8セットの抗ガン剤投与プランを終え、検査の結果今のところ再発も無しということで私の予防的治療は終了した。嬉しくて涙が出た。抗ガン剤治療専門の看護婦さんにも期間中ずっと優しく相談に乗ってもらい、励まされ、とても良くしていただいた。最終日、互いに完走を喜び涙のお別れをした。もう二度とここには戻ってきたくなかった。

そういえば、抗ガン剤点滴の嫌なところで忘れていたが、3回目あたりから、点滴を始めると体が異常に熱くなるという症状が出だした。しばらくすると落ち着くのだがとても気持ちの悪い症状だった。先生に相談したが明確な答えはなく、対抗措置は無かった。

お尻、便は相変わらずの状況だった。手術後の敏感状態に、副作用の下痢が加わり、訳のわからない状況になっていた。とにかくずっとお腹を下していて我慢の出来ない状況だった。お漏らしも数回経験した。あまり下痢が続くと痔になる恐れが!と先生や看護師さんに言われていたのでそれにも怯えていたが結果大丈夫だった。

抗ガン剤終了後もしばらく副作用は残った。軽いシビレ、吐き気、下痢。そして慢性的なダルさ。このダルさは、抗ガン剤で内蔵が受けたダメージからきているような感じがした。治療中も特に肝臓の数値が悪く予定を延期したこともあったが最後の検診でも数値は良く無かった。

しかし気持ちの部分がとても楽になり、さあ!羽伸ばすぞ!と大いに羽ばたいていった。仲間が開いてくれた快気祝い。久しぶりのアルコールに目の前がクラックラした。でも楽しかった~。それから癌発覚前のような生活に戻るまでそう時間は掛からなかった。それが私の無知なところだった。

抗ガン剤治療を始める時に、何か体には良いものは無いかと探していた際に「星野式ゲルソンジュース」なるものを見つけ、これは良さそうだと、低速のジューサーを購入し、毎朝飲んでいた。抗ガン剤治療と同時におこなっていたことは、このジュース、散歩くらいだった。

抗ガン剤治療が終わってから、食事がとても美味しかった。好きなものを好きなだけ食べ、念願の飲み会にもお尻を抑えながら喜んで参加した。次第にますます調子に乗り、飲み会の席で友人のタバコをもらったりという暴挙にも出ていた。 私のような欲にまみれた人間には痛みを忘れることはたわいもなかった。浅ましい…。

定期検診は繰り返していたが再発の兆候は見られなかった。しかし、胃の右側あたりが何だか痛むことがあり気になったりもしていたが検診で何も見つからず、先生も関係ないとのことだったので大したことはないと見逃していた。