前回は、結婚式でのスピーチが普段、私達がビジネス等で行っているスピーチと全く種類が違うという話をさせていただきました。その理由は、「スピーチのストーリーの主役が違う」「ファクトとエモーションの違い」そして「使う言葉が違う」の三つでした。これらの三つの理由から結婚式スピーチ特有のコツについてお話してみたいと思います。
今回は「スピーチのストーリーの主役が違う」という項目から、結婚式のスピーチのコツについて考えてみます。
「スピーチの主役が違う」という点から生まれる違いは、前回お話した通り、スピーチの構成の中心に必ず、新郎(新婦)が居なければならないという事です。従って、自分の存在をある程度、話の中から消さなければなりません。一定より多く、自分の話をしてしまえば、必ず場が白けてしまうのが、結婚式スピーチの特徴です。ここがこの項目から理解できる、コツです。
では、どうすれば、自分が話しているスピーチの中から、自分の存在を消す事が出来るでしょうか。ポイントは、スピーチ内に入れる“エピソード”部分にあります。このエピソードを全て“新郎(新婦)”と自分とのものだけにするのです。「そんなの簡単だし、当たり前だよ」って思った読者もいるかもしれません。しかし、よく考えていただければ分かることですが、これは結構、難しいことです。なぜなら、人は自分の事以外、本当は語れるはずがないからです。言葉というのは面白いもので、私達が普段思っているほど、自由では無いのです。私達は結局、自分という立場でしか何事も経験できないし、自分の事しか分かるはずがないのです。そのため、自分を“完全に”スピーチの中から消すことは不可能です。だからこそ、自分と新郎(新婦)のエピソードをスピーチの中心に持ってくるのです。
私達が見ていて失敗だと思うスピーチの多くは、あまりにも多く自分の事を語りすぎています。何かを話す時、人はどうしても自分の事を説明しなければならなくなりますが、結婚式スピーチの場では、あまり好ましい事ではありません。自己紹介は手短に、そして新郎(新婦)とのエピソードの中で自分を説明していく努力をしてみる事が大切です。
さていかがだったでしょうか。結婚式スピーチの特徴を理解していただけたでしょうか。
次回は、「ファクトとエモーションの違い」から結婚式スピーチのコツを紐解いてみます。乞うご期待です!