珍しく萌え要素なしで純粋に楽しめる小説です
高校生のときは落ちこぼれだった凜田莉子は東京・飯田橋で「万能鑑定士Q」という鑑定のお店を営んでいます。
ちゃんとした資格を持っているわけでなく、“万能鑑定士Q”というのは屋号です。
そのお店に様々な鑑定の依頼が持ち込まれたことで、自ら事件に関わって行ったり、巻き込まれていきます。
基本的には1冊で一つのお話です
Qシリーズの1冊目と2冊目は2冊で一つのお話になっています。
町中で見かけられる通称“力士シール”と世間にはびこる偽札が軸となって話は進んでいきます。
専門家でも区別がつかないスーパー偽札の登場で円の通貨価値は著しく下がり、国内でも1万円札が受け取ってもらえないような状況となり、(お金の価値が下がったため)インフレも起こり、荒廃していく様は日本ではないような一方、リアルな感じがちょっと怖いです
この力士シールと偽札がどう絡んでいくのか、莉子はどのように見抜くのか、どんなカラクリがあるのかが見どころ
偽札がテーマのこの1・2巻は莉子の波照間島から上京してからお店を開くまでの過去の話と現在の小事件がいくつか入っているので、先が気になり、ぐいぐい読み進めます
私は今8冊目まで読み終えましたが、Qシリーズでは宣伝通り、人が死ぬような事件は起きません。基本的には詐欺を見破る面白みの小説です。
このシリーズは、莉子 vs. 詐欺師といった知力を尽くした詐欺師の手法を莉子が全ての知識を総動員して(時にはカラクリを見破るきっかけがあったり)見破るという知力合戦ですが、憎めない犯人が多いかも
何かしら、悲しい背景があったり、寂しい思いを抱えていたりします。
読みやすいですし、後味もただ楽しかったというより、しっとりとした感じです。
秋の読書にはいいかもしれません
それにしても出版ペースが速いですほぼ2か月で1冊ですようやく8冊読み終わったのに、本日、12冊目が発売のようです。しかも、これで1st Season終了のような(でもすぐに12月から2nd Season始まるようですが)
作者:松岡 圭祐
出版社:角川書店(角川文庫)
2010年4月24日