vol.692「名盤発掘:Lucide」 | 俺のビジュアル道(笑)

vol.692「名盤発掘:Lucide」


Lucide「synthetic brain」


1.Energy -エナジー-
2.Thrill
3.[SN-スノウ-OW]
4.Lesson
5.K-rash
6.薔薇ノ吐息


名古屋ビジュアル系のドリームチーム、言葉通り「名刺代わり」だったデモテープに続きリリースされたミニアルバム。
実質的初音源ながら、east westからのメジャー流通&DYNAMITE TOMMYさんプロデュースという、メジャーレーベルによるビジュバン大ブームの青田買いに上手く乗っかり、それなりの売り上げと知名度を獲得することになりました。


一般店舗でも容易に入手できた結果、ブックオフの特価コーナーの準レギュラーになっていますが…


“ドリームチーム”の実力が遺憾なく発揮された素晴らしい内容になっています。


「Energy -エナジー-」はDTではイントロダクションだけだったナンバー。
スピーディ&ヘビーなビートでキャッチーなメロディを聴かせる、当時のV-Rockらしいナンバー。
同期サウンドも上手く取り入れていて○。
メジャーリリースということもあってか、サウンドメイクとミックスバランスが素晴らしく、完成度の高さに驚かされます。


「Thrill」はスピーディなビートにキレの良いギタープレイ、流麗に展開するボーカルが上手く絡み合うナンバー。各パートの間の取り方は、タイトル通りスリリング。
サビで聴かせるコーラスワークも○。


「[SN-スノウ-OW]」はミッドテンポのパワーバラード。
歌詞の中で雪を示唆するような流れはあまりなく、むしろ「雨」をイメージさせる(実際、歌詞に「雪」という単語はなく、「雨」という言葉が出てくる)歌詞になっているのはかなり謎。(笑)
しかしながら、各パートの音使い、甘いメロディを力強く聴かせるボーカル等々、同時期にいたバンドでは気怠いだけで終わってしまうことが多い曲調を上手く聴かせているあたりに、名の知れたバンドにいたメンバーが集まっている実力が見えてきます。


「Lesson」は不思議な雰囲気のナンバー。
アフリカンビートやサンプリングサウンドを多用したSEに、深いエフェクトをかけたボーカルが乗る感じ。
アルバムタイトルにあるサイバーな印象をフィーチャーしたような曲です。
ライブではどう披露されていたのかが非常に気になる一曲です。(無難にオープニングSEとかになってそう)


「K-rash」は破壊音から始まるスピーディなハードナンバー。
ツタツタビートに、エフェクトで歪ませたボーカル、ボーカルの後ろで暴れまくるギターが絡む、全てがお手本通りの煽り曲ですが、短い時間で一気に聴かせるところや、ギターの基本リフやボーカルライン自体は非常にキャッチーなところは好印象。
SEや同期サウンドを大胆に取り入れ、よりカオティックになっているのに、メロディ自体が耳に残るのが面白いです。


「薔薇ノ吐息」はミッドテンポのメロディアスナンバー。
アルバムのラストを飾るに相応しいドラマティックなナンバーに仕上がっています。
力強いビートに絡む、流麗なメロディは耳馴染みが良く、バラード調の「[SN-スノウ-OW]」とは違った魅力があります。
ギターのメロディリフも、シンプルなプレイですが、なかなか印象的。
ビジュアル系らしさが詰まった良曲です。


Laputaの「falling~」と言うのは野暮ってもんです。(笑)


なお、ボーカルTsurugiは、曲によって若干ハシったり、音程がズレたりしますが、元々の声質が力強く、堂々とブレずに歌いきっているため、気にならないレベルです。
他のパートも安定の演奏力で、前述の通り、サウンドメイクも素晴らしく、この一枚で終わってしまう短命のドリームチームですが、そう呼びたくなるだけの完成度を誇った「隠れた名盤」になっています。


ちなみに、時代的な物なのか…音質は良いけど、リバーヴを強めにかけたようなミックスになっているところは好き嫌い出るかも。


聴いたことがない人は、ブックオフで小銭で買えるので、ケチらずに聴いてみてください。


'90年代に黄金期を迎えたビジュアル系の、理想型の一つです。


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