昔々あるところに
こんな犬達がいました

という内容のブログです。






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2017-03-25 23:55:27

F(猟犬)

テーマ:犬籍簿・猟犬

生年月日 不明

犬種 イングリッシュポインター

性別 牡

地域 朝鮮

飼主 高津新二氏

 

社會的に見るも、狩猟界よりするも意義ある我輩の大事業を遂行中に、意外なる災禍を招いた事がある。

其れは、政府の保護を受けて居る特殊會社太田支店長某氏の愛犬に對して理想を實現して居た時であつた。同家の愛息某君が飛び出して來るより早く、イキナリ學校用のナイフを奮つて我輩の右腕肩甲部に突き立て居つた。

 

物に動ぜぬ我輩も、無法の暴行には驚き慌てざるを得ない。痛さを忍び白毛を鮮に染めながら一目散に主家へ馳せ帰つた。事の意外に驚きと怒りに燃えた主人夫妻の應急手當を受け、引續き専門医の外科手術を重ねて漸く全快する事が出來たものである。明治維新の歴史を讀んでも鴻業を成尚した偉人とか元勲に刺客は免れぬ運命らしい、と大に達観してあきらめる事にした。

 

其れにしても、厳重な談判をすると意氣込んで居た主人が急に沈黙したのが不思議だと思はれぬでもなかつた。

 

加害者たる悪童を詮議して見ると、平素から大切な御得意先として出入を許されて居る先方である事が明かになつた。主人の沈黙は結局は利害得失の打算から出たものらしい。

先天的に義務を重大視して権利を尊重せぬ日本人の一大缺點を茲にも遺憾なく發揮したものだ。事大主義の迷夢から醒めなくては世界三大強國の實は挙がらぬと痛切に感じたのである。

 

野犬撲殺を職業とせざる一少年刺客の行為は全く活動寫眞の悪感化が大原因を為し、一面には家庭に於て彼等の母なる人の盲目的な溺愛が理智の能力を消滅して罪もあるらしい。

憐れむべき此の少年刺客の将來は変態性欲者か然らざれば不忠不臣の徒として祖先の名誉を汚がすのが終局だと断言して憚らぬ。

反省と自覚の力に缺けて居る母親が、今猶ほ日曜祭日等の休暇以外に家庭内の真空氣に触れぬ父親の手前を巧みに取り繕ふて居るのだから、お氣の毒と申そうふかお目出度い限りではある。

 

或る朝呼ばれるまゝに主人の跡からツいて太川驛の構内に入り込んだ。主人と小荷物係の職員が何事か應接して居るらしい。

間もなく持ち出された豚箱を目撃すると同時に四度び主人を替へさせられるのだナと直覚した。罪なきものを罪人扱ひにする豚箱入り位ゐ凡そ不愉快千萬なものは無い。

何とか改良させねば我等の品位向上は百年の歳月を重ねても望まれぬと考へた。先ヅ之れが實行の第一着手としては盛んに鐵道局の最高監部へ愛犬熱を注入する事が最も有効だと考へた。

 

過去現在将来に就て種々雑多な感想に耽りながら、今日は珍らしく二時間足らずの汽車旅行で早くも〇〇驛と云ふ貧弱な片田舎に引き下ろされたのである。驛から二、三丁離れた△△商會と云ふ銃砲火薬店に伴はれて行くと、其所には獨逸種や露西亜、仏蘭西さては朝鮮種と、まるで各國犬の展覧會を見る様にゴロゴロして居るのに聊か驚かされた。

 

一通り仲間と初對面の挨拶を交はした。戦闘と番兵を職務と定めて居る彼等の三頭までは我輩と同じく牡犬で有るにも係らず、其の態度には少しの敵意も含まず、頗る圓満であツたのには敬服した。物珍しさと解放された心持ちで、主人側の會話も聞かず附近を飛び廻つて遊んだ。近頃に無い愉快な心持を味ふ事が出來たのである。午後の四時過ぎに帰つて見ると「其れでは何分宜敷くお願ひします」と主人は帰り仕度をして挨拶をして居る。

四度目の主人に仕へる事となつても今度は豫め覚悟もして居つたので驚きもせぬ。

「左様なら」「御機嫌よふ」と舊主にお辞儀をして新主人の後ろに立つて居ると「犬の好きな方に對つては不思議なものですナー」と謎の言葉を残して汽車の客となられた。

 

