米大リーグ、ロッキーズのジェイミー・モイヤー投手(49)が、最年長勝利記録を80年ぶりに塗り替えた。
本拠地でのパドレス戦に先発して7回を6安打2失点(自責点ゼロ)に抑え、今季初勝利(2敗)を挙げた。
左ひじ手術やマイナー契約を乗り越え約2年ぶり、従来の記録を77日も更新する49歳151日での白星をつかんだ。
本拠地を埋めた2万4525人の観客が歴史の証人になった。
ロ軍が逃げ切り、モイヤーが今季初勝利。49歳151日での白星で、大リーグの最年長勝利記録を80年ぶりに77日も更新した。
「きょうも、これまで2試合と同じように臨んだ。チームの勝利のためにベストを尽くす。記録を試合より先に考えたことはないよ」
モイヤー自身は淡々としていたが、これは歴史的な快挙だ。
従来の記録は1932年にジャック・クインがマークした49歳74日。当時の所属先はロサンゼルスに移転前のブルックリン・ドジャース、というほど昔の記録を塗り替えたのだ。
投球内容も芸術的だった。この日の最高球速は79マイル(約127キロ)。それでもカットボール、チェンジアップ、カーブ、シンカーという多彩な球種を抜群の制球力で駆使して、若いパ軍打線を翻弄した。失策がらみで2点を失ったが、自責点はゼロ。併殺打を3本も奪った。
モイヤーは一昨年に左ひじを手術。昨季は登板できず、今春キャンプはマイナー契約でスタートした。
自分がメジャーで初登板した1986年以降に生まれた選手も多い中、同じメニューをこなした。グラウンド間の移動は駆け足。若手の手本となる姿勢とオープン戦での好成績で、先発2番手でのメジャー昇格を果たしていた。
全盛期を過ごしたのはマリナーズ。イチロー外野手(38)のメジャーデビューと重なっており、日本の野球ファンにも存在感のある投手だ。
イチローは1年目の2001年から06年途中まで同僚で、オープン戦で対戦した際には「あそこ(マウンド)に立っているだけですごい。あのタイプは60歳までやってほしいという思いと、その可能性を想像してしまう」と敬意を示した。
今回の快挙を知らされたら、大きな驚きとともに祝福の言葉を送るに違いない。
モイヤーにとって白星は2010年6月27日以来、約2年ぶり。通算268勝目で歴代34位のジム・パーマー(元オリオールズ)に並んだ。
試合後には早速、野球殿堂からユニホームやグラブなどの提供を求められた。
「偉大な選手と一緒に自分の名前が挙げられるのは、ちょっと特別なことだね」とモイヤー。
今年11月で50歳になる左腕が、今後はどこまで自分の記録を伸ばしていくのか楽しみだ。