しばらく前の話題ですが、中国製餃子の問題華やかなりしころ、冷凍食品の原料についてその原産地(原産国)を表示すべきではないかと言われたことがありました。今、そういう話が進んでいるのか、消費者庁が作る関連法の中にどんな感じで組み込まれるのかよくわかりませんが、それは実は相当難易度が高いことなんだぞと言う意見があります。
 そもそもその前に「わかったからと言って、それがどうした」と言う話もあるんですが、今回はそれは無しにしておきます。


 ま、冷凍食品に限らずお弁当やお惣菜も同じなんですが、おんなじメニューを作っても違う材料を使うことがあります。違う材料とは例えば、たまねぎを使う時にアメリカ産のを使うか中国産のにするか北海道産のにするかと言うような話です。
 それは例えば、仕入れ価格が変わったり旬が違ったりいつものがどうしても手に入らなかったりなどで、割と頻繁に入れ替わったりします。特に冷凍食品など、同一のものを大量に作る(作り続ける)場合はよくある話です。


 そしてそんな現実がある以上、原産地表示に厳密に対応する場合は、材料が変わるたびに商品の包装フィルムを作り替える必要が生じます。ロットごとに変更していては、確実にミスも生み出し、例えば本来は中国産用の包装を使わなければいけないところにうっかり間違えて北海道産の包装をしたりしようものなら、品質に何の問題もなくても「悪質な偽装発覚」と吊るし上げられるのは目に見えています。もちろん、製品コストも跳ね上がります。そして、はっきり言って、たいした効果など望めません。
 何が何でも同一産地にこだわって仕入れる体制を作れば解決すると思えますが、しかし先にもちらっと書いたように農産物は旬がある品物です。そもそも季節によっては手に入らない品物となってはお手上げですが、そうでなくても1年の間に価格も品質も変わります。産地を変えるのは、そうしたばらつきを抑える効果もあるわけです。

 そして最近、「安全対策」を行ってもそれを製品価格に上乗せすることは許されない風潮があります。ただでさえあらゆるコストが上がっているのに、いまの製造業はどこも原価高騰をいかにして吸収するかに四苦八苦しています。


 「中国産」なんて正直に書いたら敬遠されるかも、とか言うよりもっと切実なお話があるのです。


koume