一見舊知の如しと云ふ言葉があるそふだ。今度の主人は何となく親みがある様で、一面には又た訓れ難き趣きが感受された。

「今日からお前の名はエフだぞ」と厳かに名命して我輩の性格やら特長やら缺點を知る可く細心の注意を拂ふて居るらしい。

「スタイルは満點だ」と聞かされたから、聊か得意の鼻を動かせて居ると「然し低能では始末が悪るい」と來た。事實は其通りに違い無いが、可成り皮肉な親爺だと感心した。當分の間は色々とメンタルテストされるらしい。

 

獨逸系のエス女も猟犬としてはザツト一人前の働きが有るとの事だ。昨年の二月から交尾期に入つたので、鶏舎として作られた二間四方の金網張りの内へエスと我輩を投り込んで厳重な監督を附けられたものだ。

 

實用的の獨ポと耐寒力に弱くはあれど幾多の特長ある英ポの混血を産ませて試験するのが主人の考案らしい。親の心子知らずと云ふものか、エスは我輩を嫌つて低級な露西亜犬のベル君や朝鮮犬のワリ君を奇妙に歓迎する。

彼等の嫉妬心から一族の圓満は少なからず傷つけられた。嫌はれても振られても主命大事と我輩はジツト穏忍したので、さすが強情の彼女も遂には屈服した。弱きものよ汝の名は女なりだと謂ひ度くなる。

 

月満ちて産れた仔犬は、一番から三番目迄は毛色からスタイルまで父、即ち我輩に似て居り、四番から六番の末弟までは母犬其のまゝの容姿であつた。生理學上の研究材料として人類界に提出する價値は充分だと考へた。

只茲に特筆すべき事は、六頭の成績如何と云ふ問題であるが、其内二頭は現に天才的のひらめきを示しつゝあるのである。其他の子等は遠隔後に養子女の縁組をして居るので、消息が明かで無い。其内に訪ねてやり度いと思ふて居る。

 

拾月一日の猟期初めに我輩、エスと英ポ雑種のラブと呼ぶ八猟期間を實戦往來した大先輩と合計三頭が、主君の御伴申す光栄に浴した。今日から、實猟の技能をテストされるのだと思へば嬉しくもあれど、容易ならぬ不安が漲る。

主君の覚え目出度かれ、我れ劣らじとの功名心も又た大に手傳ふて、盛んに活躍を續けて見た。前後二時間餘りを経過した頃、フト老練家を以て許されて居るラブの姿が呼べど叫べど見當らぬ。早くも主公の額に癇癖の節がピリピリと動き出した。我輩もエスと顔を見合せながらハラハラとして居つた。

 

二、三日前から健康を害して今朝の食事も出來なかつたラブが、初陣の功名を急いだ結果、猛烈な胃痙攣を起して七転八起の苦悶を重ねて居るのを發見した。主公は附近の民家から食塩を取寄せて強心剤として口中に注入し、其所らにあつたセンブリ草を水に絞り口に入れてやつた。意識を失ふたまゝ自宅へ連れ戻り、色々と手厚い看護を加へたので四五日後には全快する事が出來た。

其れ以來食事の摂取が不十分だと見られた限りは絶對に猟場のお供は許されぬ事となつた。

今日ふは出猟だなと察した時は、厭やでもウンと喰ひ込む事に決めて居るのだ。

 

高津新二「猟犬となるまで」より 昭和2年

 

下ネタ満載ながら、昭和初期の朝鮮犬界の様子が窺える記録。シェパードだけではなく、ポインターの繁殖も盛んだったんですねえ。

悪ガキに刺されたエフを診た獣医さんですが、当時の朝鮮半島に犬猫専門病院があったかどうかは不明。獣疫対策で多数の獣医師がいたことは確認済みですし、帝國軍用犬協會や日本シェパード犬協會などのソウル支部設置、狂犬病対策や畜犬取締りもきちんと実施されていたので、おそらく存在したのでしょう。

情報発信しまくっていた、台湾獣医界の宮本佐市先生みたいな人がいたらよかったんですけど。

 

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2017-03-23 23:07:22

戦時中のマムシ対策 昭和13年

テーマ:医療/衛生

心得のよい猪猟師達は「夏山を牽く」と云つて、夏期も猪犬を山に入れる。

尤も別にそれのみに出掛けるのではなく、山に柴をかりに行く時、或は山林を見廻りに行く際など、云はゞ序でに行くのであらうが、猟期外の夏期にも、子連れの猪を追はせたり、猪に出會はぬまでも、山に入れて猟の氣分の失せぬ様また體にゆるみの來ぬ様心掛けるのである。

