低栄養状態から始まる様々な疾患 ストレスその3 | 髭の拝さんのブログ

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病について分子栄養学的観点で思い付くまま書き記しますが、中身は栄養素の生理活性をお知らせしながら
健康回復の道筋を説きます。
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(以下は、低血糖状態から始まる様々な疾患の続き2と続き3に紹介した女性の例です。重複しますが掲載します)
 ストレスを我慢で過ごすと更に大変なことも起きます。もう一人の方は、更年期に差し掛かったご婦人。頭の回転も速く、有能なキャリアウーマンです。

 製造業の総務と経理を一手に引き受けて、一人で仕事をこなしていた。過去には経営側の立場で、事業に資金援助せざるを得なくて、随分つぎ込んだとか。不況の煽りで会社は整理されることになり、関東の地へとやってきた。移転しても有能な方はやはり同じような職場からオファーがあるようで、選んだ職種は相変わらず総務と経理。
 支払日・給料日が近づくと、毎晩12時過ぎまで残業を強いられる。家では成人した長男と長女の面倒を見ながら、家事にも勤しんでいた。

 そんなある日、前の職場のことで裁判沙汰に巻き込まれて嫌な思いをするようになった。また、地方にいる妹が癌を患い、治療の援助等々で大変な経済的負担・精神的苦痛も伴っていた。職場は相変わらず大忙しで、担った仕事を一人で背負いながら、闘いのような毎日が続いていた。この状態は明らかにストレスの抵抗期です。

 ある日、彼女は訴えてきた。「字が読めなくなってしまった、家事もできない、経理屋なのに計算もできなくなった、記憶力もなくなった、一日中疲れ切っている、朝起きられなくて気力も沸かない、業務の文書も書けなくなり伝達文も意味が理解できなくなった、家のことも仕事も・・・何にもできない。こんなことってあるの?」

 この状態で一般病院に掛かると「鬱病」を疑われて精神科送りとなる。そして、薬漬けになるのが目に見えている。こんなことってあるの? と聞かれても、私は素人。ただ、異常事態であるのは認識したが、心療内科や精神科はお勧めしたくなかった。
 
 そこで、一般病院ではなく、会員制クリニックの入会、受診を薦めて、数日後に検査・診察と云う運びになった。
 検査は採血と唾液によるストレスチェックでした。

 後日、医師は「副腎疲労症候群ですね。ストレスで反応を示すのは”副腎”と云う臓器で、副腎からはコルチゾールやアドレナリンが分泌されて仕事への意欲も掻き立てる。貴女の場合検査数値が示すように、ストレスで副腎が対応しきれなくなって、気力を奮い立たせるホルモン分泌が減少してしまった。そのために、訴えられる症状が出てしまったのです。

 多忙で鬱陶しい日常から離れて、ハワイで3ヶ月暮らせば治りますよ。でも、非現実的過ぎてそれも無理でしょうから、ホルモンの前駆体のようなサプリメント”DHEA”とビタミンC点滴をお勧めします。プロテイン、ビタミンC、ビタミンB群も飲んでください」

 副腎疲労症候群について補足します。一般の病院では”副腎疲労症候群”の診断ができず、精神疾患として治療される場合も少なくありません。副腎疲労は、ホルモン分泌系の狂いだけではなく、免疫能低下・NK細胞活性低下・Tリンパ球低下などの変化を引き起こします。その結果、睡眠の質の低下・窶(ヤツ)れ・高血糖・動脈硬化・アレルギー・自己免疫疾患・ガンなどが発症しやすくなります。

 副腎疲労症候群の症状
朝が起きられない、うつ気味である、倦怠感が続く、楽しくない、しょっぱいものが欲しくなる、疲れやすい、物忘れ、性欲減退、立ちくらみ

 ストレスについてネットの解説があったので、此処に貼り付けてみます。

もともとは、物理学に使われていた言葉ですが、カナダの生理学者であるハンス・セリエ博士が1936年にイギリスの雑誌「ネイチャー」誌に「ストレス学説」を発表したことから、この言葉が使われ始めました。

