昔々あるところに
こんな犬達がいました

という内容のブログです。






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2016-09-27 23:21:25

永末脩

テーマ:犬を愛した人々

医学博士。

 

 

ドーベルマンがゐれば金庫は要らぬ。

今度ドーベルマンを飼つて、初めてかう思ひましたね。家へ來てもう二ヶ年になりますが、つく〃かう思つたことです。

世の富豪なる者、ドーベルマンを一頭飼ふ事ですな。さうすれば金庫が氣になつて夜もロク〃眠れないなんて事はありませんよ。

但し僕は金庫代りに飼つてゐる譯ではなく、飼つてゐる内、これは金庫代りになる事を偶々發見したに過ぎないのです。

 

ドーベルマンはどういふ風に金庫代りになるか。僕達は彼を家の中に飼つてゐるので、寝る時は寝室へ入れる。

すると、夜中ですな。誰が寝室へやつて來ても、はいるのを許さないのです。

急用があつて晝間は犬とお馴染の書生がやつて來ても、一歩も寝室へ入れさせまいと云ふ剣幕です。

書生は彼を運動に連れて行く位ですから、犬とのお馴染は決して浅くない筈です。それにも拘らず、彼は厳重に寝室を護るのですから、その他の者は一切寄りつく事も出來ないのです。だから、よしんば強盗が押込もうと、寝室へは一歩も近寄れない譯ですな。

で、この寝室へ金銀財寶(?)を置いておけば、誰が來たつて盗られつこないから安心なもので、ドーベルマンが金庫の役をすると云ふのはかういふ譯なのです。

 

かういふ事もありました―。

兄が僕の留守にやつて來て、植木鉢の土を持つて行つた事があるのですが、これを犬が家の中から見てゐたのですな。

それからと云ふもの、この兄が尋ねて來る毎に、怪しいとばかり唸るので、犬をかくしてからでないと兄は上れない始末です。

多少の訓練は施してあるにせよ、實によく家を警備してくれますよ。

こんな調子でかなり凄い犬なのですが、まだ人を噛んだりした事は一遍もなく、まづ人様に御迷惑をかけた事はないのです。

生れですか。陸軍歩兵學校で、後琉球へ移られた佐倉の聯隊長の未亡人から貰ひ受けました。名はメリーです。

 

僕は初め犬を飼ふ事に、そんなに興味を持つてゐなかつたのです。それが今から十二、三年前のこと。ふと犬を飼つて見る氣になつた、といふのは、その以前からズーツと大學の實験室にゐて、盛んに犬を殺して來たのですな。

僕が實験に供した犬がザツと五十頭に亘るのです。その當時、家内が偶々病氣に罹つて―科學者としては妙な言葉かもしれませんが、その病氣といふのは今まで手をかけて來た犬の祟りではないか、と、まあそんな考へが湧いて來たのです。

實験に用ひて來た犬はいづれも雌犬ばかりでした。だから家内に祟つたのではあるまいか、と思はれたのですな。

 

それで第五十一番目に當る實験用の犬を、家に連れて來て、これを飼犬とし、これまでせめて今まで手にかけた五十頭の犬の供養をし様と思ひ立つたのです。

五十一號は「ゴイチ」といふ名で家に飼ひましたが、これが犬を飼ふ皮切りだつたのです。ゴイチは非常に人なつこい犬で、愛嬌者になつてゐましたが、十一歳まで生きてフヰラリアで亡くなりました。今のドーベルマン「メリー」は、その後に來たのです。

 

實験室で犬を手にかける氣持ちは、實験室の雰囲氣がさうさせるのか、別に何ともないのです。惨虐とも可哀相とも思はないのですが、何かキツカケがあると、氣持がグラついて來るものですな。

僕の友人で、家庭に病人が出たゝめ、實験室を出て病院勤めに移つた者もあると云つた具合で、何か起ると、實験は出來なくなつてしまふやうです。

 

