この夏
ある二頭の犬が星になった
原っぱのシロ...
そして 畑のサヤカ

三年前
福島被災地に無人の家に繋がれたままのわんこたちが 沢山いると
いう情報を耳にした。
そしてボロボロの地図を手にしながら
初めて行く福島という被災地に出かけ この二人の姿を見た時
私は凄まじい衝撃を受けたことを 昨日のことのように覚えている。


シロは
家から少し離れた原っぱにぽつんと置かれた犬舎に繋がれていた
傍に家があるが誰もいない
近くの道路に車は30分に一台通るくらいの とてつもなく淋しい場所だった
側に行くと小さな頭が転げ落ちるかのように 頭を熊のように振りながら
喜んでくれた シロだった




さやかはそこから車で30分ほど走ったところにいた。
家並みを探しても さやかはいない。
ふと荒れた畑に目をやったとき その広大な土地の真ん中に身を
潜めるように さやかはいた。





こんなところに繋がれていて しかも餌も水も空・・
その光景は静かな被災地でありながらしっかりと私の目に焼き付いた・・

原発が爆発して村民飼い主さんたちは 避難
あれから一年が経ちながらここは 時計の止まった戦場だった。
行政や東電が少しでもこの被災動物たちに手をかけてくれたなら
ここまで酷い状況にはならなかったはずだ



こんな二人を
こんなわんこたちを 少しでも力を貸せればという想いから
全ての休日を返上して私は毎週 福島に出かけたのだった。




多くのボランティアさんが 特にシロとさやかには目をかけていたが
シロは孤独が原因とされる精神的疾患(メニエール病)で倒れ
さやかも幾度となく 体調不良で病院に連れて行かれた。

そしてこの夏
二人は時期を同じくして 倒れ虹の橋に向かった。
孤独に耐えた シロ
飢えに耐えた さやか
頑張った四年半という長い歳月が老年という寿命に勝てず
シロとさやかは飼い主さんに看取られながら自宅で静かに息を
引き取ったということです。

頑張った 二人
生き抜いた 二人

本当にお疲れさま。




そして
まだ100のわんこたちが無人の家の番犬として繋がれたまでいる。
帰村指示がかかる一年半さき この子たちは どうなるのか
福光の家の使命が そこに了解しました。しっかりと繋がることを祈りながら・・






一般財団法人 ワンダブル