19章 卒業
3月の下旬に、彼の中学校の卒業式があった。
卒業式が終わった後、彼はあの人と制服で2人並んで記念写真を撮りたいと考えていた。
しかし、友達や父母が沢山集まっていたので、撮影するチャンスは無かった。
だから、彼とあの人が一緒に写っている写真は一枚も存在していない。
卒業式の3日前に彼は、あの人へ最後の日記を書いて渡した。
今までのあの人への思いを総て打ち明けて、高校が別になるのでもう会えなくなると書いた。
彼は自分の好きな歌の歌詞を日記に書いた、それは別れの歌であった。
思い返せば 夢の端々
苦しみ 楽しみ 幾星霜
晴れがましくも 輝ける春
互いの門出を 笑顔をで飾る・・・(略
卒業式にあの人が渡してくれた返事の日記の内容を、彼は記憶していない・・・
彼は「最後のハイキングで思い出を作ろう」と考えていた・・・