vol.734「レア音源レビュー:Larm Madul'e」
1.眠れない棺の中で… (雪降る聖夜)
2.黒染ノ花
3.宵話の宴げ (sanctions version)
Voice:来栖鏡夜
Guitar:天羽時貞
Guitar:霧華
Bass:KAI
という、「特攻の拓」完パクのステージネームがインパクト大の大阪バンドによるデモテープ。(ドラムは打ち込み)
ビジュアル・音源/楽曲タイトルともに、コテコテのダークビジュアル系街道をフルスロットルしていますが、サウンドも嘘偽り無く、純度100%のダークビジュアル系。
2000年頃に突如現れ、このビジュアルとこのタイトルで、ほとんど無告知だったにもかかわらず、早くに限定1000本を売り切ってしまいました。
同時期だと、四国のVelltigeが同路線のダークビジュアル系路線をフルスロットルしていましたが、Larm Madul'eもMadeth gray'llやAliene Ma'riageといったシーンの中心にいたバンドの"シアトリカルな部分"をフィーチャーしたスタイルになっています。
そのため、シンセによるSEや語りが多用されています。
…が…
肝心の語りを聞かせるボーカルの声質が細い上に独特のトーンで、さらに感情皆無の棒読みのため、かなりアレなことになっています。
というわけで、各曲解説!
#1はシンセによる不気味なSEからキメを多用したバンドパートが入ってくるダークナンバー。
Aメロはキメに合わせ、Bメロはツタツタビートをバックにボーカルの語りが入りますが、前述の通り、棒読みです。
サビと思われるパートではなんとも言えない不気味なメロディを聴かせます。
ダークさやハードさは上手く表せていますが…やはりボーカルに難があります。
ギターの演奏は、音作りもテクニックも及第点。(荒いなりにソロも弾けてる)
#2はスリートゥーワンゼロというカウントが多用されますが、やはり棒読みなので、ノる所か、次の展開に構える所か、笑う所か…判断にかなり困ってしまいます。
ボーカルの裏では、ギターが細かく良い仕事をしているのですが、メロディで音を外し息切れするボーカルがぶち壊し…
また、他の曲でも言えるのですが、サビでの盛り上がりが足りず、ギターソロが来て初めて「さっきのがサビ!?」となってしまうメロディには、もうちょっとフックが欲しい印象。
#3は語りのバックで流れるメロディアスなピアノと雷鳴のSEから、ツタツタビートでダーク&ハードに突っ走るパートへと展開するコテコテのハードナンバー。
この曲もやはり語りがフィーチャーされていますが、他の曲よりは上手く強弱が付けられていて、雰囲気が出せています。
そして、Bメロの語りからテンションを上げていき、サビで一気にスピーディ&メロディアスに展開するド王道のボーカルラインは、この手のバンドのお手本のようになっています。
ボーカルに関しては、メロディ単調、音程激甘、リズム感無し、語りは棒読み…と、不安な要素しかないですが、バックの質と曲の完成度はそれなりに高く形になっているので、アレなボーカルに免疫があるダークビジュアル系メィニアな方には十分楽しめるバンドかと思います。
完全に無名で、後々どこかのバンドに加入・結成…ということもないバンドで、1000本という(必要以上に)多い売り上げがあるため、出てくるときは特価コーナーでワンコインが基本になっているようです。
C級ダークビジュアル系をお探しの方(だけ)には激オススメできます。