31章 永遠の別れ
文化祭当日、彼は優秀賞審査委員長として校内の全展示を見て回らなければいけなっかた。
優秀賞の審査は非公開であった。彼が審査委員だという事は公表されていなかった。
彼は部員達に理学部の展示に参加出来ない理由を話す事が出来なかった。
彼は午前中に半分の展示を審査を終えて、午後やっと理学部の部室に現れた。
部員達は口々に彼を非難した。
彼が偶然理学部の部室にいた時、あの人がやって来た・・・
部員達の好奇の目に晒されていても、あの人は笑顔で受け答えをしていた。
今度は部員達公認で彼とあの人の2人は校内見学へ出かけた。
2人はその間殆ど会話をしなかった・・・
文化祭1日目が終わった。
彼はあの人と一緒に帰って、今迄の事を色々話そうと考えていた。
そして、一人で頑張っていた彼自身を慰めてもらおうと、勝手に思っていた。
帰る間際にある部員があの人をからかった、あの人は顔を赤くして部室から飛び出して行った。
彼は急いであの人の後を追いかけた・・・
通学路の途中で彼はあの人に追いついた。彼はあの人に部員達の非礼を詫びた。
2人はバス停に着いた。バス停は文化祭帰りの生徒と客でとても混雑していた。
バスが到着した。彼は「混んでいるから次のバスにしよう」と言った。
あの人は彼の方を一度も見ずに黙ったまま、混雑したバスへ乗り込んでいった。
「さようなら・・・ もう、2度と会えない・・・ さようなら・・・」
呆然とした彼は、あの人を乗せたバスをただ見送るだけであった。
いつまでも・・・
いつまでも・・・