農業業界にいてトンデモなものを見かけることはよくあります。ただし最初に言っておくと、それが即悪いことだとは思いません。農薬取締法的にどうかとか、景品表示法的にどうかとか言う問題を別にすると、農産物を作る際にある程度のデタラメがあってもいいだろうし、それで良い結果が出るならそれを否定する意味もやはりありません。今でも経験頼りな所も大いにある業界ですし。
 農産物に関わるトンデモが悪いのは、それが販促に直接繋がるときでしょうね。つまりマイナスイオンで美味しいお米!てな宣伝とか。けど生産現場だけで、勝手に黙ってやってる分にはどうでもいいことでしょう。要は他人の迷惑じゃなければいいんです。


 でまあ農業で見かけるアレげなものですが、かわいい所では田んぼに備長炭の棒切れを入れて環境改善とか。あんな小さいもの一つ入れた程度でどうよてなもんですが、気になったのがその備長炭の包み紙が近くの用水路に捨ててあったこと。環境に悪いよおじさん!


 中堅どころとしてはまあ典型的な、自然マンセーでいつも通りな感じ。いつもの話なのでスルーします。


 大物で面白いのが微量要素重視の人。「人」というか実は最近意外と流行ってるんですが、通常の肥料とは別にたくさんの種類の微量要素を散布して生育をよくするという農法があり、様々な商品も出ています。
 その微量要素が問題で、まあカルシウムとか鉄分とか言ってるなら普通ですけど成分表にコバルトとかセシウムとかラドンとか書いてあったり・・・それらって稲に効くの?てかむしろ害があるのでは・・・微量だから害はない?じゃあ効果もないよね、とかいうような。


 水晶を水に溶かして撒くという話もありました。水に溶かす???溶けるんだよと力説されても・・・バイオダイナミクス?かと思いきやもっとすごくて、水晶(珪素)が土中の炭素と反応してカルシウムになるのです。つまり14Si+6C=20Ca。足し算です。おおすごい。こんな計算式を恭しく見せられたときは頭抱えました。


 ただ実は、そういう人たちをちょっとうらやましいなあと思うところもあるんです。自由な発想で無敵。迷惑なことしない限り、やったもん勝ちですよ。
 なにしろ微量要素重視のトンデモナイ人の中には、トンでもなく高品質な米を作る人もいますからね。何でそうなるのかよくわかりませんし、農家としちゃわからなくても問題ではありませんし。セシウム効くんかいな。