17章 自信と不安
文化祭があの人の最後の舞台であったが、
後輩の指導のために2学期が終わるまであの人は演劇部の活動をしていた。
2階の特別教室の中庭に向かったベランダで、いつも演劇部々員は発声練習をしていた。
彼が中庭を通ると、必ずあの人は2階のベランダから笑顔で手を振ってくれた。
彼は軽く挨拶するといつも周りの目を気にして、足早にその場を立ち去ってばかりいた。
12月のクリスマスの時に、彼はあの人に自分の好きな絵本をプレゼントした。
彼はあの人から、自分で描いたイラストと手作りクッキーを貰った。
お互いの年賀状の交換が終わると、いよいよ受験シーズンが始まる。
彼は合格する自信は持っていた。
勉強は手を抜いていたが、ポイントを押さえて学習していたので成績は悪くは無かった。
志望校のランクを一つ落として、T高校を選んだので心身的にも余裕があった。
あの人は日記の中で受験に少し不安になっていた。
彼は日記の中であの人を励ましていた・・・