Elizabeth My Dear & New Dress | 木漏れ日

Elizabeth My Dear & New Dress

ストーン・ローゼズの1stアルバム (The Stone Roses) には、「Elizabeth My Dear」 という短い曲が
収められている。

これは、スカボロー・フェア (S&G) のメロディーに、エリザベス女王の失冠を願う歌詞を乗せて
歌われる、英国王室批判のプロテスト・ソングだ。




Elizabeth My Dear (The Stone Roses)
1stアルバムより。 (89年)
曲の後半には、ピストル射撃音のような効果音が入っている。



このような、イギリスにおける明確な反王室ソングは、セックス・ピストルズ等のパンク勢にまで遡る
ことができると思われる。 (「Elizabeth My Dear」 も、ピストルズへのオマージュかもしれない)



God Save the Queen (Sex Pistols)
ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン (77年)

このような系統の流れの先に、The Smiths の 「The Queen Is Dead」 (86年) やThe Stone Roses
の 「Elizabeth My Dear」 (89年) といった曲があるのだろう。 




シンセ・ポップ界の硬派バンド、デペッシュ・モードも、以前、英国王室を批判した 「ニュー・ドレス」 を
発表している。
これは、世界中で戦火や災厄の絶えない中、英国王室の贅沢ぶりを故ダイアナ妃の豪華な衣装を
引きあいにして批判したものだ。



New Dress (Depeche Mode)
5thアルバム 「Black Celebration」 より。 (86年)
この曲の発表時は、ダイアナ妃は(もちろん)存命だった。 (当時25歳前後)

この曲の中では、以下のように、かなり具体的なところ (投票行動) にまで言及して歌われている。
要は 「政権交代を」、というわけだ (当時のイギリスはサッチャー首相による長期政権下)。

You can't change the world, but you can change the facts.
And when you change the facts, you change points of view.
If you change points of view, you may change a vote.
And when you change a vote, you may change the world.




New Dress (Depeche Mode)
このビデオは、デペッシュ・モードの 「ニュー・ドレス」 や各種ニュース映像等を題材に、Daniel Bryant
という第三者の方が、啓発用として制作したもののようだ。
(悲惨な映像が多用されていますので、一応注意喚起しておきます)

まあ、世界はそれほど単純でもなかろうし、英国王室やダイアナ妃を批判すれば何かが解決するという
ものでもないと思うが、(英国における階級社会等を背景に) 象徴的な存在として批判の対象とされて
いるのだろう。
(こんな風に思ってしまうのも、年を食ったからなのだろうか?)



<関連>
   DEPECHE MODE- Blasphemous Rumours
   THE STONE ROSES