最近読んだ本をご紹介。
『あなたの人生のための物語』テッド・チャン
作者は、優れたSF作品に贈られる
ヒューゴー賞やネビュラ賞を受賞している
アメリカの小説家。
本作は彼の短編集です。
中でも、タイトルにもなっている
『あなたの人生のための物語』というショートは
『メッセージ』と改題され、映画化も。
アカデミー作品賞やゴールデングローブ賞など
多くの賞を獲っています。
もちろん視聴済み!
メッセージ [Blu-ray] 2,327円 Amazon |
内容としては、
ある日世界中に巨大な宇宙船と共に
エイリアン(ヘプタポット)が現れる。
彼らが地球にやってきた目的を探るため
言語学者ルイーズは
物理学者イアンや米軍大佐ウェバーらと
彼らの言語を学び始める。
言語の習得が進むにつれ
ルイーズは覚えがないはずの
過去のフラッシュバックに
見舞われるようになり…
といった感じ。
作者自身、コンピューター科学と物理を
大学で専攻していたそうで
小説ではそれが遺憾なく発揮されてます。
よって、なかなかに難解な文章。
一方、映画はかなりわかりやすいし
ヘプタポットの文字が
墨汁を垂らしたみたいで美しい!
小説を上手く映像化しています。
また、ルイーズがヘプタポットの言語を
研究する様子を見て、
言語の形態や発声の方法は
言語使用者が持つ時間の価値観や死生観、体の仕組みにまで影響を受けるのかと驚きました。
興味深かったです。
さて本の方に話を戻しますが、
他の短編でいうと『顔の美醜について』が
お気に入りです。
"他人の顔を美しいかそうでないか
判断する脳の部分に細工をして、
他人の評価をする際に
外見を考慮しない思考回路を持つようになる"
そんな美醜失認処置という手術
"カリー"を巡る
ドキュメンタリー仕立ての作品です。
「我が子は、他人を外見で
評価する子に育ってほしくない」
と言って、娘にカリーを受けさせた母の言葉が印象的でした。
「可愛いとは、受け身の性質です。」
「そうなろうとしたって、
受け身の努力でしかない。」
グサグサ刺さりました笑
うら若き乙女や妙齢の女性には
残酷すぎる言葉ですよね…
まぁ確かに「可愛さ」って
あくまで他人の判断でしかないから
「可愛いって思ってもらうための努力」は
受け身と言われても仕方ないのかな。
SF作品って
別世界を見せることで
現実世界の常識や思い込みを
読者に気付かせてくれるから
毎回目が醒めるよう。
興味深かったです!