41章 暴走
彼の家族の勧めで、彼は大学病院の心療内科を受診した。
医師の診察で「暫く様子を見る」事になり、軽い精神安定剤を処方された。
彼は自宅療養する事になった。
彼の「演技」はもう生物室の中だけでは無くなっていた。
ついに自宅でも、彼の狂気の発作の「演技」が始まったのだ・・・
彼は自分自身を制御しているつもりであった。
しかし、彼のこころの背後にいる「もう1人の自分」がもっと演技を続ける様に彼を唆していたのだ。
「周りの人たちが私の事を心配してくれる」この事が彼にとって快感であった。
「もう1人の自分」が彼にその快感を感受させる様に、ますます「演技」に力が入るのだった。
彼は2度意識不明になって、大学病院へ急患で運ばれた。
2学期の始業式の前日、家族に彼が補習授業を全く受講していない事が明らかになった。
問い詰める家族の目の前で、彼はまた「演技」を始めた・・・
しかし、今回の「演技」は彼の制御が全く出来なくなった、「もう1人自分」が暴走を始めてしまったのだ!
薄れ行く意識の中で彼は、ひたすらこころの中で叫んでいた・・・
「これは芝居だ!私は正常だ!」
「これは芝居だ!私は正常だ!」
「これは芝居だ!私は・・・