私はこのブログでよく、農薬って巷で言われるほど酷いもんじゃないよ、むしろ必要不可欠なくらい役に立ってるし低リスクだよと書いていますが、個々の農薬の性質について害がありそうなものとか、これはちょっと何とかした方がいいんじゃないのと思うものはあります(クロピクとか、プリグロとか)。
 なので農薬批判を見て、下手糞だなあ~もうちょっとうまくやれよ、と思うことはあります。というか、こっちが困るような農薬批判などほとんど出会った事はありません。たぶん私が農薬批判をやれば、普通の農薬批判よりも数段レベルの高いことができると思います。もちろん農薬について私より詳しい人などいくらでもいるので、全くぐうの音も出ないようなことは出来ませんが。


 よく読ませていただいているNATROM先生のブログ で、なんか変わったもので野菜の農薬を除去する!とか言ってる代物を取り上げて、その主張の誤りを示せ、と言うエントリがあります。
ホタテパウダーで残留農薬除去実験


 解答はいろいろあり・・・というかどこから突っ込めばいいかわからないほどあるんですが、これ以外の農薬批判にもほとんど共通しているのは、果たして農薬を使って作った農産物に本当に農薬が残留しているかわからない点と、「農薬」と言ってもその種類は山ほどあって、全ての農薬をひとくくりにして表すなどムチャクチャすぎるという点があります。余談ですが農産物に付着した農薬は変なものを使わなくても単に水洗いするだけで99%が流れ落ちます。


 ここでは後者の、農薬をひとくくりにするなということを説明しますが、そもそも農薬とは分類と言うか機能名であって、物質の性質を表している訳ではありません。ほとんど唯一表している性質が、農作業で使われるものだと言う点のみで、広義にはそれ以外に何ら共通する構造や性質はありません。狭く考えても、試験を経て農薬登録が取れているものを農薬と言う、って項目が加わる程度です。
 農薬批判者が想定している「農薬」とは、ヒトが摂取すると何らかの毒性を発揮し、環境に残留すると微生物を殺したり野生生物を殺したりし、ガンの原因になり・・・などと言ったものなのでしょうが、もちろん摂取量によってはそういうことができる農薬もあります。が、もちろん種類によってまちまちですし、限りなく無害に近い農薬だって多いので、とにかくどの農薬の事を言っているのかを示してくれないと話が始まりません。


 そもそも私がわからないのは、農薬批判者は何を目的にしているのだろう、って事です。農薬の使用量を減らして欲しいのでしょうか。だったら、特に害の酷い農薬を挙げて、これはヤバイから使わないで欲しいとうったえれば通る可能性はあります。代わりのものを使う余地があります。が、それもせずにのべつまくなし農薬を批判されても、全ての農薬を使わないなんて不可能ですから、要求には応えられません。
 で、何のために農薬を減らして欲しいのか。消費者に健康被害があるのでしょうか。日本人は寿命も健康寿命も世界一ですが。農薬による死者を何人に減らせば納得できるのでしょうか。自殺者を除けば年間数人しかいませんが(しかも消費者ではない)。
 農薬批判は要求があまりにも曖昧なので、こっち側もどう扱えばいいかわからないというか、最初から交渉が成立していないのです。


 ・・・なーんて言っていますが、本当はちゃんとわかっていますよ。農薬を批判したいのは、自分が作ってる有機栽培の野菜を売りたいからですよネ。農薬叩かないと、ウリがないですからネ。でも消費者を騙して物を売るのはよくないと思うんだ。


koume