日本の火山、活動期に? (1月30日日本経済新聞)
東日本大震災後、全国各地で活発 
巨大地震連動、9・18世紀にも 

(1)11年3月の東日本大震災以降、日本列島が火山の活動期に入ったと考える研究者は少なくない。
日本列島の歴史を振り返ると大規模な火山噴火や巨大地震が集中する時期がある。
江戸時代中期の18世紀に、富士山の宝永噴火(1707年)をはじめ北海道・樽前山(1739年)や桜島の安永噴火(1779年)、浅間山(長野・群馬県境)の天明噴火(1783年)など大規模な噴火が続いた。
山体崩壊による津波で火山災害としては歴史上最も多い約1万5000人の犠牲者を出した雲仙岳(長崎県)の噴火も1792年だ。
 
(2)この時期の地震では富士山の宝永噴火の49日前に起きた宝永地震がマグニチュード(M)9前後と推定され、現在想定される南海トラフ地震と震源が重なると考えられている。
他にも1703年に関東地方をおそった元禄地震などM8前後の地震がいくつも発生した。

(3)東日本大震災と震源域が同じM9クラスの巨大地震と考えられる貞観地震(869年)や南海トラフが震源と考えられる仁和地震(887年)が起きた9世紀はさらに活発だ。
864年には富士山が青木ケ原樹海をつくった貞観噴火があり、同年に阿蘇山も噴火。
前後して鳥海山(山形・秋田県境)や伊豆大島(東京都)も噴火。
886年には伊豆諸島の新島(同)が大規模な噴火を起こし伊豆半島にまで多くの火山灰を降らせた。
10世紀に入って間もない915年の十和田(青森・秋田県境)の大噴火は歴史に記録された噴火では最大規模とされる。

(4)火山の噴火と地震の連動性について科学による明確な説明ができるわけではない。
しかし、富士山の宝永噴火をはじめ巨大地震と前後して火山が噴火する例は世界でも多い。
史上最大のM9.5を記録した1960年のチリ地震が発生した2日後に、チリのコルドンカウジェ火山が噴火した例は有名だ。
地震が起きると地下にたまったマグマに加わる圧力が下がって上昇を始めたり、逆に地殻がひずんだ圧力でマグマが押し出されたりするのではないか、と考えられている。