実際に開示されるまではさらに1、2年かかる模様記事入力 : 2012/10/12 08:03


東京地裁民事第2部は11日、1965年に結ばれた韓日基本条約に関する文書の不開示処分取り消しを求めて、市民団体のメンバーらが日本政府を相手に起こしていた訴訟で、原告一部勝訴の判決を下した。

 地裁が開示を命じた文書は、全382件のうち全面開示212件、一部開示56件の計268件。ただし、文書を開示する際、韓国国民が蔑視されたと感じたり、自尊心を傷つけられたと感じかねないなどの事情がある情報や、北朝鮮との国交正常化交渉に影響が及ぶ内容などについては、開示してはならないとした。

 日本政府は、原則として30年が経過した文書は公開しているが、日韓会談関連の文書については国益などを理由に挙げ、かなりの部分を公開拒否している。日本政府は今回の判決に対し控訴するものとみられ、最終判決までにはさらに1-2年かかる見通しだが、一審判決が二審で覆るケースは少なく、文書の開示が確定する可能性が高い。

 今回の訴訟を主導したチェ・ボンテ弁護士などは、まず韓国政府を相手取って訴訟を提起し、2005年に韓国で韓日基本条約関連文書の公開にこぎ着けた。続いて06年から、日本政府を相手に情報公開を求める訴訟を起こした。

 日本政府は、韓日基本条約に関して、約6万ページの文書を保管している。今回の判決で開示の対象になったのは、このうちおよそ数千ページだ。チェ・ボンテ弁護士は「日本側の文書が公開されれば、強制徴用や従軍慰安婦問題に対する日本政府の立場・対策などが判明し、植民地時代の被害者に対する個人補償問題に新たな転機が訪れることもあり得る」と語った。

 日本の各メディアは、公開対象に▲独島(日本名:竹島)関連で韓日両国が条約締結前後にやりとりした各種の提案や発言▲昭和天皇と韓国高官との対話録2件―なども含まれる点に注目している。また地裁は判決の中で、独島をめぐり韓国との交渉で不利になる恐れがあるとして、日本政府が開示を拒否した文書も開示(全面開示31件、一部開示8件)するよう命じた。毎日新聞は「(開示対象には)竹島に関する交渉記録も含まれており、開示されれば日韓関係にも影響を与える可能性がある」と報じた。

 今回の訴訟で原告の一人となった従軍慰安婦被害者のイ・ヨンスさんは、判決が出た直後、法廷で裁判長に向かい「万歳! ありがとう、裁判長さま」と震える声で叫んだ。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員