ニセ科学批判に魅力を持たせることは可能か?

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ここ最近、「ニセ科学(疑似科学)批判」と「ニセ科学批判批判」に関する議論をいくつか見て
思ったことを書いておきます。
ただし、結論はありません。


まず最初に、私はニセ科学批判には支持派のつもりでいます。
私自身はニセ科学も、ニセ科学批判についてもまだまだ学ぶことは多いけど、
ニセ科学には気をつけたいと思っているし、批判や注意喚起の活動は支持・応援したい。

そんな私ですが、ニセ科学批判について書かれているサイトやブログなどを見てると、
一般の人には取っ付きにくいんじゃないかなぁという印象を持っています。

これはあくまでも個人的な感触ですが、
まず、サイトやブログのデザインや話題が硬そうな雰囲気がするところが多いのと、
議論が白熱して、すごく専門的な人たちのための場という感じになってるところが多い。(*1)
その結果、最初からニセ科学批判について興味を持ってる人じゃないと、
積極的に近づかないんじゃないかなと思うわけです。


少し古い記事ですが、大阪大学の菊池誠教授を取り上げた記事で、こんなことが書かれてました。

・「科学なニュースとニュースの科学:【第4回】まん延するニセ科学と、対峙する科学者たち」-ITmedia アンカーデスク
菊池氏の取り組みがユニークなのは、自らの活動によって、今すでに「ニセ科学」を信じてしまっている人を説得できるとは、必ずしも考えていないという点にある。
それよりも、今はまだそういう説を知らない人たちが、ふとしたはずみでその存在を知り、おかしな考えにとりつかれてしまう前に、「こういう説は科学的なように見えて、実は非科学的で何の信憑性もないんですよ」ということを広めておこうというのである。

この話には私も同意するんですが、
実際にニセ科学について書かれていたり議論されているところを見に行くと、
ニセ科学批判派とニセ科学批判批判派の人たちの論争が繰り広げられて話が専門的になり過ぎてて、
肝心の、「まだニセ科学にそれほどハマってないけど、キケンと隣り合わせにいる」という一般の人たちには
あんまりメッセージが届いてないんじゃないかという気がしています。

メディアが相変わらず無責任にニセ科学の情報を垂れ流し、それにさらされてる人がかなり多い現状、
多くの人にニセ科学について知ってもらうようにしたい。
でも、例えば私の身の周りの人たちでも、ニセ科学という言葉や、
ニセ科学と言われるものに対して批判があることを知ってる人は、それほど多くなかったりします。
私が美容・化粧品業界にいるから余計にそう感じるのかもしれませんが、
「マイナスイオン」や「ゲルマニウム」、「波動」、「●●水」などの言葉や商品を当たり前に目にします。


そんなわけで、「ニセ科学批判」をもっと多くの人に魅力的に伝えることはできないかと考えています。
まずは多くの人たちが覗いてみたい、行ってみたい、聴いてみたいと思うような場をつくって、
そこで正しいことをわかりやすく魅力的に伝えることも大切なんじゃないかと。

私自身もまだまだそんなことができてるわけではなく、
何か批判的なことを書く時は表現がついついいつも以上に硬くなってしまうんですが、
なんとか良いアイディアはないかなと考えています。


例えば、ニセ科学批判をしている方たちではないですが、
東京大学工学部広報室の科学技術コミュニケーター・内田麻理香さんのブログや、
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット修了生で札幌でOLをしてるM姫さんのブログなどが、
イケメン科学者」の話とか、「好きな香り」とか「本日のネイル」の話なんかも書いてるのを見てると、
そういう柔らかくて親しみやすい日常的なネタが織り交ぜられてるのも、
多くの人に見てもらうには重要だったりするのではないかと思ったりします。(*2)

ここで挙げたおふたりのブログがどんな読者をどのくらい集めてるかわからないので、
これも私の直感での話に過ぎませんけど。

菊池教授も来月、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)の主催で、
銀座アップルストアで「大人が夢中になる科学」というイベントをやるそうですが、
そういう一般の人たちと近い距離で、本題に交えてニセ科学に対する注意も伝えると、
比較的スムーズに関心を持ってもらえるんじゃないかと思ったりもします。


さらに言うと、「ニセ科学批判」っていう言葉も
インパクトはあるけど、なんとなく世間ウケはあんまり良くないんじゃないかと感じてたりします。
怖そうとか、キツそうな印象と言いましょうか。近寄りがたい感じ。
「他者を否定的にとらえた(「ニセ」というレッテル貼り)上で批判する」
という、二重にネガティブな言葉が含まれているので。

まずはもっとポジティブに親しみやすく正しい知見や考え方を世間に伝えたりすることで、
その結果として、ニセ科学の入り込む余地を減らしていくような表現や活動はできないかなぁ。
例えば、「ニセ科学」という言葉は前面には出さずに、さりげなくニセ科学を取り上げるサイエンスカフェとか。
あくまでも、「科学だと信じ込んでハマってしまいやすい落とし穴」への注意喚起くらいのトーンで。


以上、具体的な企画とか結論はないんですが、
なんとなく思ったことでした。


余談ですが、はてなーにはニセ科学議論が好きな人・興味ある人が多いんでしょうかね。
はてなダイアリーでニセ科学に関する話題が出ると、やたらはてブがつく印象があります。
なんでだろ?


※参考資料;
菊池教授がニセ科学についてわかりやすく解説されてる映像がありました。
未視聴の方はぜひどうぞ。

・「まん延するニセ科学」-YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=sCKPIzb3ajA



※注釈;
*1;「ニセ科学」や「マイナスイオン」、「ゲルマニウム」などのキーワードで検索して、
  上位に上がってくる批判派のサイト・ブログを見ての印象。
  もちろん中には、比較的読みやすいところもありますが、世の多くの人には距離がある感じがしました。
*2;「女子ウケ」を狙えば良いと言いたいわけでもありません。
  あくまでもこういう親しみやすい話題を盛り込んでいる事例として挙げさせていただきました。


※私のブログの関連エントリ;
・「美容・コスメ系ブロガー&読者必読のゼミナール。
・「美容・化粧品業界にもサイエンスコミュニケーションを。
・「TVのいいかげんな美容・健康情報を見抜くために。
・「血液型ブームの起源はナチス・ヒトラーと軍国期日本にあった?
・「化粧品でも話題のナノテクノロジーとドラッグデリバリーシステムを学んできた。
・「EGF化粧品のノーベル賞受賞成分という表現に違和感を覚える。
・「コラーゲンやヒアルロン酸に美肌効果があるという話はまず疑った方が良い。
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