 残念ながらストレスをなくすことはできません。生きている限りストレスは続きます。といいますのは、ストレスとは、本来、生物が外的あるいは内的な刺激に適応していく過程そのものを概念化したものだからです。つまり、気候が変わればそれに適応し、飲み水が変わればそれに適応し、心理的なショックを受ければそれに適応していく、そうした環境に適応していく時の反応とプロセスのことをストレスというのです。

 セリエ博士の「ストレス学説(ジェネラル・アダプテーション・シンドロームともいいます)」が画期的だったのは、刺激の種類に関係なく、その刺激に適応していくときの反応とプロセスは同様のものを示すということ発見したことにありました。

 もちろん、当時の医学界では「ストレス」という言葉とともに、そんなに簡単に受け入れられる学説ではありませんでした。
 無理もないかもしれません。セリエ博士は、どんな病気でも同様の症状を示しているという点を強調したのですから(syndrome of just being sick『まさに病気である症候群』)。それならば、どんな病気でも同じ治療法が成立するということにもなります。当然医学界で簡単に受け入れられるはずはありませんでした。

 また、私たちが一般的に考えてみても実に不思議なことを発見しています。人間は、「悲しみ」でも、「喜び」でも同じ反応プロセスをたどってその刺激に適応していこうとするというのです。なかなか信じがたいことです。

 ただし、「悲しみ」と比べると「喜び」のほうが、心身に与える負荷は相対的に少ないことが分かっています。
 同じストレッサーでも、受け止める人によって「良いストレス」になるか「悪いストレス」になるかが大きく異なってきます。

 例えば、スポーツの好きな人には、スポーツはよいストレス状態を引き起こしますが、スポーツの嫌いな人には嫌な気持ちを起こさせるということがあります。
 あるいは、ある目標や期限をバネにしてがんばる人もいますが、同じ目標や期限を、しかたなく果たさなければならないノルマ、迫り来る締切と感じて自分を苦しめる人もいます。

 前述のセリエ博士は、「ストレスは生活のスパイスである」と言っています。
 適度な「良いストレス」を持つようにし、その一方で、「悪いストレス」は、できるだけ少なくし、あるいは、何とかそれに対処していくこと(ストレスを解消する、受け止め方を変える、など)が重要です。


彼女のストレス対策

 診察の折に「副腎疲労症候群」と「副腎機能低下症」を解説した一枚のペーパーを貰っていた。其処には副腎機能低下症は薬物治療を怠ると死に至る病、と云う一文を発見して、「私は副腎疲労症候群であって、機能低下症じゃないですよね?(今は死ぬ病気ではないですよね?)」

 この時、彼女はストレス対策として二つの方法を考えていた。
一つは、職場には休日の確保と、時間外労働の制限をお願いする。
二つ目に、自己資金の7割を妹の癌治療に充て、3割のお金は気侭な小旅行と湯治に使って過ごすことに決めたようだ。心の切り替えも上手なのでしょう。

 しかし、回復するまでには1年の期間を要した。肥満した体はスッキリとして、気力も取り戻したように感じた。食事はしっかり摂って糖質制限しながら、ゴーヤは毎食食べたとか・・。

 彼女のストレスは以下のことだったのだろう、と推測します。

 精神的ストレス・・・心理、社会的要因 ← 裁判も結審してそれは大きな損害だったが、損害を含めて諦めはある意味で再出発の引き金にもなる。また、職場側の理解ある対応と、ゆったりと湯治できたことも好影響だったのかもしれない。

 化学的ストレス・・・薬物、酸素過剰や欠乏、飢餓など栄養欠損、低血糖 ← 今までは忙しさにかまけて、いい加減な食事しかしていなかった、と述懐していた。積極的に調理することで栄養欠損は減り、痩せることで低血糖体質が改善されたのだと想像します。肥満は低血糖の症状です。


次回は栄養対策です