初めてトライした美味しいと噂の食パン。
美味しいけど、違うんだな〜。
今日もコーヒーを淹れて、こんがり焼けた食パンを嚙りながら遠い昔の記憶に思いを馳せていた。
未だかつて、あの幻の食パンに匹敵するような食パンに出会ったことがない。
その頃、まだ、うちの家の周りにほとんど家がなかった。
突如、畑を一枚挟んだ一段高くなってる場所にパン屋ができたのだ!!
その名も ”ボンジュール”
こんな、小さな島の田舎の集落に!! グーチョキパン屋もビックリだ!!
大柄で彫りが深く、カーリーロングヘアーの
外国の童話に出てきそうなパン屋のおじさんがその幻の食パンを作っていた。
パン屋と言ってもそこでは販売せず、作ったものを、スーパーや商店に卸していたみたい。
ご近所ってことで焼きたてのパンを直接売ってもらえた。
毎朝、家ごと、庭ごと、風に乗ってやってくるパンの焼ける香ばしい匂いに包まれた。
大人になると舌も肥えるし、幼い頃は味覚の幅が狭いから特別美味しい記憶として残ってたんじゃない?とか言われたりもするけど、
いやいや、違います。
だって、朝ごはんが食パンの日は、美味しすぎて、一袋六つ切りの食パンを一人一袋食べてたんだから!!
中はとっても柔らかくって、外はこんがり香ばしい。
食パンによくあるフレーズだけれど、
あれから数十年、色んな場所で、色んな食パンを食べたけど同じものには出会えていない。
相当美味しくないと、朝ごはんに小学生で食パン一袋食べられないよ。
いつも早起きの父が、頃合いをみて歩いてボンジュールに買いに行き、六つ切り入りの食パンを3袋抱えて勝手口から上がってきてたっけ。
あとは、学校に行く準備ができた順に、各自トースターに食パンをセットして、焼けたら思い思いに
マーガリン(ネオソフト)や、ジャム、はちみつを塗って、コーヒーと一緒に流し込む。
とにかく、6枚食べないとだから、3人の小学生はてんやわんや!!トースターからは絶え間なくこんがり焼けた食パンがポンポン飛び出す。
もたもたしていると、六枚食べ切れず、泣く泣く出発しなければならない。
今、思ったけど、未だ私が食パンの耳を残してしまうのはここに起因しているのかもしれない。
耳を食べてると噛むのに時間がかかって6枚食べ切れないから、、、、。(残った耳は残らず父が食べていました)
美味しいボンジュールの食パンを食べたその日の給食にパサパサのマズイ食パンが出た時にはもう絶望的。
給食の食パンもボンジュールになればいいのにっていつも思ってた。
そして、それから私が中学生に上がる前にボンジュールのおじさんはどこか遠くへ引っ越していった。
おじさん、どこかでお元気にされていたら、ぜひ食パン作って欲しいな。
どこまでも行くつもりです。
そしてあんなに美味しい記憶に残る食パンを作ってくれたお礼が言いたい。
何十年も記憶に残る味ってすごい。
思い出のボンジュール。
そういえば、fleurフルールもフランス語だ〜。