インフレーションとは
「インフレーションとは」
一般物価が持続的に上昇する現象を指し、個別財の価格上昇(相対価格の上昇)とは区別される。第1次大戦後のドイツのような急激なインフレのことをハイパー・インフレーションと呼ぶが、戦後の先進国では緩やかなインフレ状態がいつまでの払拭されないクリーピング・インフレーションが主にみられた。インフレの原因としては、財政の赤字などによって増加した需要に対する、供給能力の不足により発生するデマンド・プル・インフレ、労組の賃上げ圧力や企業の寡占化による製品価格に引き上げなど、供給サイドの要因により発生するコスト・プッシュ・インフレ等がある。また、原油価格の上昇といった輸入品の価格上昇による輸入インフレと国内経済活動の結果として生じるホーム・メイド・インフレといった区別の仕方もある。なお、マクロ的にみた時、事前的に総需要が総供給(完全雇用所得水準)を上回る場合はインフレ圧力が存在しているという意味で、その差額をインフレ・ギャップ、逆の場合の差額をデフレ・ギャップという。インフレーションは、短期的には名目固定収入の実質的な目減りなどによる所得分配の不平等化や通貨価値の不安定化による市場における価格のシグナル機能の低下といった弊害をもたらす。こうした影響はさらに、生活防衛的な意識を強めた消費者の消費抑制や、将来の不確実性による企業の投資抑制などを通じて景気を抑制する効果を有するが、こうしたインフレーションの持つ効果をインフレのデフレ効果という。