前章 少年時代 | こころのリハビリ

前章 少年時代

彼はごく普通の少年であった。

友達と野山を走り、池でフナやザリガニと戯れ、

学校では勉強に、休日には少年野球に励んでいた。

成績は中の上くらいで、友達も沢山恵まれていた。

異性に興味を持つ事より、男友達との遊びや野球の方が面白かった。

一度、同級生の女子に仄かな憧憬を抱いたことがあったが、

それ以上の進展は無かった。

その女子は上品な家庭のお嬢様で、下町育ちの彼の事などに興味を持つことは無かった。

そして、何事も無くごく普通に小学校を卒業して、彼は中学校へ進学した。


彼の通う中学は周りの三つの小学校から生徒が集まっていた。

そこで、彼は「あの人」に出会う・・・