ドーベルマン「メリー」は先も申す通り凄い犬なので、獣医もお馴染みでないと不便を感ずるので、ずつと一人の方にお願ひしてゐますが、幸ひまだテンパーに罹つたことがありません。

實験室にあつては、犬を試験台にして色々の病氣に罹らせ様とするのですが、犬は抵抗力が強くて却却病氣に罹つてくれないに拘らず、このテンパーに逢ふと、コロ〃殺されてしまふのは困つたものですな。

テンパーの細菌はどうも餘程のものらしい。もし人間にテンパーと云ふ病氣があると假定してですな、あゝ云ふ風にコロ〃仆れてしまふ様なことがあつたとしたら、今日既にテンパーの病原菌は發見されてゐたでせうな。テンパーの猛威から免れることが出來てゐたでせう。

何しろ相手が犬なので、この方面の研究も進歩してゐなかつたと思はれます。その内には犬のテンパーの研究も進境を見せることでせうな。

 

医者として犬を見て考へさせられることは、犬は自然療法をよく心得てゐると云ふ點ですね。

犬は馬糞などを喰つて汚いと云ふが、それも自然の要求で、自然療法の一つです。原の悪い時に草を喰ふのも、矢張りその一つ。

實際、自然療法と云ふ事を考へさせられますよ。こいつは医者にとつて都合の悪いことかも知れませんがね。あつは、は。

 

ドーベルマンと一緒に生活してゐて、成程と感心する事は、これは怪しい食物だと思ふと一口に食べないで、徐々に試みて行く、納得がいつた所で、食べ出すことなどです。

形が異なり味が異なるビスケツトなどをやつても、無暗にボリ〃喰べないのですな。徐々に試みて喰べ出すなど、医者の立場から面白いと思つてゐます。

それから彼は又、決して大食をしません。こんな點なども人間に比較して興味があると思ひます。

つひ度を過ごして食べ勝ちなのが人間ですが、ドーベルマンは横目で睨んで、過食しないなど、これは一寸痛快な面白さを感じさせるではありませんか。

 

永末脩「犬の祟りが飼ひ初め」より 昭和10年

 

実験動物とペットでは、扱いが全く違う。当たり前といえば当たり前ですが、実験動物を扱う先生たちも口を揃えて同じことを証言しているのが面白いですね。

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2016-09-25 22:00:21

満洲の犬皮靴下

テーマ:軍事

饒河の街には獰猛な野良犬が多かつた。

少年達は街を歩いてゐて、そんな犬に出會ふと、お互に顔を見合せてニツコリした。

「あれで何足出來るかな……?」

「三足ぐらゐだらう……」

「いや、五足はとれさうだぞ」

忽ち一撃!肉は満人に與へられ、更に少年隊の手で鞣されて銘々の靴下に化けた。

下駄も手製だつた。伐採して來た俎板のやうな木の切れつぱしに、焼け火箸で三つ穴をあけ、支那麻を久留米絣の古いのを裂いてくるんだ鼻緒をすげて作り、得意満面、饒河の街を闊歩した。

東宮中佐が初めて十三人の少年を連れて、饒河に大和村を拓いてから約四年間に、少年の數は三桁に近い數に増加したが、この間に二人の少年が饒河の土と化した。

一人は舊寮生相田寅男君で、昭和九年入寮の第一期生。ニツクネームが近藤勇。

落馬の名人?で、北進寮第一の線の太い人気男だつたが、一面極めて几帳面な少年で、炊事當番になると山のやうな馬鈴薯や人参の數まで一々數へてその數を暗記してゐた。

一日ロシヤ語の授業が済み、部屋に帰つた相田君は窓にもたれて本を讀んでいゐた。もう夕方であたりは薄暗く、故郷の空の懐かしい頃だつた。

突然!銃聲一發、相田君は腹部貫通銃創を受けて倒れた。犯人はたうとうあがらなかつたが、共産匪らしいことは分つてゐた。當時少年隊の教官の首には千圓の懸賞金が附いてゐたさうで、少年隊の記念撮影の寫眞が、いつの間にかソ聯の方に渡つてゐることが判明して、首の邊がヒヤリとしたのもその頃だつた。

