ワールドカップ 総まとめ編 ~その2 | ホタル舞う夜の空

ワールドカップ 総まとめ編 ~その2


そう、開催前には全然期待されていなかった(らしい)ドイツのナショナルチーム。
なのに、フタを開けてみたならば、あれよあれよという間に、負け知らずで予選通過してしまった。

そりゃあ、ドイツ人たちが狂喜乱舞するわけです。

ドイツが連勝を続けている間、町の中はかなり浮かれていた。
ドイツが勝った後なんて、街の中心部はドイツの国旗をまとった人々でいっぱい。
片手にビールを持って、大声を張り上げて歌を唄ったり、ベルリンへ行くぞーって叫んだり、おかげで路面電車は通行できなくて折返し運転になるし、道路は一時通行止めになるし・・・

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かなりのお祭り騒ぎで、傍で見ているだけでも面白かったりもしたけど、そんな中でふと思った。

こんなに幸せそうで、自分の国を誇らしく思っているドイツ人を見たのは久しぶり。

ドイツの国旗を手にしたり、マントのようにまとっていたり、国旗と同じ3色のカツラを被ったり、国旗の3色のレイを首からかけていたり。

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知らないもの同士でも、ドイツ国旗を介して仲間意識で結ばれ、一緒にビールを飲み、大声を張り上げていた。

住宅の窓にも国旗がたくさん飾られていた。
もちろんドイツだけではなく、それぞれ応援している国の国旗を出しているんだけど、圧倒的に多いのはもちろんドイツ。

車の窓にセットする小さな国旗セットが大流行して、道行く車にも、駐車している車にも、ドイツの国旗が誇らしげに揺れている。

wm_fans03  こら、ハンドマイクはやめれ、ホントにうるさいんだよ!

こんな光景、オリンピックでは絶対に有り得ない。
サッカーのヨーロッパカップでもこんなことはなかった。
それに、4年前のWMではここまで盛り上がらなかった、ような気がする。
実はあんまり覚えてないけど。

国旗の3色を使ったデザインのモノを身につけている人なんて、普段は絶対に見かけない。
国旗はすなわち国家のシンボルであり、ナショナリズムのシンボルでもある。

ドイツでは、ナショナリズムはファシズムと結びついてドイツ民族純血主義を推進した過去があるから、
だから、ドイツ人の多くは、周りから誤解される恐れがあるから、ナショナリストだと思われるかもしれないから、そのことで非難されたくないから、気を使ってわざと避けているような印象を受ける。

大体においてドイツ人はドイツ人であるということを、無理やり背負わされた十字架のように感じている人が多い気がする。


第2次大戦後、(西)ドイツは、ヨーロッパの一員、世界の一員として復帰するために、忌まわしい過ちをすべて清算するところからスタートするしかなかった。
小学校でもギムナジウムでもその他の学校でも、ナチス・ドイツの時代の歴史を、繰り返し繰り返し教えられる。
これでもかとういほど、叩き込まれる。
ドイツ人は、欧米人全般から嫌われている。
正確には、嫌われている、と、思っている人が驚くほど多い。

いや、戦争を知っている世代では実際に嫌っている人も多いみたいだけど。

それに加えてここ何年かは、景気の停滞が長引き、失業率の上昇は止まらず、東西格差は一向に縮まらず、そのせいで年金制度の見直し、健康保険制度の改正、雇用制度の見直し、消費税率のアップなどを避けることが出来ないところまで来てしまった。
戦後復興が終わり西ヨーロッパ一の工業国となった西ドイツが、大盤振る舞いで築いてきた社会福祉国家が、今、音を立てて崩れ落ちようとしている。
っていうか、もう崩れちゃった(涙)

そんなんで、最近は鬱々とした、不満や怒りを溜め込んでいるような雰囲気が社会全体を支配していた。

そこへ来てこのWM。
予想を裏切る快進撃のおかげで、ドイツ人達は沸きに沸いた。

久しぶりに、誇りと自信を取り戻し、心の底から嬉しそうに幸せそうに笑い合い、騒ぎ合うドイツ人たち。

国旗の3色を身につけた人たちはみんな、とっても楽しそうで、フレンドリーだった♪

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