グーグルに勝つ広告モデル | 生みだす人になる(旧:watoのメモ帳)

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全然googleについて書かれていないgoogle本。

でも、めっちゃ良著でした。


グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書)/岡本一郎
¥756
Amazon.co.jp

「テレビCM崩壊」「ネットに飲み込まれるテレビ」「新聞の役割は終わった」「広告代理店は生き残れない」など、マスメディアにおけるビジネスモデルの危機が喧伝されている。実際、2007年にはインターネットの広告費が雑誌の広告費を抜いた。加えてテレビ、新聞、雑誌、ラジオのマスコミ4媒体広告費がいずれも前年割れしたのに対して、インターネットの広告費は124・4%の伸びを示した。このような状況で、既存のメディアはどうビジネスモデルを変えればいいのか?またインターネットを有効活用するには?新進気鋭のコンサルタントが、その道筋を明確かつ具体的に提示する。


今回の東洋経済でもマス広告について取り上げられたり、
クーリエでもジャーナリズム(新聞)についての特集があったりしますが、
この本はマス四媒体の現状と生き延びる道を具体的に書いている。


最近のこっち系の本って現状ばかり述べている事の多い中、
この本は超具体的な未来像を書いている。

すごく勉強になるので、広告やメディアを運営している方などは一読をお勧めします。


以下、抜粋。

・「提供情報」という側面だけ見れば、確かに代替は可能かもしれませんが、「情報の消費シチュエーション」や「アクセススタイル」を考慮に入れると、AMラジオというのは非常にユニークなメディアで、代替性は思ったほど高くないのではないか
・「そのメディアに接触している本質的な理由はなにか」
・情緒面が重視される市場の状況に対して、ツールとして情緒とターゲッティングを両立させられるメディアがない、つまり戦略課題とツールがフィットしていない、という問題があると思います。
・価格設定が不透明だということは、説得に時間がかかることになりますから、「取引一回あたりのコスト」にマイナス面で響いてきます。
・韓国ではテレビ局によるオンデマンドポイントキャストが5年前くらいに始まっているので、
HDレコーダーはまったく売れていません。タイムシフトのサービスをテレビ局が自ら提供しているので、
必要ないわけです。
・結局のところ著作権・著作隣接権の問題は、整理をするより「とにかく儲かるビジネスモデルを作れ」というのがその解決にもっとも近い道になると思います。
・アリストテレスは、人間をして「社会的動物」と定義しましたが、現代という時代は人と人の連携を
きわめて薄弱にしても機能しうる様々な形質を獲得しています。
でも、人と人のつながりが薄弱になる中で人々が問題意識として共有できる話題や事象を提供する機能が、やはり社会には必要であろうと筆者は考えています。
そして今現在、その機能を提供出来ているのはテレビと新聞だけなのです。
・人口が減る、というだけであって、セグメントごとで見て行った場合、
成長市場になるケースもあるという点

・(LEONについて)2000万円という数字は、憧れつつも努力すれば届くかもしれない数字である、
というところに、絶妙さがあるように思えます。
・大型のデジタルハイビジョンモニターを買う人のほとんどは、テレビ放送のためでなくDVDやゲームを
大迫力で楽しみたいという理由で購入していることが分かっています。別にバラエティや(中略)楽しみたいと思っているわけではありません。
・(テレビを見ない人たちは)テレビを見る6割の人たちよりも可処分所得が高いということも
分かっています。

・プラットフォームが先に作られて、市場の文脈の中でコンテンツが生まれる
・いわば「メディアアウト」というパラダイムに縛られてしまっているのです。



新書なのに、読み返したくなる濃い内容。

こういったメディアへの冷静な視点の本は毎年出て欲しい。
そうしたら必ず読みます。