これは他でもなく、生死を賭して、真剣に猪と戦ふ猪猟犬として、不断に技を練り、體を練磨する精神から來たものである。

この練磨方法は、たゞ猪猟犬のみが採る方法で、鳥猟犬の方は、その必要がないかと云へば、決して左様ではない。

我々の鳥猟犬と雖もこの「夏山を牽く」心掛けはあつて欲しい。

ところで夏山を牽くに付いて、心配なのは犬がよくマムシに噛まれる事である。尤も犬も一度これにやられると、一度でコリでそれからはマムシを避けて通るようになるが、それと知らぬ初めは、若犬などがよくマムシに相手になつて噛まれる。

そして噛まれても対して害の無い事もあるが、鼻の先きなど噛まれると、生命にも関する事があるから、油断がならない。私の知つて居る範囲でも、ニ三頭このマムシに噛まれて命を捨てゝ居る。

私は附近に猟場があるので、よく夏山を牽く方であるが、一度猟犬をマムシにやられて以來恐れをなして、其後夏山に牽く事を中止して居たが、或時知人にマムシに噛まれた時の手當方法を聞いて、それを實験の上、有効と知つてからはマムシに恐るゝ事なく、夏山を牽いて居る。

その手當方法は、山に出掛ける時、アンモニヤ水を少量、目薬の空ビンなどに入れてポケツトに入れて置く。

その外ローソクを一本用意して居て、もし噛まれた時は、その噛まれた傷口を指先きで力一杯押して後、傷口にアンモニヤ水をよくすり込み、ローソクに火を付けて、その傷口にローを流し込んで置く。

斯様にして置けば、犬も別に苦痛を訴へず、そのまゝケロリと癒つて了ふ。

尤もこの手當方法は、噛まれてから時間が経過するとその効がない。だから「噛まれたな」と思つたら、直ぐこの手當をせねばならぬ。

小松生「夏山の訓練とマムシに噛まれた時の手當法」より

 

マムシやスズメバチや山ビルやブユやアブより怖い、春山のスギ花粉。ハナミズが止まらん。一種のバイオテロだろ。

 

祖母から「アオダイショウは大事にしろ」と教わってきた私も、マムシは生理的にダメです。同宿したオッサンから魚の干物と騙されてマムシを食わされたり、同僚の足元に綺麗な石があるなと思ったらトグロを巻いたマムシだったり、ロクな思い出がありません。

DNAに蛇への恐怖が書き込まれていない人もいて、元陸自の知人は、マムシを見ると嬉々としてとっ捕まえております(マムシ酒にするんだと)。自衛隊時代も、マムシを獲るのが演習中の楽しみだったとか。日本は平和だなあ。

 

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2017-03-21 22:38:14

大正のフヰラリア蟲

テーマ:医療/衛生

僕の家の前には大きな菖蒲池や蓮池、雑木林と言つた様な蚊の生産所が多い。そこで養成された蚊軍が五月の末から十月の初にかけて襲來する有様は實にものすごい。

愛犬共が此蚊軍になやまされる事一通りではない。蚊と言ふ奴はほんとにいやな奴だ。

殊に犬の為にあの恐ろしい寄生虫フイラリヤ蟲の中間宿主だと聞いては、むしろ怖ろしくなつて來る。

 

犬が一度この寄生虫に取り付かれたら、治療の方法が無いと言ふんだからたまらん。

尤もコレラなんかの様に直ぐコロリと死んで終うものでは無いが、烈しく活動しなければならない猟犬などでは大いに死期を早められる。猟に引張つて行つても行く時には頗る元氣で行くが、二、三時もたゝないうちにすつかりへこたれて終う。帰りには負うて來なければならん。

肺病患者の様に滋養物を喰はして遊ばせておいたら良いそうだが、猟に使へなければいかな名犬と言つた處で猟犬としての價値は零だ。蚊が犬糸状蟲の中間宿主であると云ふ事が發見されたのは、確か千九百一年とか言はれてゐる。

然し僕がこれを聞いたのは、お恥しいながらつい三、四年前だ。夫れ迄には愛犬を何匹死なしたか知れん。

 

僕の知人に犬が死ねば必ず自身解剖して其の因を確めると言ふ熱心な研究家がある。いつか其人の家に行つた時、一匹の犬から出たフイラリヤ蟲だと言つてアルコール漬けになつてゐるのを見せられた事がある。

白い糸の様なのが五六十匹瓶の中にコンガラガツて居るのを見て、ほんとに怖しくなつた。

 