 

山田健二「蘇満國境の平原兒 饒河少年隊」より 昭和13年

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2016-09-25 21:41:00

犬を捨てる話

テーマ:動物愛護/虐待

「月刊満洲社」の編集長、城島舟禮の体験談より。

 

 

先達つて私が大連へ發つ晩、どこからともなく支那犬の仔犬が戸惑ひしてやつて來、キヤン〃鳴いて玄関を去らうとしないのに手こずり、馬車夫を呼んで來て十銭やるから遠方に捨てゝくれと頼んだら、十五銭呉れ、自分の家まで連れて行くからといふ。

それならと十五銭やつて馬車に乗せるところまで見届け、やれ〃と部屋に帰ると、ものの三分もたたぬうちにもうキヤンキヤンいつて帰つて來た。馬車夫の野郎一ぱい喰はせやがつた。

仕方がないから私が發つ時、タクシーに乗せて行つて驛前で捨てたが、妙に氣になつて急行券を買つてから廣場に出てみたら、どこへ行つたかもう影もかたちも見えなかつた。

生きものを捨てるなんて、氣持の悪るいものだ。

 

城島舟禮「身邊雑記」より 昭和13年

 

 

 

 

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2016-09-22 19:22:05

軍犬調達予算否決 昭和10年

テーマ:行政/施策

二月號の巻頭頭で、軍犬買上げの必要を述べた。僚誌「ドツグ」の三月號巻頭言には、更にその必要が強調されていた。

かく論ぜざるを得ないのは、軍犬報國のために飼つた犬が、本當にお役に立つであらうかとの不安、疑問が、犬界の一部に漸次増大しつゝあるのを観取したからである。

軍犬資源の充實が未だ一年にも達しない今日、早くもかゝる疑惑に閉されて、二の足を踏むやうでは大問題である。一刻も早く不安を一掃しなければならぬ。

しかし一般犬界人がかゝる不安を懐くに至つたのも無理がない。昨春以來一向軍犬買上げの實がないし、それの斡旋役であるべき、帝犬協會邊りも鳴りを鎮めてゐる。

 

 

全く帝犬會報であり唯一の會員の通信機関である「軍用犬」を見ても、尠くも三月號までには、この間の消息は百何十頁かの會報中に一行も見出せなかつた。會員諸氏の不安がるのも尤もな次第である。

ところが軍部は決して軍用犬に無関心ではないのである。それどころか陸軍では今年度豫算に、数萬圓と云ふ相當大きい額の軍犬買上げの豫算を計上して、大蔵省に要求したのであるが、新規要求一蹴の大鉈にあつて、明るみへ出ず仕舞ひになつたのである。

即ち實現はしなかつたけれども、軍部には軍犬買上げの意志は十分にあるのである。たゞ豫算が取れなかつたために、やりたくともやれないのである。

 

 

諸君意を安んぜよと云ひたいが、單に意を安んずる許りでなく、更に一歩を進めて、大蔵省で出さなかつた豫算を、犬界人で作らうではないかと云つた、積極的運動にまで押進められないものであらうか。

今日飛行機が何十臺か國民の手で作られた。それから思へば軍犬買上げ豫算など知れたものである。

軍部の軍犬補充を民間で援助する方法に二つある。それは直接軍犬を寄附する方法と、買上げ資金を集めて買上げる方法とである。

 

 

