有効性はなく、死亡率だけが高くなる抗マラリア薬:新型コロナウイルスの研究
No benefit, higher death rate for malaria drug in coronavirus study

4月22日【Egypt Independent】https://egyptindependent.com/no-benefit-higher-death-rate-for-malaria-drug-in-coronavirus-study/ より翻訳

 

 

 

COVID-19の潜在的な治療法として広く宣伝されているマラリア薬は、標準的な治療よりもこの疾患に対する利益を示さず、実際のところは、死亡率がより高いことが、火曜日に公開された研究から明らかにされました。このタイプの研究としては最大規模のものでした。

 

ヒドロキシクロロキンを摂取したアメリカの退役軍人の病後の経緯を分析した、アメリカ政府出資の研究は、査読前の原稿を集めた医学サイトに投稿されました。専門家による査読はまだ行われていません。

 

この実験には複数の重大な制約があったものの、ドナルド・トランプ大統領および右派系のニュースチャネルのFOXニュースが最大の支持者であるこの薬の有効性に対する疑惑は増す一方です。

 

アメリカ全国で4月11日までに死亡または退院した、入院した368人の退役軍人の医療記録を研究者らが調査しました。

 

ヒドロキシクロロキンを服用した患者の死亡率は28%でしたが、抗生物質のアジスロマイシンと併用した場合は22%でした。

 

この二種類の医薬品の組み合わせはフランスの科学者ディディエ・ラウール(Didier Raoult)博士が支持したもので、3月に関する研究が行われ、この医薬品に対する世界的な関心が高まりました。

 

標準治療のみを受けている人の死亡率は11%でした。

 

アジスロマイシン投与の有無にかかわらず、ヒドロキシクロロキンはより重症の患者に処方される可能性が高いものでしたが、研究の著者らは、より高い使用率へと計的に調整した後でも死亡率の増加に変わりがないことを発見しました。

 

この研究はすでに起きた事象を回顧的に見直す分析であったため、対象の患者をランダムにグループに割りあてられてない、という事実もまた、この研究の欠点です。

 

さらに母集団は非常に特異的であったことも、結果を一般化することを困難にする一つの原因です。

 

ほとんどの患者は年齢の中央値が65歳以上の黒人男性で、このグループは既往の糖尿病や心臓病などの基礎疾患による影響を過度に受けていました。

 

ヒドロキシクロロキンのみのグループでは、人工呼吸器使用によるリスクは追加されなかったため、このグループの死亡率の増加は呼吸器系以外の副作用に起因する可能性があると研究からは示唆しています。

 

この抗マラリア薬は特定の心拍リズムの問題を抱える患者にとって危険であり、このグループにおいては失神や発作、または時には心停止を引き起こす可能性があることが過去の研究からわかっています。

 

ヒドロキシクロロキンおよび関連化合物のクロロキンは、マラリアや自己免疫疾患、狼瘡および関節リウマチの治療に何十年も使用されてきました。

 

この二つの医薬品は新型コロナウイルスのパンデミック中に大きな注目を集め、実験室の設定でウイルスが細胞に入ることを阻止し、ウイルスの複製を阻止することが示されています。

 

しかし、医薬品の世界では、「in vitro(実験室のように人為的にコントロールされた環境)」での起きることが現実的には成功しない場合もしばしばあることが知られています。

 

本当の答えは、調査対象の薬剤またはプラセボのいずれかを受け取るために患者を割り当てる、非常に大規模なランダム化臨床試験を通じてのみ決定できます。

 

そのような研究のいくつかは、米国やヨーロッパ、カナダ、英国などを中心に進行中です。

 

 

(翻訳終了)

 

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【コメント】

 

結核予防のBCGに新型コロナウイルスが有効である、という仮説が立てられ、そのためドイツでは新型のBCG「 VPM1002 」が開発され、医療機関関係者を対象に大規模な人体実験が行われています。

 

ドイツで、BCGワクチンの新型コロナウイルスへの効果を検証する臨床試験はじまる

【ニューズウイーク】

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/bcg-1.php

 

 

しかしイスラエルはBCGにはなんの予防効果もない、としています。

 

 

新型コロナ BCGワクチン“予防効果なし” イスラエル研究G

【NHK】https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200514/k10012430111000.html

 

 

このように、研究ごとに意見も結果もまったく異なるのがコロナに唯一いえる「傾向」のようですね。