全てへの希望を見失いかけた、敗戦直後の時代の中、ひとりの「日本人」が必死に生き抜こうとした、その怒涛の生涯は、私たちに何を見せてくれたのでしょうか。

流行ではなく、日本と韓国の真の友好を想う時、私たちはもっと私たち自身の事を知るべきだと、この作品は教えてくれている様な気がします。いや~素晴らしい作品です。

 伝説の男、力道山を熱演するのは、「シルミド 」・「オアシス 」等でお馴染みの韓国のトップスター、ソル・ギョング。全編日本語を駆使して、体重もかなり増やして、なお本物のレスラーと一緒に生活して、望んだ役作りから滲み出る演技は圧巻です。またソル・ギョングが大好きになってしまいました(笑)

 設定上も、ただ英雄賛美の映画ではなく、ひとりの「日本人」として、苦悩して時代を戦い抜く姿は、キレイ事でなく、現実的な、表も裏もあるひとりの男として描かれていて、見る側を十二分に引き込んでくれます。

 また共演が素晴らしいです。伝統的な日本の耐え忍ぶ、美しく誇り高い女性を、中谷美紀が。

ひとりの人間として、陽の当たる場所も、闇の世界も知り尽くした、深みのある役柄を、藤達也が。

力道山の人柄に引かれていく、大きな意味での日本人的感情を、荻原聖人が、それぞれうまく主役を取り囲んで演技しています。

 誰よりも愛される事を渇望した男が、自分の愛する者達と、今も残る様々な差別の壁に、翻弄されながらも、ひとつの時代を作り上げていった軌跡を、韓国映画としてよりも、まさに日韓映画として見て頂きたい作品です。

 2006年3月から全国で公開が始まります。HPはこちら 「力道山 」。

このブログでも試写会情報をアップしていきますね。是非チェックして下さいね。


力道山   評価 : ★★★★★