軍犬の寄附も勿論奨励したいが、後者の方により重きを置きたい。何故かとなれば、軍犬の寄附は生活の餘力あるものに限るし、犬界そのものに直接何等影響がない。

ところが後者は一般から軍犬を買上げるのであるから、飼育者のはげみになる。よきものさへ作れば、それこそ國家のお役に立つと云ふ観念が、どれ丈け軍犬飼育者にとつて力強いか知れない。訓練等にも自ら油がのる。

軍部にとつても單なる寄附であればたとへ犬に多少の不満があつても黙つて受納しなければならないが、買上げになれば多數の候補犬の中から最優秀なものが、自由に選擇されるから、軍用犬として實際に使役する場合にも、好成績があげられる譯である。

 

 

ところで買上げ資金を募集するとなると、直接金銭を取扱ふのであるから、個人や私的團體よりも立派な背景のある帝國軍用犬協會が最も適任である。いや帝犬にとつてこれ程相應しい事業はないと思ふ。今こそあの堂々たる陣容の威力を發揮し、顧問、参與、理事を總動員して、この軍部の要求する軍犬買上げの實現に努められたらどんなものであらう。

それは軍犬報國の生證拠であり、又今日の犬界の不安を一掃して、真に一石二鳥の利益がある。

切に人肌ぬがれることを希望する。

 

白木正光「陸軍に買上げの意志あり」より

 

この年あたりから小学校の教材にもなり、大いに宣伝された軍用犬。しかし、所詮は軍馬のオマケみたいな存在でした。

その配備には十数年もの準備期間と、各方面への折衝と、調達予算成立までの紆余曲折があったのです。

うまく調達できたところで上官や部隊内での理解が得られず、マトモな運用すら困難なケースも少なくなかったとか。

軍犬武勇伝を讃える前に、そのような日本軍の実情を知っていただきたいなあ。とか思うわけです。

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2016-09-20 01:03:23

警視庁の野犬整理案 昭和10年

テーマ:行政/施策

過般新聞紙上で、發情犬の街頭交尾が風紀上面白くないから、断然犬の放し飼ひを禁止せよといふことが報導され、之に對して或外國婦人も外國の例を示して此の説を支持して居ました。

警視廳當局としても、野犬の掃蕩を年中行事としてから數年に及びますが、之の徹底的方策を講じない限り、真に其の實績を擧げることは困難であつて、今後何年之を行つても全く際限がないと考へるのであります。

 

然も近年、軍用犬又は警察犬、狩猟犬等の優良種犬の増加は實に目覚しいものがあつて、昨年などは畜犬數が平年より五千餘頭の増加を示して居りますが、尚野犬の捕獲數に於ても平年より約二千頭を増加してゐるのであつて、之は優良犬と駄犬とを交換して、前の畜犬が盛んに放逐せられてゐる傾向がある事を物語つて居るのであります。

現にシエパードがかゝつた雑種犬が野犬として、ぞろ〃捕獲されて來たばかりでなく、昨年の如きは此種の雑種犬から二頭迄も狂犬病が發生してゐるといふ有様です。

 

吾々は、愛犬家諸君の心情は充分諒としてゐますから、常に真面目な意味の動物愛護ならば勿論大賛成であつて、優良種犬の保護施設に就ては充分考慮してゐますが、以上の事實に徴しても野犬の掃蕩、駄犬の蕃殖防止に関しては、一般の理解と協力を俟つて是非とも効果を収めたい念願で、目下着々實行方法を考究してゐるのであります。

 

現在では狂犬病撲滅の為めに豫防注射を励行して居るのでありますが、單に狂犬病に就いて云へば、官民一致協力して撲滅に努力した結果が酬ひられて、大正十三年には七百二十六頭の狂犬病が、昭和九年に至つては僅かに十頭に減少しました。

然し尚、人を咬傷する犬に至つては依然として多く、毎年三千頭乃至四千頭を下らないものであります。

之は洵に社會の平和な生活を営む上には困つた事でありまして、斯様な不安は一日も速かに除去せねばなりませんが、その原因は奈邊にあるかといふに、畢竟無益な犬が無制限に繁殖するからであります。

