「ルパンが好き」と言うと、私の周りの人々は十中八九ルパン三世のファンだと思います。でも私が好きなのは本家本元・フランス人の怪盗紳士、アルセーヌ・ルパン様なのです。

書店のレジカウンターに「ルパン全集」など置いてあるので珍しいな~と覗いたところ、今年はルパン誕生100年記念の年なのだそう。私は中学生の頃にこの手の推理小説に見事はまっていてシャーロック・ホームズ、江戸川乱歩(明智探偵もの)、そしてこのアルセーヌ・ルパンシリーズを学校の図書館で借りて読みまくりました。シリーズ全巻読破したのはルパンのみ。ホームズみたいに辛気臭く無いし(オイ)、明智小五郎の何だかちゃちな謎解きも無いし(オイ!)、冒険を繰り広げながら盗みを働く怪盗紳士様の姿にメロメロ(死語だし)になってました。

数あるルパンシリーズで好きなのは『水晶の栓』『813』『八点鐘』の3作。『水晶の栓』では、盗みは働いても絶対に人を手に掛けないルパンが自ら子分を撃ち抜いてます。この結論に至るまでの展開がたまらなく好き。ルパンが苦しんでいる分物語が面白くなっていると思います。『813』はやっぱり外せない!犯人が明るみに出て物語が終わってしまったら何とも言えず後味が悪かったと思うけれど、最後のあの展開がルパンらしくて良い!と思います。

『八点鐘』は失恋の常習者・ルパンが唯一、と言って良いハッピーエンドを予感させる幕引きで、解説に「(ルパンが珍しく失恋しなかったのは)物を盗まなかったからだ」と言っていたのが笑えました。八点鐘は8つの事件を解決しますが、やっぱり一番面白かったのは「斧を持つ奥方」。新聞を利用するルパンの犯人炙り出し手法がこれ程面白いと思った作品は無いかも。今の時代だったらネット広告になるのでしょうか??

ちなみに私が生まれて初めて「外国の本は訳者によって物語の雰囲気が全然違う」事を知ったのも、このルパン・シリーズです。学校の図書館にあった偕成社の訳本に馴染んでいたので、大人になって新潮文庫から出ている本を買った時はかなり違和感があって…。原書で読めるようになりたいものです。