花屋さんの店先で、われもこうのアレンジを見つけました。
毎年、この季節になると、必ず思い出すことがあります。
「主人は、われもこうが、好きなんです。」
喪主さまは、祭壇に、われもこうのアレンジを、リクエストされました。
珍しいアレンジでしたが、すごく素敵な祭壇でした。
サーファーだったご主人のために、ご自宅からお連れする時に、
海に立ち寄ったのも、奥さまのリクエストでした。
その奥さまは、(友人とはいかないまでも)、知人でした。
お式を担当していた先輩は、その頃、まだ何もできない新人の私に、
それでも、彼女のそばに付いているように、と言ってくれたんです。
ひどく痩せてしまった、ご主人のお顔を、半分バンダナで隠して、
参列者の、ご主人へのイメージを、壊さないようにしたり、
通夜の挨拶は、だった一言、「今日は、ありがとうございます!」
これが精一杯です、と頭を下げた姿は、それだけで、心を打ちました。
そして、翌日――
「主人は、私と母を、大事にしてくれました。
とても、大事にしてもらって、私はとても幸せでした。」
ご挨拶を終えて、出棺となりました。
先輩はまた、私を降りていくエレベーターに、一緒に乗せてくれました。
「お互いに、大事に思いあっていらしたんですね、
感動しました。ご一緒できて、感謝です。」
「こちらこそ、2日間、そばにいてくれてありがとう。
あなたがいてくれて、安心でした。 …いいお仕事ね。」
わずかな時間の中の、短いやり取りでも、
その後の支えになる、大切な宝物になりました。