分たちの影響力を及ぼそうという団体だと思います。