イタリアの郊外

僕はある屋敷に足を踏み入れていた。
屋敷というぐらいだから地主は資産家、ホワイトハウスより豪勢な外装と内装だ。

だが、「内装」は別の意味での豪勢だ。
呼び鈴も鳴らさず直接扉をあけると(不法侵入になるだろうが僕はそんな面倒な事はしない)目に余る光景が飛び込んできた。



――床に転がるは死体死体、床に飛び散るは血血血血血血血血血


強盗というには規模が大きく、内乱にしては小規模。まさに惨殺死体の見本市だ。
ご主人様、ご子息、使用人、全員地面に横倒し。生きてる見込みはもう無い。

「やっぱりか…」

呟いた後、一息尽く。
大方予想していた事だから別に驚きもしない。


倒れていた使用人の見開かれた右目が赤くなっていた事を除いては。