 

無益な犬の無制限に繁殖するのを防止する為には、警視廳としては野犬の捕獲或は買上げを實施して來たのでありますが、何分にも警視廳管下で春秋二季に生産する仔犬が約四萬四、五千頭であつて、内三萬頭は大體野犬となるのでありますから、警視廳の一年の捕獲或は買上げる野犬が約二萬七、八千頭あるとして、此の状態で行くならば、前にも一言した様に、結局同一の状態を常に繰返して行くことになつて、この捕獲買上げの方法だけでは問題を解決し得ないのであります。

 

そこで今後は、現状を打開するに、一面には野犬の捕獲買上げを行ふと同時に、他面には去勢によつて、駄犬の繁殖を防止する事は勿論、目下問題になつてゐるところの道路に於て交尾するやうな醜態を減少させたく思ふのであります。

故にその實行方法としては

 

一、軍用犬、警察犬或は番犬として國防上、行政上漸く其の重要性を認められて來た優良犬に對しては勿論保護蕃殖に努めるが、

二、その他のものは成るべく去勢避妊法を實施すること。

三、それも最初は手術の簡易なる牡犬より開始し、漸次牝犬に及ぼすこと。

四、成るべく幼齢犬に實施する事。

五、警視廳及び開業獣医師の協力を得て去勢班を組織し、官民協力之に當ること。

 

等に就て考究を重ねて居り、近く之を實行に移したいと考へてゐるのであります。

 

大體の手術料は現在牡犬五圓、牝犬十圓位ですが、それも出來れば豫算をとつて狂犬病注射の如く、愛犬家の負担を軽くしたいと考へてゐるのであります。

本邦に於ても、千葉縣外二、三の府縣に於て既に實行して好成績を収めてゐるのでありますから、數年後には吾々の理想が實現して、一般市民及び愛犬家諸君からこの施設が歓迎されるであらうと信じてゐるのであります。

 

警視庁衛生部獣医課長 池上幸健「官民協力して野犬整理の一考察」より

 

「犬の敵」みたいに語られている警察も、駆除野犬の数を減らすために必死の努力を続けていたのです。

しかしこれから2年後には日中戦争が勃発し、数年後には太平洋戦争へ突入。食糧事情の悪化により捨て犬が更に増加するという状況へ陥ります。

その頃には去勢論なんかどこかへ吹き飛び、ペットの飼育自体が白眼視されるようになっていました。

 

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2016-09-17 09:59:48

暴行魔と護衛犬 昭和10年

テーマ:治安/犯罪

京都の町を歩くと、至る處に有名な温泉を見受ける。

草津温泉、湯河原温泉、伊香保温泉、等。併し初めて其の名を知るものも多々ある。

曰く、紫野温泉、紫竹温泉、そして何處の温泉に飛び込んでも色も同じ香も同じであつて、入浴料金五銭也。それが最近までは、四銭五厘で五厘銭の無く成つた教に於ても尚、五厘の名残を風呂屋の入浴料に止めて居るのは京都らしい。

其の風呂も一般に上り湯がぬるく、「浪花節」が出たり「どど逸」が飛び出すと云ふ景気のよさは無く、商賣の話が盛んで流石に、角帯と衣の町である。

 

僕は或る夜のこと、十二時近く其の風呂に行つた處、意外な話を耳にしたのである。

 

夜の愛犬の運動は妻の役目であつて、時間は決つて居ない時もあるし拾壱時頃もあるが、兎に角、寝につく前に連れて行くのである。

場所は大概大徳寺の境内で、老樹は我が物顔で天に聳え、夜の獨り歩きは男でも少し心細い氣がするが、左手に愛犬を連れて居れば勇気百倍である。

 

丁度、湯殿につかつて居ると、「ながし」に寝そべつて居た人相も良くない二人連れが口を開いて、次のような話をし出した。

 

