18章 最初で最後の | こころのリハビリ

18章 最初で最後の

高校の入学試験が全て終わった最初の日曜日に、彼はあの人を映画に誘った。

あの人は誘いに乗ってくれた。


当日、彼はあの人の家へ迎えに行った。そこであの人の家族に会った。

あの人の家は上品な雰囲気を持っていた。

彼は「あの人の知的な感性はこの家庭で磨かれたのか」と感じていた。

彼はあの人の家でお茶を御馳走になり、あの人の母親と歓談をした。

あの人の母親は彼に良い印象を持った様に見えた。


彼とあの人の2人は、並んで街の映画館へ向かった。

2人は腕を組むどころか手も握らずに、時々一言・二言の会話を交わすだけの「デート」であった・・・

映画が終わった後も、ハンバーガーショップで軽い食事をしただけで2人のデートは終わった。


3月の初旬に高校の合格発表があった。

彼とあの人は無事にそれぞれの志望校に合格した。

これで、高校はあの人と別れ別れになる事が決定した・・・