T先生 | バイきんぐ小峠の「見ル前ニ跳べ」

T先生

どうもみなさんこんにちは、いまだにティラミスへの情熱が冷めやらない者です



休学の時、とても親身になって相談にのってくれた当時の担任



T先生としときましょう



美術の先生です




大阪から福岡に戻って復学した時、親から聞かされて初めて知ったのですが、この休学をめぐって学校とT先生が全面対立をしていたのだそうです



「お笑いをやる為に休学?そしてダメだった場合復学?そんな都合のいい話許される訳があるまい!休学なんて断固として認めん!学校に来ないのであれば退学だ!」



という風に学校側はなっていたのです



全くおっしゃる通りです



さらに俺は他にも色々と問題のある生徒だったのでなおさらのこと



でもT先生は校長や教頭、他の先生の猛バッシングにも負けず



「お願いします!小峠を休学という事にしてください!籍だけ置いていてください!お願いします!」



と何度も頭を下げてお願いしてくれたのだそうです




だから俺が休学出来たのも、復学出来たのも、そしてもちろん卒業出来たのも、完全に100%T先生のお陰なのです



だから今だに小峠家はこのT先生を神扱いしております






今から10数年前の今頃・・・



卒業式当日



俺は嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした



やっと卒業出来るのです



また大阪行く事も決まっておりましたし



この時すでに19歳



高校生にして19という、既に禁断の領域に踏み込んでおりました




ダブりの卒業って、普通の生徒の卒業よりも嬉しいと思います



2倍とまではいかないかもしれませんが、間違いなく1・5倍は嬉しい





しかも俺の場合は停学を5回くらってのギリギリの卒業



5回目の無期停の時、退学届けに名前を書かされ、次何か問題を起こしたらこれにハンコを押して退学という、ギリギリの状況での卒業



やはりその嬉しさは人一倍でした




ちなみに停学1回目は入学してすぐ学校をサボり、電車で1時間くらいかけて「小倉城」を見にいき、そのまま学校に戻らず夜遅くに帰ってきたら、色々と厄介な状況になっており、それでなりました



クソしょーもないでしょ



先生も半分笑ってましたね



「学校サボってまで城見たいか?」って




見たかったんでしょうね



何か知らんけど






だから卒業式は全く悲しいという感情はなかったですね




そして卒業式終了後



最後のホームルーム(ちなみにこの時の担任はT先生ではありません)の時間まで教室でみんなと談笑してたら、急におとんがやって来たんですよ



ビックリしてね



卒業式に来るなんて一言も言ってなかったし、元々そういう行事に顔を出すタイプでもないので



多分なんですけど、小学校・中学校の卒業式って保護者来ますけど、高校の卒業式ってほとんど来ませんよね?



俺のクラスも誰も来てなかったんです



そやから、何か恥ずかしくてね




「あれ?来たん?」



って言ったら



「おお、ちょっとな・・・じゃあ帰るわ」



と言い残してそそくさと帰っていきました



ん?何?何しに来たんやろと思いましたよ




ただ一つ気になったのが、おとんが少しよそよそしいのと、一瞬合った目が少し赤くなっていた事でした






それから最後のホームルームを終え、俺はT先生のいる美術室へ



シーンと静まりかえっている美術室にT先生は一人でいました




「おう、小峠」



「先生、あいさつに来た!」



「そんな事より、さっきお父さんが来たぞ」



「えっ!?」




びっくりしました




「お父さん泣きながら、”先生、本当に本当にありがとうございました。あの子が卒業出来たのは先生のお陰です”って、何度も何度も頭下げて、ありがとうございましたって」



目が赤かった理由がわかりました



「お父さん頭を上げてください、って言ってもなかなか上げてくれんで、何度も何度もありがとうございましたって」




学校辞めるって言った時



”お前の好きにしたらいい”



と言っていたおとん




”お父さん!そんないい加減な事言わないでよ!”



とおかんに言われた時も




”英二が好きな事やりたいって言ってるんやから、やらせてあげたらいいやろ!”



と最後まで俺の意見を尊重してくれたおとん




当たり前やけど、やっぱり卒業してほしかったんですね





込み上げてくるものがありましたが、親子で涙を見せる訳には行きません



涙腺に全神経を集中させ、先生にお礼を言い、深く頭を下げて、美術室を後にしました




そしてトイレに駆け込み



何かが崩壊したように



声を殺して



泣きじゃくった