この間からちょくちょく話題にしている水田フル活用や、耕作放棄地の増加について神経を尖らせている農水省の態度を見ると、彼らは使える農地を増やしたり、あるいは農地の減少を食い止めたいとの思いが伝わってきますが、そもそも耕作しない農地の成れの果ては全て遊休農地・・・なわけではありません。


 当たり前なことですが、耕作しなくなった農地は住宅や店舗、駐車場、工場などにもなっており、それらにならなかった農地が遊休農地となっているに過ぎません。
 東京などと言った昔ながらの大都市は別でしょうが、特に最近の新興住宅地や工業団地や郊外型大規模店舗などはほぼ全てが(元)田んぼの上に出来ています。


 山間部の水がきれいなところで作った米は美味しいとよく言われますし、実際にそういう部分もありますが、こと農業経済学者(山下一仁のような)が言う様な農業経営に向いた農地とは明らかに平野部のもので、中山間地での農業はかなり非効率的なものです。
 きっちり長方形に整地され、段差の少ない場所にたくさん田んぼが集まった水田地帯のほうが作業は断然楽で、整備もしやすく恵まれています。が、その恵まれた条件はほかの用地としても同じく恵まれていて、要するに好条件の田んぼは好条件の工場になりえます。


 いや、住宅や工場などを作るべきでなかったと言うわけではありません。が、自然の景観を維持する水田機能やら、農村の美しい風景やらを仰られる人たちがいる場所は田んぼをつぶして作った所だと考えるとちょっとシュールに感じるだけです。