放射性物質の検出に関連して、米の全量検査なんて話題も出てきていますが、はて全量検査でないならどの程度の量を検査していたのだ?という疑問が湧くのではないかと思います(そうでもないですか?そうですか)。
 ということで米の標準抽出方法を少し紹介してみようと思います。


 標準抽出方法は農産物検査法施行規則で定められているもので、日常行われている米の等級検査のサンプルはこれに従って抽出されています。
 念のためですが、放射性物質の検査が同じ抽出法で行われているかどうか知りません。まあ他に特に抽出する根拠も無いだろうし、これでやってたんじゃないかなーと思っています。そして、あらっ?と思ったものが出てきたら全量検査と言う流れでしょう。


 抽出される米の形態ですが、一般的なのは30キロ入りの袋に詰められた形です。正確には袋込みで30.5キロ以上入っていることが必須です。これを一度にいくつ検査するかによって抽出する数が変わります。


2~15袋まで    全個    合格判定個数 0個
16~25袋      13個    0個
26~50袋      15個    0個
51~100袋     18個    0個
101~200袋     20個    0個
201~1000袋    32個    1個
1001~3000袋   50個    3個
3001~10000袋   80個    5個
10001~35000袋  125個   10個
35001袋以上    200個   18個


 この最初の袋数とは、もちろん生産者ごととか、品種ごととかで分かれるのであって、例えば今日はJAの集荷倉庫に20件の農家から5000袋集まったから抽出個数は全部で80個ね、と言うわけにはいきません。農家Aは50袋だから15個、農家Bは30袋だから15個、農家Cは300袋だから32個・・・となります。
 合格判定個数とは、とりあえず抽出しての検査をした結果、サンプル内に農産物規格規定に当てはまらなかったもの(検査の規格に沿わなかったもの)が合格判定個数を越えて見つかった場合は改めて全ての袋からサンプルを取って検査しなおさなくてはならないという決まりです。


 同じ生産者の同じ品種の米であっても、袋ごとに内容が著しく違うような場合(収穫時期や田んぼの違いによってそういうのが出ることがある)はやはり別に分けられますので、変なものをコソッと混ぜておくわけにはいきません。


 で、全量検査というと特に誤解されそうですが、袋に入った米30キロ全てを検査するわけではありません。一袋あたりおよそ20~30グラム程度を取って検査されます(放射性物質の検査の場合に必要なサンプルの量は知らないので、それについては違うかもしれませんが)。取り方は、米袋の脇を「穀刺」という直剣と針の中間みたいな道具で突き刺し、取り出します。それを、抽出対象が32個なら32袋以上ぶん繰り返すわけです。


 標準抽出方法にはほかにまだ続きがありますが(包装されていない物の扱いとか、米以外の扱いとか)、多分それほど大事でないのでここでやめます。