今日のネタは田植えのお話ですが、田植えというと普通の方が見ているのはこういうのだと思います。


田植え機


 この田植え機に乗っているのはうちの親父なのですが、では私は何をしているかというと、補助というかアシストをしています。例えば


苗
 植える苗や移動のための橋を運んだり、


水当て2   水当て
 田植え前や後に必要な水位を調節するため、田んぼに水を出し入れしたり、


足跡
 田植え機が移動し、掘り起こした土を均したりです。


 農業の仕事をいかにスムーズに行うかとは、つまるところ、いかに機械を長時間動かすかになります。具体的には、例えば苗の準備に手間取ったりすると田植え機はそれを待つための手待ち時間が発生し、無駄になります。
 別に農業に限らず他のどんな仕事にも当てはまりますが、目に見える仕事には必ず同じくらい重要な目に見えない仕事が隠れています。


 さて、最初に普通の方が見ている田植えの典型例として田植え機の写真を出しましたが、実際のところはマスコミなどを通じて本当によく見られる田植えとは例えばこういうヤツだと思います。


 農業体験 > 守山市立物部小学校|JAおうみ富士


農業体験

 今日のお昼もにも、BSニュースで確か岐阜かどこかの小学校で「農業体験」と称して、小学生たちに田植えをやらせたと言っていたんですが、少なくとも業として農業をやっている農家で、今日びこんな田植えをやっている人はいません。こういうのは米作り体験ではあっても「農業体験」ではないんです。


 総合学習とやらで小学生に農業体験をさせて、農業に対する理解を深めようと言う人がいますが、本気かなと思います。これを通して将来の農業人口を増やそうというお話にいたっては、正気を疑うくらいです。
 現実とはかけ離れたことをやって、何の理解が深まるのでしょうか。しかも小学生にやらせる体験といえば田植えと稲刈りくらいで、畦塗りも荒起しも代掻きも肥料撒きも水当てもやらないし、それで農業を理解されたら逆に困ります。もっとも草引きなんかやらせたら児童虐待とか言われそうですけど(それくらい、つらい仕事ということです)。それに加えて無農薬栽培でとか言い出すんだから、たまったものではありません。
 また、小学生の時に「楽しかった~」と言っていても、同じ子が高校生になった時に「田植えをやってみたいか?」と尋ねても「汚いから嫌だ」と答えるに決まっています。


 私は、もしも本当に「農業」体験をさせるなら、高校生か大学生にやらせるなら意味があると思います。小学生の時にやらせると前述の通り変な予備知識がつくので、やらせません。高校生になってから興味をもったような子を相手に、当然トラクターやコンバインも使わせて、本格的にです。

 まあ収支のあたりはぼかしておくのが、ずるい大人の農業振興策としての隠し味でしょうか(笑)コンバインとか乗るのは楽しいですよ。最近のトラクターなんかは動かすだけならATの車より簡単ですし。


koume