なかなかの梅曲を採譜してみました。
梅曲??ん?
ですね。

ユーミンのコアなファンの間では大量の楽曲の数々を松曲、竹曲、梅曲、という風習(笑)があり、一般的な有名順仕分け、のようになってます。なので、松曲と言うと「春よ、来い」とか「卒業写真」とか。。
竹曲だとどのあたりなんでしょう?ベスト盤にギリギリ入ったり入らなかったり、それかライブでの演奏機会が多い曲になるのでしょうか?   

 苗場のライブでのリクエストコーナーで松曲をリクエストしてしまうとブーイングの嵐となり、却下になる場合もあります(笑)

1985年に発売されたアルバム「ALARM a la mode」の中のこの曲は、間違いなく梅曲でしょう。
{E7E0C003-523B-46A3-8917-695BC8E1727C}




私の持論ですが、梅曲のほうが、
音楽的に面白い曲がたくさんあります。

なのでこちらでも時々こういう梅曲を取り上げて語ってみようと思います。

【採譜譜面】
{240C5A5B-6A58-446A-A657-C037D39ACA1A}

{532A5C4E-7419-4AE4-8338-D4A6E24D1DCB}

この曲から「白い服、白い靴」「土曜日は大キライ」への流れがかなり大好きです。

私はリアルタイムでユーミン作品を聴きだしたのは「Delight 〜」なので、
この曲を含め、この時代にこのアルバムを発売日に購入してレコードに針を落とし、最初の「Holiday in Acapulco」の飛行機の音をわくわくしながらで聴いたであろう方々が羨ましかて仕方ありません。

さて、曲の内容にうつっていきましょう。

【Aメロ】楽曲タイム  0:23〜
{9E9004B4-5C5B-4183-B71C-66E8905D9B31}


へ長調で始まり、ふっとニ短調に沈み、
またへ長調の明るさを戻して行きますが、
ユーミン作品の特徴がよく出ていて、
「長調でも暗い」です。

それは調性をぼやかしてしまうメージャーセブンスの多用と、トニックをマイナー代理コードで使うことが多いことが大きいと思います。

歌い出し、Dm7を使いがちですが、
案の定、Ⅳの和音であるB♭M7です。
サブドミナントはⅡm7とⅣM7の和音があり、
どちらを使っても良いのですが、
ユーミン作品ではⅣに固執します。
シャープで洗練された色合いを持つⅣが好きなんですね。
普通ならⅠを使うべきところまでよくⅣがついていて、口を酸っぱくして言ってますが、
このⅣの多用は楽曲を俗っぽさの色合いからかけ離れさせ、ユーミン作品の膨大なセールスへと繋がっていると思っています。

みなさん、あ、これはⅣだな、なんて思ってませんよ。でも、生理的に心のどこかでこの色彩を汲み取っているんです。

【Bメロ】楽曲タイム0:44〜
{5A63715C-24EE-412D-97E9-C2F00EBB675D}


歌詞「朝は仄白く、雨は音もなく」部分
またB♭M7でスタート。
Bメロのほうが強調する必要性があるためか、
メロディがAでメージャーセブンスをとって
浮遊しています。

B♭M7-Am7-B♭M7-Am7と繰り返します。
停滞繰り返しもユーミン作品では多用。

そしてBメロ4小節め
歌詞「かすかに」部分!

Cm7-Cm7/F

せつないですよね。
これですよ。
こういうところが好きなんです!!

Cm7/Fの部分、これ自体が代理コードで
ユーミン作品に多用される分数コードです。
分析する際には本来のF7で考えなければなりません。

そうするとへ長調なのでⅠ7となります。
その前のCm7(Ⅴm7)はそのⅠ7(F7)を分割したもの。

この味わいを他作品で味わいたい方は
「シンデレラエクスプレス」0:36〜
とけてついてゆきたい、の「ついて」部分をじっくりとお聴きください。
同じ手法です。
最新作の「私の心の中の地図」にも出てきます。

Ⅰ7ってバロック音楽でかなり多用されているとおり、ほんとに上品なのですが、
なぜユーミン作品に多いかというと
Ⅰ7から解決するⅣが多いのだから、Ⅳの前にセカンダリードミナントを付けるとⅠ7なので、
連動して多いということになります。

【Cメロ】楽曲タイム  2:17〜
歌詞「愛は頼りなくつもって〜」
{0580AD7C-D98D-45AF-890F-38B3956C14AA}

ああ、譜面見ただけでやばいですね。

ハ長調で「ミーレミ ミファソファミレドレ」と
途中シャープをつけたりして
と3回もやってますけど
いろんなコードがついてますよー!
ミーレミだからってCとか馬鹿なコードつけてません。

「愛は限りなくつもって」  で FM7(ⅣM7)
(メロディがメージャーセブンスをとる)

「時はどこからか訪れ」でEm7-A7(Ⅲm7-Ⅵ7)
緊張感さらにアップです!

「そっと」でDm7(Ⅱm7)
最初のFM7と同じサブドミナントです。
ここでメロディはテンション9thを取り、
とうとう音階外へ飛び出します!
緊張感アップです!

「砂模様ふきけし」でA♭aug/B♭
鳴ってる音はB♭7テンション付きで
以下のとおりなのでB♭7扱いとします。
{F326801D-98EF-4E09-98D8-E9801F43B610}

{34BE8EEC-76A0-4628-9525-834F33D08F26}


このように。。。。。。。

メロディがテンションだらけ、
かなり緊張感のある♯11thも入って

「てーーーゆく」でAm7-A7の繰り返し。
{2A33E5CA-4E70-4C70-B5B2-0A3502FEE364}

鳴ってる音を図解するとこんな感じ。
ここでもテンションは9th。
そしてA7を投入し、
複雑な色彩の中でまたまた明暗の変化を生み出します。

実際に音源を聴いてみるとわかりますが、
この部分、ほんとに静謐な引き締まりで
頭がぎゅーっとなります。

こういった何やらすごい梅曲についても
今後とも触れていきたいと思います!

最高までお読みいただきありがとうございました!

ビバーチェピアノ教室
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