此の蟲は雌の方が大きくて、長さ三十糎以上にもなる。そして子宮が非常に發達して居て、體中が子袋と言つてもいゝ位で、一匹で何十萬何百萬と言ふすばらしい澤山の幼蟲をひり出す。夫れが又顕微鏡で見なければ見えない様な小さい奴で、犬の血の中へ混つて體中を廻つて中間宿主の來るのを待つて居る。そこへ蚊の奴が來てチクリとやると、得たりとばかりに蚊の體中へ吸ひ込まれて行く。そして蚊の體中へ這入ると、更に縮小して二十何時間の後には學校を卒業した時の様な調子で就職口を求めに蚊の口部に集まつて來る。其の蚊が今度犬をチクリとやつたら、再び犬の體中へ這入り込む。今度は立派に卒業して居るのだからたまらん。夫れが又十匹や二十匹では無いからやりきれん。

 

そこでだん〃成長して、心臓や大静脈幹、或は肺動脈等に寄生し、遂に三十サンチ以上にも成り、相當害を及ぼす様になる。

そうなつたら治療の方法も無く、名犬も廃犬となり、遂には骨になつて終はねばならん。これに冒されるのは幼犬には殆んど無くて、成犬に多いのを見ると、寄生してから相當害をなすまでにはかなりの月日を要するらしい。

僕も以前は犬共も蚊に喰はれて痒いだらう位に同情してゐるに過ぎなかつたが、近來は殊に仔犬に對して防蚊に大いに意を用ひて居る。

機織猟夫「犬界管見」より 大正15年

 

フィラリアは、ナニをどうして斯様にケッタイな感染経路を会得したのでしょうか。

 

明治時代は「飲み水で伝染する」とか信じられていたフィラリアも、大正になると蚊が媒介すると周知されていたんですね。

フィラリアに斃れた愛犬を解剖した人といえば、「愛犬王」こと平岩米吉が有名です。その撲滅を誓った彼が、フヰラリア研究會を立ち上げたのはこれから10年近く後のことでした。

 

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2017-03-15 21:54:10

ウラル・オブ・ハウスブリーズ(分譲犬)

テーマ:犬籍簿・ペットと番犬

生年月日 昭和11年生まれ
犬種 ボルゾイ
性別 牡
地域 長崎縣
飼主 麻生一郎

 

昭和12年の広告より

 

橋本関雪画伯にボルゾイを提供していた長崎のブリーダー、麻生氏が繁殖した犬。

下の仔犬たちは昭和9年生まれなので、ウラルではありません。

 

ボルゾイ

 

 

 

 

 

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2017-03-15 21:53:38

カールとシャーリー(愛玩犬)

テーマ:犬籍簿・ペットと番犬
生年月日 昭和12年
犬種 ボルゾイ
性別 カールが牡、シャーリーが牝
地域 東京府
飼主 吉田隆氏

帝國ノ犬達-ボルゾイ
吉田隆氏の愛犬 昭和13年



昭和12年の広告より


シャリーと関係のあるボルゾイを何頭か。


こちらがシャリーのお母さん。


交配相手のエス

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2017-03-15 21:45:48

リリー・オブ・ティーエス(愛玩犬)

テーマ:犬籍簿・ペットと番犬

生年月日 昭和10年生まれ
犬種 ボルゾイ
性別 牝
地域 愛知縣名古屋市
飼主 高田商店

 

昭和12年の広告より

 

 

 

 

 

 

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2017-03-15 21:33:27

金剛(種牡犬)

テーマ:犬籍簿・ペットと番犬
生年月日 昭和9年頃
犬種 秋田犬
性別 牡
地域 兵庫縣
飼主 山口祥布庵氏

大號の父犬です。

犬
昭和11年



昭和12年


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2017-03-15 21:27:23

ラッキー(愛玩犬)

テーマ:犬籍簿・ペットと番犬

生年月日 昭和10年生まれ
犬種 ブルドッグ
性別 牡
地域 兵庫縣神戸市
飼主 武田菊子氏

 

昭和12年の広告より

 

 

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2017-03-15 21:21:52

久留米軍犬研究会

テーマ:犬の団体/組織

設立年 不明

地域 福岡縣久留米市

活動内容 不明

 

爆弾三勇士像の前にて、メンバー一同の記念撮影 

昭和9年

 

 

 

 

 

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2017-03-15 21:16:50

バロビアン・レフレックス(種牡犬)

テーマ:犬籍簿・ペットと番犬

生年月日 不明
犬種 ワイヤーヘアードフォックステリア
性別 牡
地域 東京市
飼主 三倉博氏

 

昭和9年の広告より

 

 

 

 

 

 

 

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