いつか書かなくては、と長いこと思い続けて来た。

が、しかし、筆を取るにはあまりにも重く、悲惨な事件だったので
なかなか書くことができなかった。
(わたしはその動画を見たことはありません。見ることなんてできません)


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けれども、ここ数年に渡り吹き荒れているグローバリズム—つまり地球規模の大米帝国化は、2004年に起きたこの事件をひも解くと、既にその牙をむき出す萌芽ができていたことがわかった。

その事件とは、イラク日本人青年殺害事件

イラクを訪れた当時24歳の青年が、アルカイダに誘拐され、「自衛隊を撤退すれば解放する」という要求を小泉首相が即答で拒否したため、青年は斬首されて殺されたのだが、結果的には、アメリカによるイラク戦争の犠牲、そして、すっかりアメリカの犬となり人の命よりも自分の保身のことしか考えなかった小泉政権の犠牲になったと言ってもよい事件であろう。

小泉は「テロには屈しない」と大義名分を述べていたが、イラク戦争自体がテロと言えるのではないか? イラクに大量破壊兵器はなかったと、アメリカ自体が後に調査結果を述べたではないか。

それなのに、米英軍は、10万人におよぶイラクの人々を無差別に殺害した。そのほとんどは、非戦闘の市民である。自衛隊は人道支援ではなく、米軍に人殺しのための武器弾薬や兵員をはじめ補給物資を運び、米軍がとおるための幹線道路警備をやっている。バグダッドで目にする自衛隊は、人殺し道具を空輸する自衛隊機である。イラク人がそれを米軍の占領とイラク人殺害に加担しているとみなすことは当然である。

その、米英のテロの片棒を担ぐことになった自衛隊を撤退させるという選択肢は、既にアメリカの犬となっていた小泉にはなかったのだ。撤退させないにしても、交渉の余地があるような手段すらつかわなかった(今時、誘拐事件が起きれば、時間稼ぎをして犯人側の情報を引き出すことは小学生でもわかるだろう)。
小泉にとって、一人の青年の死など「蚊を一匹つぶす」くらいの感覚だったのだろう。

さらには(わたしはこれが今思い出しても怒りが収まらないのだが)、「自己責任」論なるものを持ち出して、自己の責任は自分で取るのが当然、という風潮を国民全体に押し付けた。
これは、被害者およびそのご家族にとっては、セカンドレイプとも呼べる行為だったと思う。

まんまと「自己責任」論に飛びついた国民たち。
自分の息子が異国の地で首を切られて殺された父親がなぜテレビに出て謝罪しなければならなかったのか。
その無念の胸中を察して、そっとしてあげることすら出来なくなったのか、この国民は。



自分は、国家が敷いたレールに乗って、お利口さんに生きているからオッケー! 
ルールを守れない奴なんてどうなったってオッケー!
そういう風潮がどんどんエスカレートして、今や自分さえオッケーであれば、他人がどうなったってオッケー! というような「他者への共感と柔軟性を失う」素地ができたのは、この事件以降に顕著になったような気がする。

今や、小泉政権を起点として、民営化、教育・医療・社会保障の切捨て、外資の優遇税制、資本規制(日本企業買収)の緩和、労働者の非正規化などが、アジェンダ(予定表)に従って達成されているのだ。


ちなみに、この時期、フィリピン人労働者のアンヘロ・デラクルスさんもイラク聖戦アルカイダ機構の関連組織に拘束されながら無事解放された。フィリピン政府が軍をイラクから撤退させたからである。つまり、自衛隊をイラクから撤退させれば、日本人青年も解放された可能性が高かったのである。

フィリピンの対応は米国などから「テロリストを増長させる」と批難されたが、この種の批判はおカド違いだ。イラクで外国人が人質とされるようになったのは、イラク西部の都市ファルージャで無差別虐殺を行うなど、米軍の掃討作戦の激化によるものだ。そもそも米軍がイラク人女性を人質に取ってきたことも関係があると思われる。


響堂雪乃さんの『独りファシズム』の「Straw Dogs」には、次のように書かれている。
イラクと日本国においては、ほぼ同期してグローバリゼーションが推進されているのだが、前者は戦争装置によるハードな改革であり、後者はメディア装置によるソフトな改革である。つまりブラック・ウォーター社など傭兵部隊による拉致・監禁、また電気ドリルなどによる拷問の代替として、地検特捜部が入念にプロットを練り上げ、恥罪によって対象者の社会的抹殺を謀るというのが、この体系の方法論であるわけだ。

イラクは、誰の目にもわかる形でグルーバリズムが押し付けられ、日本は、目に見えない巧妙な方法でグローバリズム化が施されているのだ。

南米のチリでは、40年前の1973年に、『民主的に選ばれた政権を米国政府は軍事クーデターで倒し、数千人を虐殺、新自由主義経済を導入させて富を独占する仕組みを実験した』という記事を見つけた。

民主政権だった頃の政府の要人が、滞在先の米国で車両を爆破されたことにより、両足を切断した挙句に死亡するというテロが発生しているのだ。



日本は、まだマシだって??

そうかな?

さっき、「目に見えない方法で」って書いたけど
放射能も目に見えないんだよね。

自民党政権のままだと、原発が再稼働されちゃいそうだね。


日本を美しい国に戻したかったら、ちゃんと選挙に行って、意思表明しよう。

わたしたちに残された「権利」をちゃんと行使しよう。


$La Vie de Paris



☆参考記事(一部引用もさせていただいています)

hosiシバレイのたたかう!ジャーナリスト宣言。「香田証生さん殺害犯逮捕か?改めて問われる小泉首相の責任

hosi長周新聞「首を切られるべきは小泉政府 イラク人質事件 無力なくせに挑発だけ

hosiポコポコちゃんのブログ「支離滅裂安倍晋三早速アルジェリア人質首に爆弾よみがえる小泉極道人質自己責任

hosi独りファシズム「Straw Dogs

hosi櫻井ジャーナル「最初の9/11:39年前、南米チリで民主的に選ばれた政権を米国政府は軍事クーデターで倒し、数千人を虐殺、新自由主義経済を導入させて富を独占する仕組みを実験した

hosiピノチェットとコンドル作戦南米テロリズムのネットワーク


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