貴重音源レビュー:Dear Loving
Dear Loving「恋は二人で -2007 Neo Arrange ver.-」
1.恋は二人で -2007 Neo Arrange ver.-
大阪・枚方を拠点に、同郷のJanne Da Arcに続けと全国区の活動をしていたDear Loving。
雑誌等への露出が増え、ビジュアル系バブルの勢いに乗ってCD売り上げも動因も着実に伸ばしていた2001年末から2002年の初頭、4ヶ月連続シングルリリースという企画にチャレンジしました。
その第3・4弾が「恋は二人で」と題されたシングルで、バレンタイン・ホワイトディにリリースを合わせ、同じ歌詞・メロディを男女それぞれの目線から違うアプローチで聞かせるという工夫がなされたものでした。
ポジティブな歌詞をポップなメロディに載せ、アップテンポでパンキッシュな演奏で聞かせるという、彼らが標榜した「ポジポック」を体現した完成度の高い楽曲になっていました。
こちらは2007年に同曲をリレコーディングしたCD-R。
データが無いため、詳しいリリースデータは分かりませんが、ビジュアル系時代を懐かしむTimeslip Gigか七夕ワンマン「星降る夜に会いましょう」で限定販売されたものだと思います。
オリジナルはGirlsサイドもBoysサイドもパンキッシュで勢いのある曲でしたが、ここでの再録は柔らかい音使いのギターが印象的で、力強くメロディを聞かせるアレンジがされています。リリースから5年の月日が経ち、少し落ち着いたバンドの姿を見せてくれます。
2007年の時点で10年近いキャリア(本格的活動は'98年からなので9年…さらに言うと、来年は20周年!!)を持っており、その長さが伊達じゃないと唸らされる安定感抜群のサウンドを聞かせてくれますが、この時点で既に脱ビジュ化して久しく、オリジナルリリース時に聞いていた人の多くがこういった限定音源がリリースされていた事実を知らないのが少し残念。
市場にもほとんど出ることが無いですが、ショップによってはそこまで高値で売らないため、見かけたときは是非捕獲して欲しい一枚です。
なお、4ヶ月連続シングルリリースの企画自体は、「アルバム一枚でまとめてもらった方がありがたい」という印象もあり、事実、アレでライトファンが追いつけなくなった感はあったのですが…音楽スタイルを少しずつ変えながら、聞く人を楽しませるという信念を貫き、メジャー進出も果たし、20年というキャリアを積み上げることになることになるのですから、やはりすごいバンドだなぁ…と思います。