甲「此の間、大徳寺でちよつとした奴を見つけたので、やつてやらうとしたが、何うしても手が出せなかつたよ」

乙「何してだ?」

甲「何しろいい女が立つて居るので、こいつは占めたとぞくぞくしながら松の木影にかくれて居ると、其の女がペラペラと何んか云ひやがつたと思つたら、物凄え犬がダツダツと女の傍へ來やがつてぐるぐる其奴の周りを廻り出してよ。又、ペラペラと云つたが其處へ座りやがつて。もうゾーとして了ひ、手が出せなかつた」と。

 

これまで僕は、空つかて聞いて居る内、すつかり逆上せて了ひ、洗ふ気にも成れず、急いで帰宅したが、其の會話の内の女とは、妻のことより他かには居ないので、其の日に限つて拾二時近く風呂に出掛けたことが非常に有意義であつて、愛犬の御蔭で妻が破廉恥漢の暴力から免れ得たことを深く感謝したのである。

それからと云ふものは、大徳寺の夜は、僕が連れて行くことに成つた。

 

龍南三四郎「壁に耳あり」より

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2016-09-12 19:53:23

ケルースカー・フォン・ブルグ ファザーネンタルKZ30087(牧羊犬資格犬)

テーマ:犬籍簿・牧羊犬と作業犬
生年月日 不明
犬種 シェパード
性別 牡
地域 大阪府
飼主 平野健三郎氏




「全國名犬寫眞集」より 昭和11年

大阪へ渡った後、帝國軍用犬協會にも登録されました。

犬


在郷軍用犬と軍所属犬には、戦地へ出ない繁殖用の犬がいました。それが軍用種牡犬です。
種牡犬認定は血統や体格稟性が厳しく審査され、それらをクリアした犬が指定されました。
在郷軍用犬の種犬は有料でレンタルされ、各地で蕃殖に用いられます。
軍所属犬の種犬は、「育成所犬」として軍犬育成所で管理されました。
在郷軍用犬の場合、ボトウィンのように我が家へ帰宅することも可能。しかし、軍の装備品である育成所犬の場合ソレは不可能でした。戦後に帰宅を果した育成所犬は、ボドー・ハウスクヂャクソウくらいですか。

犬
昭和16年の広告より
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2016-09-12 19:47:33

日本シェパード犬協会トロフィー 昭和11年

テーマ:犬の玩具/製品

 

昭和11年開催のJSV品評会における入賞犬トロフィーがこちら。


昭和11年の資料より

 

以前掲載した、相馬安雄氏制作のJSVトロフィーとは別物みたいですね↓

 

相馬安雄

 

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2016-09-12 19:35:26

ダゴー・フォン・デル・ヴァッファベライトシャフト KZ19176(税関監視犬)

テーマ:犬籍簿・警察犬
生年月日 不明
犬種 シェパード
性別 牡
地域 満州国奉天
飼主 松本有基氏







昭和13年頃にダゴーは満州国へ渡り、税関監視犬育成所で繁殖用の種犬となっています。
彼の血を引くのは、アスター・フォン・南洲荘、ケルスカー満州税関、ダックス満州税関、ブランカ・フォム・ハウスキンショウ、フリーザ・フォン・ハウスピレヌ、バドー・フォン・ハウスキド、アルダー・フォン・ホウテンマルヒラ、アルダ・フォム・ハウスモリモトなど。
その後帰国したのか、満州に留まったのかは不明。

帝國ノ犬達-ダゴー
昭和18年の広告より
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2016-09-12 19:31:02

Amor von der Speiererhohe JSZ3545(種牡犬)

テーマ:犬籍簿・ペットと番犬

生年月日 不明

犬種 シェパード

性別 牡

地域 大阪府

飼主 小野茂次氏

 

「全國名犬寫眞集」より 昭和11年

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