はくたか号
この人の鼻はそんなに長くないけど
MAX朱鷺よりも僕に似てるかも。
乗り換えで降りたのは「越後湯沢」という駅だった。
雪が1メートルくらい‥もっと?つもっていたよ。
ふわふわしてそうに思えたくらいだった。
だけど僕、雪は綿よりもガラスにもっと似ている気がする。
シャーンってしてるでしょ。
透明だけど白に見えて、冷たくて、溶けるでしょ。
そいで美しくって、危険でしょう。
たくさん降ると、ちょっと先がぜんぜん見えないよ。
雪すげえ。
って、先まで見えるのに何も見えないよ!
すべて埋めてしまったのか、ゆきよ!
違ったよ。
さっきのは「平地」だったんだ。
はじめのうち近くに見えてた山々が遠ざかっていく。
トンネルがいっぱいあったよ。
途中とちゅうに山があるんだね。
山と山の間だけちょっと風景がのぞいて
またすぐトンネルの中、という場所がたくさんあって
えてして一瞬しか見えないような狭い所ほど魅力的な風景だった。
山が左右から迫り、その谷間
積雪を割いて細い川が走っていた。
どの谷間も同じ風景ではなかった。
少しの民家のある場所や
線路に平行して高架の道のあるところ
向こうに何かもしかして、あれの見えるところ。
海!
トンネルとトンネルの間がだんだん開いてきて
しっかりと見えるようになっていったよ。
強そうな、格好いい海。
ぎらぎら見つめてしまう。
ある場所では低いところに
煙のような黒い雲がたくさんわいていた。
こわかった。
しばらくしたら、平原に戻ってきたよ。
少しだけできた晴れ間に夕日が見えた。
そうこう見とれていたら「金沢」に到着だ!
ここは今はあまり雪もなく、帰ってきたみたいな気持ちになった。
街だから。
しかし別の街なのだ。
到着したホームは5番線。いや4番線?
このホーム、一本のホームに4番線と5番線が縦に並んでるのだ。
その発想はなかったわ!
実はこの話、以前人から聞いて知ってたりする。
これがそうなんだなあ。
あったなあ。そこに立っているんだな。
駅の中にはおみやげ屋さんの連なる名店街のようなとこや
普段の買い物のための本屋やスーパーなどの両方がある。
旅行者と、地元の人たちが行き交っていた。
僕は旅行者だけどスーパーに行っておいた。
水と野菜がないと不安だからね。
だって象だもん。
バスが集まるという東口側に、駅をでた。
つもりが僕はガラスのドームの中にいた。
すこしぼんやり、上を見上げていた。
案内板。
左にバスがありそうだ。
すぐ近くにバスのためのロータリーがあって
それぞれの行き先を書いてあるがしかし
どれに乗ろう?!
僕は片町という所に行きたいのだけど
どのバスも同じルートで行ってくれるんだろうか?
近道はどれ?遠回りはどれ?運賃は?
「関東バス」に甘やかされている僕は混乱した。
一番早くにきたのに乗ったら、番号札を引いて持っとくタイプのバスだった。
どこへ連れて行かれるのか、いくら掛かるのか
いつ着くのか‥
日本で育った者が日本で何をしてるんだろう。
人にきけよ。
でもなんか気分じゃなかった。
まあ、結局は無事に着くだろうと思ったし‥
ああ日本人だな。
十数分、200円で片町についた。
がさがさと地図を開いていると、周囲の人の靴に目が寄せられた。
朝は雨か雪が降っていたんだろうか。
女学生たちの足元のガードが堅牢だ。
部屋に着いた!
正直、「チェックイン」ってのが結局何をするものなのかも知らんので
少し気が遠くなっていた。
「とにかく、名乗りゃいいんだろう!?」と切れ気味方向に舵を取って
なんとか予約していたホテルに入ってみたのだ。
たのもー!
しかしどう名乗るかと悩む間もなく
向こうから名前を訊いてきてくれたので
あとはすんなり流されて無事部屋へ着いたよ。
中くらいのケースとリュック、防水のあったかい靴。
今回のNORAの装備である。
分からないなりの荷造りは
果たしてちゃんとできているのかな?